ポケットモンスターVR   作:とうもろこし

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これがポケモン勝負なんだ!

 ~カラクサタウン~おいしげるツルは はんえいのあかし 生い茂る ツルは 繁栄の証

 

 「…っ」

 

 カノコタウンを出で、ダッシュで一番道路を通り抜けた俺は今、カラクサタウンのポケモンセンターのとある一室で正座をさせられている。

 

 「…っ」

 

 「い、いやその、すみません」

 

 「…っ」

 

 「はぁ、まったく。あなたはうちの部活のエースってことを自覚しなさいよね」

 

 俺の目の前には二人の人物がいる。一人は額に青筋を浮かべながら俺を見下ろしている女性。彼女は『兎沢 水樹』、こっちの世界では『ミズキ』という名前だ。 アバターはリアルと同じな為、長い黒髪を持つ美人さんになっていて、キリっとした眼つきは可愛いというより綺麗な顔立ちをより一層魅力的にさせる。怒っているお顔もなんとお美しい。リーグ部部長であるという肩書もあってか、男女ともにモテるお方だ。もちろんバトルも強く、部内ランク2位の成績を持つ、天が二物も三物もお与えになった様な、いや、一つだけ与えられなかったものもあるが、

 

 「なにか失礼なことが聞こえたような気がしたのだけれど、反省しているのかしら」

 

 「はいっ、もちろんでございます」

 

 「くくく、あっはっは、もうムリっ、あっはっはっ」

 

 「てめっ、何笑ってんだヒイロっ」

 

 もう一人は、腹を抱えて笑っているやつで、名前は赤松 緋彩 プレイヤーネームは『ヒイロ』。現実では黒い髪を赤色に変えたぐらいしか仮想世界での違いは出ておらず、今も現実世界と変わらずムカつくほどイケメンな顔で笑っている。というか、俺がカノコタウンに着いた時からちょっと様子がおかしかったけど、もしかしてあれ、怒る部長とこれから怒られる俺を想像して笑いをこらえてたなあいつ、ぶっ潰

 

「誰が立っていいって言ったかしら」

 

 「すみませんでしたっ」

 

 「あはは、怒られてやんの」

 

 「言っとくけどヒイロ君、君も時間ギリギリだったよね」

 

 「うぐっ」

 

 「へっ、お前だって怒られてんじゃねぇか」

 

 「はぁーっ、でも俺はお前と違って遅刻してねーし。間に合ったもんねーー」

 

 「このクソ野郎が、てめぇも遅刻しやがれってんだ」

 

 「はい残ねーん、ぱぁ」

 

ムカつく顔で煽ってくるヒイロに仮想世界だからだいじょぶだろうとぶん殴ってやろうと俺が拳を構えると、

 

 「おっ、いいぜ喧嘩か、言い値で買ってやろうか」

 

ヒイロの方もその場でシュシュッとシャドーボクシングをやり始めたので、いよいよ喧嘩するかぁと立ち上がろうとしたその時、

 

ゴン ドゴォ

 

俺の頭にゲンコツが落とされ、ヒイロの腹に拳がめり込んだ。

 

「お、俺だけ酷くないっすか、ガクッ」

 

 「はぁ、そんなにじゃれ合いたいなら外でやりなさい、外で。それかポケモンバトルにしなさい。少なくとももう一度私の目の前で喧嘩し始めたら、次は顔ね」

 

 「「ヒェッ」」

 

 「よ、よし、モノクロ、バトルに行くか、バトルに」

 

 「そ、そうだな、初めてのポケモンを手に入れた次はライバルとの勝負だもんな」

 

 

「よし、なら、い、行こうぜ」

 

そそくさと部屋を出ていく俺ら2人。決して部長の拳に負けた訳じゃないんだからね。そう、だから腰のボールの中から呆れたような視線が向いているのは気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポケモンセンターの横に付属してあるバトルコートに向かった俺らは、早速モンスターボールを構えて、集中力を高めている。

 

 「さーて、今日こそ俺とお前の決着をつけようか」

 

 「いや、戦績400戦280勝120敗で俺がダブルスコア以上つけて勝ってるんですけど」

 

 「でも、今からやるバトルはポケモンの種族値もレベルも、絆だってほぼ同じ。なら俺が勝つことだってあるかもしれないだろっ」

 

 

ライバルのヒイロが勝負をしかけてきた

 

 「いけっ、ポカブ」

 

 「ツタージャ、君に決めたっ」

 

 「カブっ」

 

 「タジャっ」

 

 やっぱり選んだのはポカブだったか。ポケモンの育成には相性というものが存在し、ヒイロの場合はほのおタイプと相性がよく、より強く育てることができる。一方で俺の場合はこれといったタイプは存在せず、全体的に育てることができるが、極めることができない器用貧乏といったところか。まぁ、そこはタイプ相性と先読みの技術で補っているが。

 しかし、このバトルではタイプは不利、しかもここに来るまでに2,3レベルは上げてきているだろうから、ツタージャにとって効果抜群技のひのこを覚えているだろう。そのひのこのダメージをいかに抑えつつ相手にダメージを与えるのかが勝負のカギとなりそうだ。

 いろいろと頭の中で戦略を練ったが、一番いい手はこれだな。

 

 「ツタージャ、にらみつける」

 

 「ポカブ、しっぽをふる」

 

 チッ、こちらの変化技にあわせて、相手も変化技を打ってきたか。だが、ひのこは特殊わざに分類されるから、そこまで気にする必要はないだろう。いや、これでひのこだけではなくたいあたりにも注意が向いてしまう。それを警戒するようポケモンに指示をすると、ポケモンのAI自体に負荷がかかって回避率が下がっていしまうといった問題も起こってしまう。そこまで考えてのしっぽをふる、か。少しは先のほうまで考えられるようになってきたかヒイロ。だが、その程度で俺を止められるとでも思ったかっ

 

 「ツタージャ、つるのむち、右、地面払ってっ」

 

 「ポカブ、ひのこだっ」

 

 予想的中っ、ヒイロの指示よりもコンマ数秒ほど早く指示を出すことができたため、少し複雑な指示でも相手と同タイミングで技を放てる。

 

 「タジャっ、タジャァ」

 

 「カブっ」

 

 ツタージャの首元から出てきたつるが土のバトルフィールドを抉ったことで土煙が舞う。払われた砂がポカブの出したひのこにあたり、消火される。

 

 「何っ、やるなぁモノクロ、ここに来るまでにしっかり仕込んでいたのか」

 

 「まぁね、このくらいだったら五分もあれば仕込めるから」

 

 「そんなのポケモンに教えてる暇があったら、もう少し早く来れたんじゃないか、遅刻もしなかっただろうに」

 

 「残念だけど、カノコタウンを出た時にはもう集合時間過ぎてたんだよ」

 

 「それでも急ぐ努力はしろよな、まったく…ポカブひのこ」

 

 「…っ、ツタージャつるのむち、右、地面払ってっ」

 

 「はんっ、一度見た技が通じると思ったか、突っ込めポカブっ」

 

 「カブっ」

 

 自身の出したひのこに向かって走り出すポカブ。突っ込んだ影響で、払われた砂は、わずかにひのこの威力を抑えた程度で終わる。ほのおタイプだからってダメージは食らうんだぞ、それを容赦なく行うなんて…ほんと熱い奴だぜ。

 

 「これが、俺たちの切り札だっ、ポカブたいあたりっ」

 

 ひのこを纏って突進してくるポカブ。さしずめ、下位版フレアドライブといったところか。当たれば一撃でひんしになりそうな技を見て、焦らず、こんな時だからこそ冷静に指示を出す。

 

 「ツタージャ、下がりながらしっぽをふる。」

 

 「何をしてももう遅いっ、そのままいけポカブっ」

 

 「かかったな」

 

 当てれば勝てると相手が思った時が勝機っ、突っ込んできたポカブを見て俺は笑みを浮かべる。

 

 「今だっ、ツタージャ、つるのむち…左」

 

 「まさかっ」

 

 ヒイロの目から見えているのは、晴れた土煙から現れる、後ろいっぱいに伸ばしたツタージャのつるのむちだろう。驚いている顔がよく見える。愉悦だ。

 ポカブはまだひのこを纏っているが、先ほどの疑似すなかきで威力は弱めた。この程度だったら、弱点でも耐えられる。

 

 「これで終わらせよう。いけ、ゴ〇ゴ〇の銃っ」

 

 「タ~ジャっ」

 

 ドゴーん、と音がし、土煙が立ち上がる。

 

 「ポカブっ」

 

 土煙が晴れ、そこから現れたのは、

 

 「タジャ」

 

 「カ、カブゥ」

 

 腕を組んで仁王立ちしている我がツタージャと、目をぐるぐるにして、倒れ伏しているポカブであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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