被害が半数に満たないと言っても負けは負けだった。
【行き当たりばったり】
ビュコック提督が会議で帝国侵攻に賛成派をそう評していたのですが、まさか此処までとはとしか言い様が無い大惨敗で帝国侵攻作戦失敗です。侵攻に反対票を投じたトリューニヒトが暫定政権を取って我が世の春。しかし、これはどうなんでしょうね。
約半数無くしたからで帝国が大挙して来たらとしたらどうする気なんでしょ。皇帝が死んだからと言っても・・・・まあ、死んだからこそ不味いんですがね、ローエングラム伯の焦土作戦は見合う戦果に届いたかどうかと言われたら、まあギリギリ?なんですが、私達からしたら価値観や政策上からして違う、これからどうなるかが未知数にしても不利なのは変わらない。
「で、近い内にイゼルローンを任されるかもなヤン提督は処遇待ちでやれやれですか?」
「さあねえ・・・・しかし、この面子はどうなんだい?」
ユリアンさんに私にラップさんにジェシカさんにフレデリカさんまで来てアウトドアキャンプです。魚を釣ったり何だりで呑気ですね、私とヤン提督以外は細かい準備に当たってます。
「しかし、君だけでおかずに困らないくらいに釣れるな・・・・何かコツでもあるのか?」
「う~ん、私が何も考えてないからですね、流れを読むじゃなくて【無】となるのがコツらしいからで」
「なる程、身勝手のなんとやらか」
身体鍛えたら割とやれるのでは?な人の言い分にしては持ち上げすぎでしょう、それにちょいと違います。
「無にするのは、同じですが・・・・大事なのは己の【内なる宇宙】・・・・それを一体化させる」
もう一匹釣り上げたのをバケツに入れた。義手の違和感も無くなって来ましたけど、アレ?
「いや、君は何やら武術とは違うのをやってたようだね・・・・」
「はあ・・・・染み付いてるとやらですかね」
少しモヤモヤしたけど、それなりに魚を焼いたり何だりで楽しくやっています。補給失敗の責任で左遷されたのが亭主なキャゼルヌ家は来てませんが、近い内に提督のとこで大いに手腕を振るうでしょうね。
その夜に近くにあるおトイレに出向いた際の事。
『報告、やはり予想通りです』
「よし、引き続き監視に当たって下さい・・・・」
『もっと偉そうで良いんですよ『女王様』』
冗談混じりにやってますが、周りにはローゼンリッターがかなり配備されてます。彼等とは奇縁になってますからね、シェーンコップさんが言うには女王に率いられてみるのも一興らしいですが、私が女王と言われても・・・・まあ良いでしょう、ローゼンリッターは他が見れば。
【ヤン・ウェンリーの私兵集団】
それはそれで良い、ヤン提督に義理を感じる集団ってだけなんです。けど、政治家達からしたらどうなるんでしょうね、例えば?
【ヤン・ウェンリーがクーデターとかで自由惑星同盟を頂く】
まあ、そう考えるかもです。ヤン提督はああ見えて人気者になってますから民衆は寧ろ歓迎するでしょうねえ。
そう考えていたある日、私は高級とかではなく町にあると嬉しい実質重視なレストランでお食事してますが?
「つまり、ヤン提督がだな・・・・」
何で、何で・・・・私にこんなのが来やがりますか?
【ジョアン・レベロ】
ローゼンリッターを通して接触して来たのは財務委員長な最高評議会議員の一人、その御方が簡単に言えば危惧したようにヤン提督がクーデター起こしたりしてルドルフみたいになるのを恐れていたのはともかく、私を頼って来たのは何でやねん!
「君はどう考えているのかね?」
「はあ、私に言わずともシドニー・シトレ校長に頼むべきでは?」
そう、レベロ委員長にとって幼馴染みな御方で、ヤン提督も信頼してる御方!まあ、それに関しては裏事情まみれでしょうしね、但し私に頼む意味がサッパリわからん!と思っていたら、とんでもない事を言われ出した。
「何ですって、記憶無いから覚えてはいませんが、私の実家が・・・・この自由惑星同盟の【屈指級な名家】・・・・」
「うむ、君があのアンドリュー・フォークと縁談を進められていた事で多少は気付いていたのではないか?」
尤もだ。コネで自分の作戦を評議会に通せるような奴もだが、それと縁談なんざ整えるようならそれなりですね、だから藁にも縋るとかでですかね・・・・けど?
「ならば、私の実家こそが排除対象でしょう。ヤン提督がルドルフになるかもな存在なら、私の実家みたいのは【ルドルフを生み出した元凶】ですよ」
確かにルドルフは暴虐な銀河帝国の開祖ですよ、ですがルドルフがそんな風になれたの元凶は民衆です!
【民衆が楽をしたがるからさ】
ヤン提督がラップさんとジェシカさんに亡き父の言葉を聞かせた時の楽をしたがる民衆がルドルフが皇帝になる事を後押しした。そもそもルドルフは社会に活力を与えたのは事実。ならば、それを許したのは・・・・。
「レベロ財務委員長・・・・ならば、貴方が御してみれば良いではないですかヤン・ウェンリーをね」
「な、何を・・・・」
「ヤン・ウェンリーを道具や駒として、政治家である貴方が使うんですよ、そうすれば民主主義は安泰なんですから・・・・【シビリアン・コントロール】」
あれ、何か青ざめてます。何て言うか、一番楽じゃないですか・・・・力持ってる軍人を上手く扱うのが政治家の義務です。
「良い案じゃないですか、多分対等な条件での戦争やらせたら銀河で最強の男が配下になってくれますから、後は連携しながら上手くやるんです」
「そ、それは・・・・しかし・・・・」
「取り敢えずヤン提督に自分から会ってみては如何です。酒や紅茶にシトレ校長について等々と、キッカケになる話題あるじゃないですか」
これで退散、疑心暗鬼から抜け出せないならどうなろうと知~らない、知~らない。けど、何でしょうねえ、凄く嫌なもの見えそうで見えないんです。
「ミス・ミズキ・・・・見てましたが、貴女は只者ではありませんな」
「はあ、只でないが駄目なら。いっそ二束三文であれですわ」
シェーンコップさんと一緒に屋台のポテトとコーラでお腹満たしてます。ああ、何か良いですね・・・・幸せな味です。
「ヤン提督にコネが出来るのは悪くありませんが、出来れば貴女に言われる迄もなく自分から来るようなのが好ましいですからな、この後にどうなるかは知りませんが、将来に例えばローエングラム伯にヤン提督をぶつけるなり自分で対談するような事を要求されます。その時には腑抜けではいけません」
「まあ、堂々としてるのじゃないと戦わせるのも駄目で会ってくれもしません・・・・誰かいませんかねえ」
「そうですなあ・・・・軍人で駄目なら、代理人みたいな・・・・それこそ、平時に対面してもローエングラム伯ですら顔の良いだけのロクデナシみたいにしか思わないような剛胆な御方とか・・・・ね?」
「何か、悪い事企んでる顔になってません?」
「いえいえ・・・・では、お暇しましょうか。例の件が進んでますから」
何の事だかは後にして、この前のアムリッツアでジェシカさんとユリアンさんにちょ~っと進めてもらった事があるんです。それはそうとして、ついに?
【ヤン・ウェンリーがイゼルローンを任される事が決定】
私も、まあ一応は衛生兵ですから同行なんですが・・・・。
「ついに、来てしまったか・・・・」
イゼルローンの前に来てヤン提督は嘆いていましたね、そう・・・・ついに来た。
「私の30歳になる日が・・・・借金の返済だって先延ばしが効くのに!」
「無茶言うな!そもそも、年金暮らしが念願な奴が何を抜かす!」
ラップさんのツッコミは尤もだ。家で昼寝したいのが第一なのが年齢なんかと言われましてもねえ?
とにかく、キャゼルヌ少将も早期で来れたから・・・・やるべき事をしましょうかな展開になりましたね、イゼルローンの施設内にしても。
「では、この俺が仲人で・・・・」
【ラップさんとジェシカさんの結婚式】
既婚者なキャゼルヌさんが色々やってますわね。本来、アスターテの後になハズが延期になりましたからねえ・・・・ヤン提督はと言うと、あれは見るの無粋ですね・・・・何だろ、私は何を考えてるのやら。
「おや、記憶が無いにしても何かを感じてるのですか?」
「私には関係無いですから・・・・にしても、悪くは無いようですね」
「ポプラン、お前さんは誰かお相手に狙いはあるのかい?」
「ミス・ミズキ狙いは割と多いようですから、この機に便乗って輩から守る事からね」
コーネフさんの言ってる事は知った事ではありませんが、何か一段落着いた気もします。えと、ブーケってのをフレデリカさんがキャッチしましたけど、それも含めてですか?
『永遠であるべき平和の為に』
まあ、シェーンコップさんの台詞の本歌取りとやらですか?
オルタンスさんや娘さん達も楽しげで何より、私は酒は駄目なんでオレンジジュースを頼んで祝杯とした。
因みに、ヤンは次の日に二日酔いでしたな回。