銀河英雄伝説~銀河への一石~   作:くまたいよう

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 結構、踏み込んだかもな回。


『オーベルシュタインを使いこなせるかもしれない御方』

(渋い御方だ・・・・)

 

【メルカッツ提督】

 

 帝国の宿将とされる御方、ローエングラム侯のような派手さはないが、老練で隙が無い。何より人望がある。隣におられる若い御方が証拠だ。

 

【シュナイダー大尉】

 

 武器を渡して欲しいとされた時に異を唱えた御方の目は淀みが無い、帝国の貴族でこんな風に慕われるとは稀有な御方。

 

 さて、ヤン提督は自分を頼っての亡命だからと一番取って置きな紅茶で持て成しながらご対面をする事になりました。最初に、何故来たかからになります。

 

「何ですって・・・・【家族を殺された】」

 

「実際に見たわけでは無いので真偽はわかりません、ですがオーディンを脱出する門閥貴族達と合流出来なかった部下からはそう聞かされました。私もそれで合流が遅れたので、ガイエスブルグとは別方向のイゼルローンに近い辺境惑星に逃れました。そこでシュナイダー大尉の勧めで亡命を決めたのです」

 

 つまり、メルカッツ提督は家族を人質に門閥貴族に組するようにブラウンシュヴァイク侯というのに持ち込まれた。その後、オーディンを脱出する際に言った通りの流れ。

 

 何かおかしい、帝国首都星オーディンを貴族は予想より少な目にしか捕えらない形だったとした時。

 

「私がメルカッ、ツ・・・・」

 

 プシュっと音がした。やったのは私で帝国側はまさかとする気配があったけど、医務室行きにしたから理解はしてらえました。

 

「失礼、ケガが重かったようなので鎮静剤を打たせて頂きました。まだ命を消費する時ではないでしょう」

 

「噂のナイチンゲール殿か、すまない。シュナイダーには悪いが、彼は生真面目だからケガを理由に大人しくしていられなかったのだ」

 

「いえ、私の方が無礼者ですので」

 

 双方に謝罪しました。今回は予め大尉が危なそうだからと予め許可付きですよ。

 

「メルカッツ提督、どうやら貴方は命拾いしたのか上手く誘導されたのかですね、ローエングラム侯。若しくは計画を立てた参謀は門閥貴族を全員取り逃がしてでも貴方を合流させない方を選んだのです」

 

 ヤン提督は冷たい光を宿した目をしていた。味方側も何名か怖くなってるくらいですが、話は続く。

 

「私でも、そうするかもしれませんね。戦いは数です。しかし、指揮官が無能では数の意味が激減します」

 

 多分、当たり。ヤン提督の言うように数より何よりメルカッツ提督さえ合流させなければ勝ちと踏んだ策、しかし何か劣等感に近いの抱いてるって色もありますよ、提督も自分なりの苦境に思うところありましたね。

 

「ヤン提督、貴方は『オーベルシュタインを使いこなせるかもしれない御方』のようですな」

 

 いきなり出た名前、どんな御方ですかと提督が聞いたら、全員が青ざめた。例のゼークトと言う怒気あって勇気無しな小人にヤン提督の意図を見抜いて伝えてはいたが、聞き入れて貰えなかったですか、冷や汗ものです。場合によってはイゼルローン攻略が失敗していたし、これは同盟には賛否ある流れだシェーンコップさんが何やらヤン提督を煽りたがるのに賛同するワケではないが、こう思った。

 

【勝てない】

 

 要するに、そのオーベルシュタイン参謀長が想像通りなら・・・・ローエングラム侯は、元々手段はある程度選ばないタイプだけど汚れ仕事をやってくれる忠臣を手に入れていた。客観的に見たら恐ろしい、マキャベリズムの尻尾としたら完遂されたなんてヲチは怖いにも程がある。尤も、それは味方からの方がダメージかも。

 

 もしもだけど、オーベルシュタイン参謀長がローエングラム陣営の・・・・とした時、思い浮かんだのは。

 

「キルヒアイス提督次第だね」

 

 やはり、劇薬みたいになりそうな存在に対しては善良な存在がどうするかなんだろうけど。どちらがNo.2になのがマシなのか。

 

 しかし、外からメルカッツ提督なら内からはどうかとしてたら・・・・とんでもない展開があった。

 

「提督、イゼルローンに【クーデター派からの亡命】を希望している者達が近付いています!代表者は【バグダッシュ少佐】・・・・グリーンヒル大尉を頼っての事だと!」

 

「え、バグダ・・・・っ」

 

 私はフレデリカさんに待ったを掛けた。駄目だとわかったからだ。これは不味い!今度は、味方陣営からの手にまんまとやられたかも。

 

 

 

 

 

 その頃、帝国の側。

 

 

 

 

 

「私に何の用件ですかなキルヒアイス提督?」

 

 私が相対しているのは正直、危険と感じている男です。

 

【オーベルシュタイン参謀長】

 

 ラインハルト様が参謀が必要だとして招き入れた人物ですが、初対面から恐ろしい男とは私達の誰もが感じていた男。

 

「貴方に聞きたい事があるからです。メルカッツ提督について」

 

「予定を急に変更したのはメルカッツ提督を門閥貴族に合流させる事だけはさせない方向を決めただけの事、逃げ延びて同盟に亡命されたとしてもです」

 

「私は、そこは甘く見てはいません。ヤン提督とメルカッツ提督が組んでは恐ろしい驚異になります」

 

「ほう、何故二名が連帯出来るとお思いになるのですかな?」

 

「何ですって?」

 

「キルヒアイス提督、同盟の政治家は体制以前に貴方やローエングラム侯ではない、メルカッツ提督がヤン・ウェンリーの片腕となって十二分に働くのは直ぐは不可能でしょう。例えますが、我等が当面に倒そうとしている門閥貴族にヤン・ウェンリーが帰順したとして自由に動けるとお思いか?」

 

 絶対に不可能だと思わざるを得ない。そもそも我等の陣営に招けても図抜けた能力があるので連帯が心配かもしれない以前に、私には恐ろしい予感があるし、期待がある。ヤン提督は参謀長を抑え込めるかもしれないと。

 

「まあ、それならそれでヤン・ウェンリーが門閥貴族と組んで我等を脅かしていただろうから複雑ですな、キルヒアイス提督。貴方に一つ聞きたい。今回の内乱に勝利した後の時期に我等が陣営にヤン・ウェンリーを迎え入れて欲しいとローエングラム侯に頼まれたら貴方はやれますか?」

 

「やれます。いえ、やってみせます・・・・っ」

 

 表情が強張ってしまった。それを見透かされた予感がしたが、実証されるように参謀長は話を再開した。

 

「ですが、それはヤン・ウェンリーに祖国を裏切れと言いに行くとする事になりますな・・・・貴方には向かない仕事です。やるなら、時間が必要です。少なくとも、イゼルローンにいる第13艦隊を分断するか同調させられるかの下地を向こうが整えてくれます」

 

「それは如何なる事です?」

 

「【ティア・ミズキ】なる女性です」

 

 そう言えば、参謀長が気にしていたとも覚えています。何故かと問い掛けたら・・・・私は、アンネローゼ様を狙った者達を相手にした時の次を争う程に感情を高ぶらせたような気がした。ですが、場合によってはイゼルローンと彼女が。

 

【銀河と言う水面に投じられた一石になるかもしれない】

 

 そう思ってしまったのです。




 ティア、何故かやはりオーベルシュタインに目を付けられてたが確定回。
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