銀河英雄伝説~銀河への一石~   作:くまたいよう

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 苦難の始まり


『自由惑星同盟内の戦争反対派最大の敵』

「大胆な事を仰る・・・・」

 

 漸く口を開いてくれたシェーンコップさんの第一声はそれでした。そうですね、ヤン提督をイゼルローンから出さないようにする=監禁しときたいとかではない、あちらさんなりに考えた結果として?

 

「つまり、提督をこのイゼルローンの主として帝国に対する防壁として一生を捧げて頂くという事ですかな?」

 

 ハッとなった。確かに、今の段階でヤン提督をイゼルローンから出さないと言うのはそういう事くらいですか。

 

「まあ、そうすれば私はハイネセンに帰らずに済みそうなので」

 

 敢えてワガママを言ってるだけの言い分、けどそれも何かが違う。

 

「それはさておき、帝国が攻めてくるならヤン提督に此処を守ってもらうのは有りです。しかし、忘れてはならないのは、このイゼルローンは『元々は帝国のもの』・・・・つまり、弱点を知っててそれを突かれたら終わりです。尤も捕虜にしたり主砲で消し飛ばした御方のようなのが司令官クラスになれるという事は、本当に無いと踏んでるかもしれません」

 

「だが?要塞に籠ってばかりなら良いワケではない、そもそもフロイラインは何故そんな事を言い出したのです?」

 

「『 』されるからです」

 

 アレ、私は何を言ってるんですか?

 

「ヤン提督は不用意に要塞の外に出ると『 』される。そして、悪さをした人達は自業自得だけど?提督の大好きな人達は苦労する」

 

「・・・・落ち着いた方が良い、私もヤン提督のような御方が軍のそれなりの立場でいてくれれば楽が出来そうだ。そう感じる者は多い、で・・・・成る程っ!確かに、出る杭は打たれると言うからヤン提督は『自国の誰かに消される』かもしれない」  

 

 自分が何がどうなっているのかわからないけど、シェーンコップさんの疑念は正しいし同意です。功績上げた者の有りがちな展開。

 

 今回のイゼルローン攻略はヤン提督個人としての意図はともかく、周りがどう反応するかが問題です。先ずはちやほやされる・・・・そして、次は?

 

 歴史全体からしたら、ヤン提督はイゼルローンを攻略しない方が幸せだった結果に繋がり兼ねない。

 

「心配しなさるな」

 

 何か、幼女にするように頭を撫でてくれてますね。もしかして隠し子や認知してないのがいるかもしれないのにそりゃないでしょ。

 

「私も功績を上げさせていただいたご恩がありますからな、部下共々ヤン提督が不用意にハイネセンで迷子になっていても安全なようにお守りいたしましょう」

 

「お願いします」

 

 それが良い、少なくともヤン提督には生きていて欲しいんですよ。ユリアンさんやキャゼルヌ一家の為に・・・・で?

 

「だから、頭をナデナデはやめて下さい。そういうのは実のお子さんにやるのが先です」

 

「私には子供は・・・・」

 

 心当たりがありますね、私はどうでも良いですが責任は取りなさい。しかし、こんなんでも私の両親よりはマシと感じるのは虚しいのか喜ばしいのか。

 

 

 

 

 -ー-ー-ー。

 

 

 

 

「ティア君?」

 

 ムライさんが何か神妙にしてますけど。

 

「シェーンコップ大佐と仲が良いようだが、君は中年好みなのかね?」

 

「アレは自分を中年と思ってませんよ」

 

「確かに」

 

 何を言いたいのか知りませんが、私はさっさと退役したいですねと考えながらついにハイネセンへの凱旋日になりました。何があるかはわかりませんが、少なくともシェーンコップさんがヤン提督に好意的なのは喜ばしいです。

 

 

 

 

 -ー-ー-ー-ー。

 

 

 

 

 そして、凱旋したら。

 

(祭りのつもりですか?)

 

 あ~~、うっさいうっさい!

 

 ヤン提督はパトリチェフさんの荷物ケースに入って密航状態でマスコミの目を掻い潜っての辞職チャレンジに行きました。結果は宛にしない方が良い気がするけど、シトレ元帥はそれをどう取るかですね。

 

 で?

 

「ティアさん!イゼルローンを陥落させた功績について是非!」

 

 何で私のとこに来やがりますか?

 

「イゼルローンの帝国司令官をちびらせた勇姿について是非!」

 

 私は眉を引くつかせた。情報が漏れているだと!?

 

 

 

 -ー-ー-ー-ー。

 

 

 

「そりゃ問題だな・・・・」

 

 何とか逃げ出してキャゼルヌさんと話していますが、これは不味い。

 

「誰かが口を滑らせたならまだ良いですよ、けど帝国捕虜からの情報が伝えられたとしたら経緯が問題です」

 

「お前さんから見たのはそっち寄りか、わかった。調べとこう」

 

「ちょっと、待って下さい!私を信用するんですか?」

 

「疑う理由が無いぞ」

 

 居心地悪い・・・・何でそうなりますかね。ヤン提督と支持者は・・・・はあ、まあ良いですよ。それが仇になるのはやっぱり・・・・として慎重に過ごしていたある日、ハイネセンを騒がすニュースが広まった。

 

 

 

『ヤン提督の滞在したホテルが、戦争反対派に爆破された』

 

 

 

「・・・・」

 

「フロイライン、いや・・・・ミス・ミズキの予感大当たりですな」

 

 シェーンコップさんと一緒に現場近くに来ましたが、神妙な声を出しています。ヤン提督は無事でしたけど暴行受けたようですね。居合わせたユリアンさんが言うには面会に来たのが戦争反対派内の過激派だったようで揉め事に発展した。近くにいたローゼンリッターの隊員が乗り込んで、殴り込んだ連中を叩きのめしたは良いけど、何者かが建物を爆破、隊員達に連れられてヤン提督は何とか避難は成功した・・・・いや、その前に?

 

「やはり、犯人の意図はまだしもキッカケは提督がイゼルローンを攻略したからですか」

 

「ですな、アレで戦争賛成派がヤン提督を持ち上げて毎日お祭り騒ぎで『自由惑星同盟内の戦争反対派最大の敵』はヤン・ウェンリーとなってこの始末ってところです・・・・この後は?」

 

 シェーンコップさんの目がイゼルローンの時以上に鋭くなってますね、そう・・・・この後は悪い予感が的中する未来しか見えなかった。




 一応、オリ主とシェーンコップの仲間意識は深まった。
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