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俺はヤノ・アキラという名前で新たな生を受けた者だ。それ以外の名前は、正直に言ってしまうと忘れてしまったので分からない。
それ以外の名前というのが何かと言うと、まず俺が転生者であるという事がそれには関わってくる。
転生者。文字通り、転生した者。此処とは別の世界―――もとい、リアルを生きていた人間が俺だ。まぁ、その生きていたリアルの事についても全く憶えていないのだが。
ぶっちゃけて言うなら、そう。何も憶えていないというだけだ。前世の記憶とやらが、俺には欠片も残っていない。
それなのに、自分がその前世とやらからこの世界に生まれてきた事はしっかりと憶えている。自分でも訳が分からん脳の作りだ、いったいどうなっているのやら。
前世の記憶はない癖して、それ以外の知識という、記憶というか、そういうものは都合良く残っている。要らないとは決して言わないが、もうちょっと前世の記憶というやつを残していてほしかった思いがある。それはもう強く。
神様という曖昧な存在が本当に居るのであれば、もしその神様が俺を転生させたと言うのであれば、是非とも叫ばせていただきたい。碌に使えないであろうガラクタだけ寄越して消えるんじゃねぇ、と。
この世界、実に生きにくいのだ。前世について全く憶えてないやつが何を口にしているだと言いたくなる気持ちは勿論だが、それを踏まえてもこの世界は大変生きづらい。
モビルスーツ? とかいうバカみたいにデカい機械が存在する上に、コーディネイターとかいう新人類が誕生しているからコーディネイターではない普通の人間をナチュラルだの何だの呼称している。
何でも、コーディネイターはナチュラルよりも大変優れているらしい。かつて流行った病気でナチュラルだけが何人、何十人も死亡した中でコーディネイターは死亡者0人だったのだとか。凄いっすね、はい。
まぁ―――だから何? という話しではあるけれども。細かい事とか全く気にしない性分の俺としては、コーディネイターとかナチュラルとか一々気にする必要なんざ欠片もない。要するにあれでしょ、天才的な人間か一般的な人間かみたいな些細な違いでしょ? だったら気にするだけ無駄だろう。
遺伝子操作で才能がーとか言われても俺バカだから分からんし。そもそも分かろうともしないし。何故なら眼中に無いのだから。コーディネイターだろうがナチュラルだろうが、結局は自分の理屈を押し通す為に戦争を引き起こす
どっちもどっち。大した違いはない。才能とかそういうのは考えるだけ無駄です、はい。それに追い付こうと努力する人間なら頑張れーと応援が、生憎と俺はそんな熱血じみた人間ではないのだ。
この日本刀の形をした二つの武器だけしか付けられないモビルスーツに乗って、金を稼いで静かに暮らせればそれで十分だろう。偶に友人と会って話すくらいが丁度良い生活になる筈だ。
戦争に巻き込まれる事になってるけど、まぁそれも仕方ない。こんな生きづらい世の中だ、勝手に殺されるのも癪だし、どうせ殺されるのならせめて抗って殺されたい。出来るなら普通に生きていたいのだけども。
そういえば、金稼ぎで色々なところを動いていたら学友と再会する事になった。イケメンで生真面目な、幼い頃からの友人なのだが、ある時に別れてしまって以来会っていなかった。それがまさか軍で再会する事になろうとは。
なんか俺見てめっちゃ驚いてた。まぁ、そりゃそうか。久々に友人と会ったら傭兵みたいになってるんですもんね。そりゃびっくりしますわな、俺としても友達が軍のエースパイロットしてる事には普通に驚いてますけどね。何してんだよお前、趣味の仕事には走らんかったの?
連絡くらい寄越せやと思っていたが、軍に所属していたならそれも無理かと納得した。わざわざ俺らみたいな一般人と連絡取ってる暇はないもんなーって言ってたら、普通に申し訳なさそうな顔をされた。本当に生真面目だな、そんなに重たいこと言ってないよ?
とか言いながら、そういえば俺も連絡取ってなかった。ここ数ヶ月は連絡取ってないですね、友達に。仕事やってるんだよーみたいな感じで言ってはいたけど、まさか数ヶ月も連絡取らんとなれば何言われるか分かったもんじゃない。
よし、ここは何も言わないでおこう。彼奴は怒ると怖いんだ、意外とね。
ヤノ・アキラ(転生者)
ガンダム知識が欠片もない転生者。ナチュラルだけどナチュラルっぽくないナチュラルの様な何か。決してコーディネイターではない。
二人の友人が居り、片方の友人からコーディネイターについて話された際に「コーディネイターって何? お前いつの間にデザイナーになったの?」と言い放って友人を困惑させた凄いやつ。
友人(モウヤメルンダッ!)
ザフトに所属するエースパイロット。なんか上司が腕の立つ傭兵連れてきたよーって言いながら連れてきたのがまさかの幼い頃からの付き合いの友人でびっくりした。何をやってるんだ、お前は! とつい叫んでしまって煩いと本人に叱られた。