ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム・イン・ゲンソウキョウ 作:毛糸ー
けど、DKE連中を見て「ワンソー派ってこんなんばっかか??」と悲しくなった思い出……。
(勿論アイアンコブラ総帥は除く)
「クキキキ……ドーモ、ギャラルホルンです」
胡乱なニンジャの名乗りを聞き、紫は考えを巡らす。ギャラルホルン。彼女が外界を除く時に幾度か出てきた名であり……そしてその正体はダークカラテエンパイアに属するニンジャ、ケイトー・ニンジャその人である……!
ケイトー・ニンジャはフマー・ニンジャ*1との一騎打ちや、ダイコク*2の宴、猿殺し等の伝説で知られているがしかし、西軍*3に属していた際には、ケイトーは凡百のニンジャ将軍に過ぎなかった。
だが、ニンジャ大戦後、いつしか彼は権謀術数を駆使する極めて危険な存在と化し、ニンジャ・ヨーカイ・神などにのべつ幕なしに取り入ってはその技術を盗み、あるいは狂わせ、破滅させてきた。
また特筆すべきことに、舌先三寸で相手を操ることを趣味としているきらいがあり、様々な偽名*4を使う。無論、カラテのワザマエも凄まじい。彼がやむなくカラテを振るう時、緋色の稲妻が閃くという……。
紫は油断なくケイトーを見据え、すぐにでも妖術を発動する準備を整えながら、彼に問う。何故、この尋常の手段ではリアルニンジャであっても決して立ち入ることのできない隠れ里、幻想郷に侵入したのか、そしてその手段を。
「……この遍く幻想集う地に何の用で、そしてどうやって立ち入ったのかしら。ギャラルホルン殿?」
ケイトーは周囲を見渡し、数瞬何かを考えると立て板に水を流したが如く、嘘か本当かも分からぬことを話し出した。
「私はジャーナリストでねェ、ネオサイタマに発生した謎のオリガミについて取材を行っていたのだよ!それでだねェ、私はオリガミから謎の力がどこかに引き込まれていることを突き止めたら、アナヤ!いつの間にやら現世から消えたヨーカイ共の集う楽園ではないか!クキキキ!」
な、何たる欺瞞!今、ネオサイタマの様子を探ることのできる、魔術に造詣の深い読者はいるであろうか!そのような読者の方々は、現在ネオサイタマがニンジャスレイヤーを獲物としたカリュドーンの儀の会場となっていることが分かるであろう!
そしてこのケイトーこそ、カリュドーンの儀の参加者が一人!ケイトーが狩人として派遣したるは、英国に根城を置く暗黒メガコーポ*5、カタナ・オブ・リバプール社製美少年バイオホムンクルスニンジャ、マークスリー!
ケイトーは狩りに敗北したマークスリーの死を偽装し、かの美少年ニンジャを救出した際、赤黒のオリガミから父祖カツ・ワンソーに献じられるはずの力*6がどこかへと流し込まれていることに気付いた。それは実際、か細いものであり、セトの我田引水行為*7とするには傾向が違っていた。
ケイトーはこれを訝しみ、コンヴァージ・ベルゼブブ両狩人の敗れた地まで向かうと、やはり力を吸い上げた
ケイトーの鋭敏なニンジャ第六感は、己の意図によらぬ瞬間移動は獣と己の狩人の激闘により生じたオリガミによるものであると感づいていた。そして、他の狩人により出来たオリガミはまた別の作用をもたらしているであろうことも、ケイトーの頭によぎっていた。
無論、ケイトーはこんな場所に長くとどまる気はない。臨戦態勢のヨーカイ達を見渡しながら、彼はヨーカイ共をなだめる言葉を重ねる。
「クキキキ……まぁ、そういきり立たないでくれ給えよ……。私はこの異郷の地からすぐにでも立ち去るつもりなのだからねェ!……ああそれと。オリガミによる影響が出ておっても、変な事はせんことを進めるよ」
最後の忠告は、善意から出たものではない。オリガミの正体が分からぬ以上、それが引き込んでいた力による何かをこのヨーカイ共が無遠慮に何かすれば、カリュドーンの儀に不測の事態が起こることも考えられる。それを防ぐための牽制めいた一言であった。
当然、紫も自分達の牽制という裏の意図を悟った。ケイトーの発言を受け、傾国めいた艶美な笑みを浮かべながら紫は言う。
「あら……そうでしたの。それでは……美しく残酷にこの大地から
紫の大声と共に、ケイトーの足元の空間が裂ける!その裂け目の端には赤いリボンが括りつけられ、裂け目の向こう側には目玉が大量に覗く不気味な空間が広がる!これこそ、紫が操る亜空間、スキマである!
「……クキキ!」
一瞬驚きはしたものの、ケイトーは平然としている。彼の鋭敏なニンジャ洞察力は、紫の僅かな表情の変化から、この地から立ち去るには足元の亜空間を経由する必要がある事を察知したのだ。返す返す、恐るべきニンジャであった。
ケイトーがスキマに吸い込まれて消えた後*8、紫は有力者達に向き直る。
「あれの言うことが確かなら、この幻想郷に現れた狩人はオリガミの影響。そして、あのニンジャ達に手を出せば、何が起こるか分からないことも、理解できたわよね?」
「あ、あんな胡乱なニンジャが真実を言っているとは限らないだろうが!」
この場にいる者の一人の反駁にも、紫は冷静に対応する。無論、彼女はケイトーを信用などしていない。しかし、歴史の闇に紛れて暗躍してきたケイトーのニンジャ洞察力と、最後に残した言葉の真実味を鑑みれば、彼が真実を言っていることは明らかであった。
「……あれはケイトー・ニンジャですわ。カツ・ワンソーの眷属の一人。現在カリュドーンの儀の真っ最中であるダークカラテエンパイアのニンジャの一人がこの幻想郷に現れた。その意味が分からぬほど、皆さまは蒙昧ではございませんよね?」
先程のニンジャが『赤黒のオリガミやそれによって幻想入りしたニンジャには手出し無用』と警告しに来た可能性に気付き、口をつぐむ有力者達。結局、この日の会合は狩人達が問題を起こさない限り静観するということで皆が同意し、お開きとなったのであった……
あっと……狩人たちが幻想入りした理由書いてないじゃん!