ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム・イン・ゲンソウキョウ 作:毛糸ー
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博麗のミコー、博麗霊夢はその人影を見た時、最初は参拝客かと思った。滅多に人間が来ない博麗神社*1にやってきた参拝客に対し、霊夢はミコーとしての意気込みを新たにした。だが、やってきた者の正体が分かるとその意気も霧散した。
その正体は、ジャンクと共に不満を一身に纏ったニンジャ、コンヴァージであったからだ。「あんたに出す茶は無いわよ」打って変わって冷淡な霊夢に対し、コンヴァージも唸るように応じる。「貴様の面なんぞ、ザンム=サンの命令でもなきゃ見に来んわ」
「残無?……あんたがあいつの代わりってこと?」新地獄の支配者、日白残無は一時期しょっちゅう霊夢の元に顔を出していたが、紫*2によって釘を刺されたため、博麗神社周辺には寄り付かなくなっていた。
その代わりがコイツだとしたら何という厄日だろうか。霊夢は先日の異変時*3とその後の宴会の二度にわたってコンヴァージと相まみえているが、このニンジャへの印象は極めて悪い。
最初の邂逅から印象が最悪であり、奴の使う弾幕でさらに印象は悪化し、酒宴での一幕でその印象は決定づけられた。紫が言うには「あのニンジャが本気を出したらあんなものではすまない」らしいが……。
そのコンヴァージは早々に博麗神社から立ち去ろうとしていた。霊夢はそれを呼び止める理由もないので見送ろうとした……が、ふと疑問がよぎった。だが、霊夢の「ねぇ」という呼びかけにも答えずにコンヴァージは石段を下りてゆかんとする。
「ねぇ……ねぇちょっと。おい!おいこら!」「……何だ」やっと振り向いたコンヴァージに対し、霊夢は憮然とした表情。
「人が呼んでんだから、無視して帰るような真似しないでよね」
目を細め、ニンジャアトモスフィアを強めるコンヴァージに対し、霊夢は平然としている。そして疑問を吐き出した。
「あんたさぁ、どうして今になっても残無に仕えてる訳?他の連中はみんなあいつの部下をやめたってのに」
先日の異変で暗躍した残無の部下はコンヴァージだけではなかった。だが、霊夢の言うようにその部下達はコンヴァージを残して残無の元から去ったのだ。何故彼はいまだに配下として収まっているのか?対して、コンヴァージの応答は簡素なものだった。
「他の連中の事なぞ知るか。ザンム=サンは俺の主だというだけだ。主の命令は絶対。当然のことだろうが」
霊夢は正直に言って、コンヴァージの発言にだいぶ驚いた。この傲岸不遜を瓦礫と共に纏っているような輩が『主の命令は絶対』などと殊勝な事を言うとは。
「あんた意外と忠義に厚いのねぇ」
霊夢の戯言を聞いてコンヴァージは鼻を鳴らし、博麗神社の石段を下りて行った。
この後、ザンムの命令で博麗神社にしばしば訪れる羽目になるのをコンヴァージは知らなかった……。