ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム・イン・ゲンソウキョウ 作:毛糸ー
※2024/05/06 あとがき削除。今後の展開に合わなくなったため
ケイジ・オブ・イモータリティ:#1
【これまでのあらすじ】
カリュドーンの儀に参加したムカデ・ニンジャの代理戦士コンヴァージは、ニンジャスレイヤーに敗れ、爆発四散した。しかし、彼は謎めいたオリガミの力で、忘れられた者達の住処『ゲンソウキョウ』へ流れ着いてしまう。畜生界*1で目覚めた彼は、紆余曲折ありて新地獄*2の支配者、ニッパク・ザンム*3の配下となった。
ザンムはゲンソウキョウにやってきたニンジャに関する諸問題について任されている。そして今回、旧地獄*4からの要請があり、ザンムはコンヴァージを旧地獄へ派遣することにしたのだった……。
「……誰だ貴様」ザンムからの指示で旧地獄なる場所に赴いたコンヴァージ。ヨーカイの山のテング*5共を殴り倒し、入り口の洞穴からダイビングした*6コンヴァージを待っていたのは、奇妙な少女だった。
桃色の髪なのもそうだが、何より奇妙なのは体にコードで繋がっているらしき第三の目と言うべき器官である。 (またぞろヨーカイか?)ダイビング中に襲い掛かってきたヨーカイ共を思い出し、ウンザリとした気分になるコンヴァージに不可解な言葉がかけられた。
「ええその通りです。……ドーモ、初めまして。私はサトリ・ヨーカイのコメイジ・サトリ(古明地さとり)。あなたをこの旧地獄へ呼んだ者です」
(……ん?)コンヴァージのニューロンに、違和感がよぎる。
「よく分かりましたね。……実は私、心が読めるんですよ」
その違和感に合わせるように、サトリが答える。コンヴァージは目を細める。サトリはそれに構わず続ける。
「……コンヴァージ=サン、変な事は考えないように。あなたの主に迷惑がかかりますよ?」
「……チッ。それでサトリ=サン。何故わざわざザンムの部下である俺を呼び寄せた?ザンムも言っておったが、大抵の問題は貴様らで解決できるだろうが」
特大の舌打ちをすると、コンヴァージはサトリに今回呼び出した理由を問う。何故旧地獄の者達が複雑な思いを向ける*7ザンムの部下をわざわざ呼び寄せたのか?
それに対するサトリの答えは簡潔だった。「ニンジャが現れたのですよ」コンヴァージの口角が思わず吊り上がる。サトリはそんなコンヴァージを牽制するかのように言葉をかぶせる。
「いえまぁ、ニンジャの方は解決したんですよ。あなたに頼みたいのは、あれが現れた前後におかしくなった私の妹のことでして」
コンヴァージの表情が心を読まなくても内心が分かるほどに歪んだ。サトリはこの人ちょっと面白いな……と思いながら続ける。
「私たちの元に転がり込んできたニンジャは危険でしたので、私が鎮圧したのですよ。私のペットにも不用意に近づくなと厳命しました」
サトリの発言にジャンクの片眉を上げるコンヴァージ。目の前のカラテが足りないように見えるヨーカイがニンジャを鎮圧したとは。心を読まずともその驚きを見て取ったサトリは、一瞬ほくそ笑み、すぐに困った顔になった。
「ただ、私の妹、コイシは奴を押し込めている部屋に躊躇いもなく踏み込むのです。そして出てきた時には、ニンジャは異様な恍惚の表情を見せ、心を読んでも要領を得ない」
コイシとやらの心を読めばよいのでは?コンヴァージは訝しんだ。だがそうもゆかぬらしい。サトリが続ける。
「……コイシの心は、諸事象あって読めないんですよ。一番妙なのは、あれがこの旧地獄に現れた前後ぐらいから、『オモイ』というイマジナリーフレンドが出来たことです。傍目には一人芝居をしているようにしか見えないので、心配で心配で」
(貴様の妹のメンタルケアのためだけに俺を呼び寄せたのか?)
「そういう訳ではありません。ただ、あの子がイマジナリーフレンドを作ったのはあのニンジャの影響がしてならないんですよ。
(何でもかんでもニンジャのせいにするな)
「……あのニンジャは頭をいじくるのが大得意でしたから。あなたも知っているはずですよ?」
コンヴァージは自分が何か考えるたびに言葉を返してくるサトリに苛々し始めていた。(だがまぁ、イモータルとはそんなものか)己の主人であったムカデ然り、自分達をネオサイタマまで呼びつけたセト然り。何とか内心のいらつきと折り合いをつけた彼に、サトリが口をとがらせる。
「……流石にあれらと比べないでもらえます?それに、間違いなくあなたも知っているはずですよ。彼とあなたは同じニンジャに殺されてこの幻想郷に流れ着いたのでしょう?」
コンヴァージはそう言われてニンジャスレイヤーについて思い出す。奴は明らかにニンジャ戦闘に慣れていた。その手にかかったニンジャは数えきれないだろう。それだけでは絞り切れるはずも無いだろう。そう不満げに思う彼に呆れるように、サトリは言葉を返す。
「あなた、自分と同じ狩りにいそしんだ者の顔ぐらい覚えましょうよ……。我々の元にやってきたニンジャの名はサロウ。あなたと同じ、ニンジャスレイヤー狩りの狩人です」
コンヴァージはそれを聞いて目を見開く。これで二人、否、自分を含めれば三人の狩人がこの幻想郷に迷い込んだというのか?彼は魔術や儀式など信じぬニンジャだ。だが、その彼であっても何かの符号を感じずにはいられなかった。
コンヴァージが妙な胸騒ぎを覚えているのも気にせず、サトリは旧地獄でもひときわ巨大な建物の前で立ち止まる。いつの間にやら、橋も旧地獄歓楽街も通り過ぎたらしい。サトリはコンヴァージに向き直り、慇懃に礼をする……!
「ようこそ、コンヴァージ=サン。地霊殿へ」