ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム・イン・ゲンソウキョウ 作:毛糸ー
【これまでのあらすじ】
コンヴァージは己の主の命で、オールド・ジゴク(旧地獄)へと赴く。一時は(コンヴァージにとって)徒労に終わるかと思われた任務であったが、オールド・ジゴクの管理人サトリの妹、コイシがオモイ・ニンジャと名乗ったことで場のアトモスフィアが変わった……!
【コメイジ・コイシ(古明地こいし)って誰?】
・オールド・ジゴクの管理人、コメイジ・サトリ(古明地さとり)の妹。姉と同じくサトリ・ヨーカイ。
・サトリ・ヨーカイの『心を読む程度の能力』を忌み、第三の目を閉じた結果、『無意識を操る程度の能力』に目覚めた。
【オモイ・ニンジャとは何者?】
・オヒガンを漂う高位アブストラクト存在であり、現世と関わるには自我の乗っ取りと外殻を必要とするニンジャ。ダークカラテエンパイアの一員。
・ストラグル・オブ・カリュドーンの儀にサロウを代理戦士として送り込んだ。数々の横紙破りの末、ニンジャスレイヤーに外殻を爆発四散させられ、再びオヒガンに逐電したはずであったが……?
「……うふふ。うふふふふふ。ドーモ、オモイ・ニンジャです」
その名乗りを聞いた瞬間、三者は目を見開く!ニンジャ二人はひとまずアイサツを返す。何故ならば、古事記にも記されるように、アイサツはされれば返さねばならぬからだ。
「……ドーモ、コンヴァージです」
「ド、ドーモ、サ、サロウです。オ、オモイ・ニンジャ=サン……!?」
二人のニンジャがアイサツを返した後、サトリは震えながらオモイ・ニンジャと名乗った相手を詰問する。妹を乗っ取ったらしき相手を。
「……コイシを、どうしたのですか!」
「うふふ……今は
ギリッ。サトリは、白々しくも己を姉と呼ぶ目の前の相手を、歯軋りと共に見据える。それを見、オモイ・ニンジャはコイシが決してしない邪悪な表情でクスクスと笑う。歯軋りの音と入れ替わるようにコンヴァージが尋ねる。
「なぜわざわざ俺の人格を狙う?オモイ・ニンジャ=サン。その餓鬼の人格が気に入らんなら、
そこのサンシタの自我を乗っ取ればよいだろうが」
コンヴァージの質問に、オモイ・ニンジャは侮蔑したような笑みを浮かべる。
「そこのニボシ、ぜーんぜん役に立たないんだもん!私が手伝ってあげたのに、獣は殺し損なうし、獣でもない奴には負けるし!私が乗っ取ってもノーカラテすぎてニンジャスレイヤーに何もできなかったし!」
コイシの身体と自我を借りたオモイ・ニンジャに散々にけなされ、塩を浴びたナメクジめいて項垂れるサロウを、コンヴァージもサトリも一顧だにしない。コイシ、あるいはオモイのアトモスフィアが、爆発的に膨れ上がったからだ!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
コイシの持つナイフと、瓦礫の拳がぶつかる!アカラの力が侵食する前にナイフを引いたコイシはトライアングル・リープで死角から襲い掛かる!当然コンヴァージは拳で答える!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
(コイシが表出していないなら、私の能力でトラウマを掘り起こせば……!)サトリはコイシの瞳が虚無に覆われていないのを見て取った。コイシは第三の目を閉じ、無意識を彷徨するようになってから、サトリの心を読む能力を受け付けなくなった。
だが、現在はコイシの身体をオモイなる邪悪存在が略取している。今ならば、読心を応用してトラウマを見せつけられるのでは……!?だが、そうは問屋が卸さない!
(((オネーチャン!ヤメテ!ヤメテよ!アハハッ!アハハハハァッ!)))
「ンアアーッ!?」
読心しようとしたサトリに、超自然エコーが語り掛ける!オヒガンを漂う抽象存在リアルニンジャの禍々しき一端を垣間見せられ、サトリは悶絶!だが、その隙にコンヴァージが殴る!コイシの身体が傾ぐ!
「イヤーッ!」「ンアーッ!?」
「……それ以上私の妹を殴らないでくれます?」
(貴様の妹が間抜けにも乗っ取られたのが悪い)
サトリはそれを睨むも、コンヴァージは意にも介さぬ!しかしコイシは先程の一撃がなかったかのようにゆっくりと宙に浮かび上がる!その瞳は眼下のコンヴァージらを映しているようで、何も映してはいない!
「ふ~ん……オモイ=サンは『儀式前にやられてノーカン扱いになったマヌケ』って言ってたけど、強いんだね!スゴイスゴイ!」
「…………間抜けかどうか、試してみるか、餓鬼」
コンヴァージは小娘が放った己への罵倒に殺気を高めるが、サトリはそれどころではない!コイシの人格が、コイシのものに、戻っている!?
「コ、コイシ!?」
「そうだよ!お姉ちゃん!コイシだよ!オモイ=サンがごめんね!まったく、私は乗っ取られてなんていないのにさ!」
「コイシ、なんですね……!オモイとやらはどうなりました?」
安堵の息を漏らすサトリ。だが、事態はまだ、終わってはいない!
「とやらって……。んもう、お姉ちゃん、ひどいなあ。オモイ=サンは私のお友達なのに!」
「「えっ……?」」
唖然とするサトリとサロウを差し置いて、コイシは言葉を続ける。その妙なアトモスフィアに、コンヴァージの殺気も和らいだ。この小娘はさっきまでオモイ・ニンジャとやらに乗っ取られていたはずでは?
「私が無意識の中で彷徨ってた時、オモイ=サンに出会ったの!それでね、私たち、すぐお友達になったの!」
(エッ……)
(乗っ取られていたわけでは、なかった??)
(俺を狙うとは、つくづく運の無い奴よ……)
呆然とするサロウ・サトリ、殺意を高めるコンヴァージに構わず、コイシは続ける。
「それでね、私の中にいるオモイ=サンは、あなたの自我が欲しいんだって!だからね……チョーダイ!イヤーッ!」
声が裏返り、瞳に邪悪な光が宿ったかと思うと、コイシ、否、その身体を借りしオモイがコンヴァージに襲い掛かった!
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