ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム・イン・ゲンソウキョウ 作:毛糸ー
今回のスレイトは幻想郷の住人がメインです。
スレイト・オブ・ニンジャって最初は短かったけどどんどん長くなっちゃって……という思いがあるので、今作のスレイトは短めで行くつもりです。
【森近霖之助って誰?】
・道具屋『香霖堂』を構えるモータル(≒人間)とヨーカイのハーフの男性。道具の名前と用途が分かる能力を持つ。手先が器用。
・無縁塚で収集した物を香霖堂で売っているが、気に入った物は売らないこともある。
【ナズーリンって誰?】
・ネズミ耳の少女のヨーカイネズミ。毘沙門天の弟子で、命蓮寺にいる毘沙門天のミョダイ(=名代)、寅丸星の監視役を努めている。命蓮寺に居付いているが、無縁塚近くにも拠点がある。
・ダウジングが得意。無縁塚では掘り出し物を探そうとしている。
【無縁塚ってどういう場所?】
・ゲンソウキョウと外界とを隔てる結界、博麗大結界が薄くなっている場所。その特性上、外の世界の物品が入り込むことがある。
・外の世界から食料として連れてこられた人間、あるいは迷い込んで死んだ人間(=外来人)が葬られているが、管理は杜撰。
◆幻◆想◆郷◆
「あったあった」
ユーレイめいた人魂漂う無縁塚。モリチカ・リンノスケ(森近霖之助)はこの危険域で、『外』から流れ着いた物品を探していた。今日見つけたのは、謎のカンバン。自分を削り取って笑うケバブ擬人化めいたキャラクターが描かれた、リンノスケには理解しがたいカンバンであった。
それを見て狐につままれた表情ながらも、リンノスケは己の能力を使う。彼はハーフ・ヨーカイであり、見ただけで道具の名前と用途が分かる能力を持つのだ。だが、それでもこの不可解カンバンは理解しがたい存在であった。
「『ケバブくん』のプロデュース……?この変なキャラクターはケバブくんと言うのか。外の人間のセンスを疑うね」
「腕を脱穀機のブレードに変えているスモトリよりは正気だと思うよ」
リンノスケは突如横から声をかけられたが、そちらを向きはしない。彼女のことはよく知っているからだ。彼女はナズーリン。ネズミのヨーカイだ。ネズミ耳をもつ少女姿であり、その胸は平坦であった。
命蓮寺に住まう彼女は、トレジャーを探すためによくこの無縁塚でダウジングをしているのだ。もっとも、今まで見つかったものは全てガラクタだったが。その彼女が続ける。彼女も実際、件のスモトリについてはよく知らぬらしく、所々曖昧であったが。
「何でも、ゾンビーをどうにかするためだとか何とか……ブッダが人質とか、ニンジャがどうとか色々言っていたけど」
「……外の世界は、僕には想像できないくらい訳の分からないところらしいね」
ナズーリンの要領を得ない説明からでも漂うケオスを感じ取り、冷や汗を流すリンノスケ。そんなことには目をくれず、ナズーリンは話題を変える。最近テングの新聞を賑わせている怪しい話題について。
「ところで店主、テングの新聞は見たかい?」
「ああ。だけど眉唾ものだね。ヨーカイを襲う肉食ハエだなんて」
リンノスケの言うとおり、昨今、弱小ヨーカイが肉食ハエに襲われる事件が相次いでいる。現在は人型*1を取ることも出来ぬ獣同然のもの達の被害が中心だが、これがエスカレーションしていけば”異変”となり得る。
「一体誰の仕業なんだろうな?やはり幻想入りした木っ端ヨーカイの仕業だろうか……」
ナズーリンが無難な予測を立てる横で、リンノスケは先日八雲紫(ヤクモ・ユカリ)*2が言っていたことを思い出す。そして、突飛だが有り得る予測に辿り着いた。それは実際、ダークカラテエンパイア*3が行う恐るべき儀式の一端に触れる内容であった……!
「……ニンジャじゃないか?」
「何だって?」
「先日、ユカリ=サンがうちに来たんだがね。儀式のせいで発生したオリガミがどうとか、ニンジャスレイヤーがどうとか、色々愚痴を言っていったのさ。それを思い出してね。もしかしたらニンジャがゲンソウキョウに来たんじゃないかな?」
「……何十年、いや何百年とニンジャが来ていなかったゲンソウキョウにまたニンジャが入ってくるなんてないだろうさ。アイツで打ち止めだよ」
ナズーリンはリンノスケの仮説を聞いて不吉なものを感じたが、頭をふってそれを振り払い、ダウジングへと戻っていった。だが、リンノスケの仮説は正しい。実際DKEが開催したカリュドーンの儀にて発生したオリガミは、何らかの働きを見せ、代理戦士たちを幻想入りさせていたのであった……。