ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム・イン・ゲンソウキョウ 作:毛糸ー
フライ・ダンシング・オン・ザ・ダーク・メガロシティ#1
【ニンジャとは?】
・かつて世界を支配した半神的カラテ存在!
・ニンジャの魂(=ニンジャソウル)が一般人に憑依してニンジャとなることがある!
(=憑依ニンジャ)
・あるいはモータル(≒人間)が鍛錬を積み重ねた結果ニンジャとなることも!
(=リアルニンジャ)
【畜生界とは?】
・動物霊達が日夜争いを繰り広げている!
・いくつかのヤクザクランが存在!仲が悪い!
・日の当たらぬ暗黒メガロシティ!
・人間の霊(=人間霊)は奴隷扱い!霊長園で保護されている!*1
【これまでのあらすじ】
幻想入りしたニンジャ、コンヴァージは新地獄の支配者ニッパク・ザンム(=日白残無)の手先となった。ある日、コンヴァージはザンムの命令でとある組織と対峙することとなる。
◆瓦◆礫◆纏◆
コンヴァージは畜生界のジャンクヤードで目覚めた。ここは彼の縄張りであり……畜生界のヤクザ達にとっての中立地帯となっている。
コンヴァージが幻想入りした際、彼はこの動物霊が相争う畜生界で目覚め……実際恐るべき暴威の嵐を巻き起こした。最初に彼を見かけた動物霊は彼のことを風変わりな人間霊だと思い込み、軽々しく暴力を振るった。無論コンヴァージはそれを容易く返り討ちにし、さらにその上役*2をも血祭りにあげた。
それはコンヴァージにとって好ましいジゴクであった。暴力に次ぐ暴力。血を血で洗う暴力のエスカレーションはどこまで行ったか?最後まで行った。つまり、この畜生界の中でも有数の勢力を持つヤクザクランのオヤブン達がコンヴァージに襲い掛かったのだ。
彼女らは相当強く、ロウ・ワンの印*3が切れかけていたこともあり、コンヴァージは追い詰められた。そこに現れたのが新地獄の支配者日白残無であり、口八丁でオヤブン達を説得し、コンヴァージを配下に引き込んだ。
日白残無は切れかけたロウ・ワンの印を上書きした上*4で、コンヴァージにある程度の行動の自由を保障した。それを受けて彼が畜生界のジャンクヤードに居付いた際、極道組織の長たちは彼を手出し無用存在とし、組員がちょっかいをかけることを戒めた。
それ故、コンヴァージはたまに開催されるケイガ・ヤクザクラン*5主催のファイトクラブに飛び入り参加したり、ゴウヨク・ヤクザクラン*6からの鉄屑処分の依頼を受けたりして過ごしている。ファイトクラブが開く予定がなく、剛欲同盟の依頼もなかったため、彼は暇を持て余していたのだが……。
突如、彼の右掌が熱を持つ。これは実際、コンヴァージの現在の主、新地獄の管理者ニッパク・ザンムからの指示があることの印である。
「……何だ。ザンム=サン」
けだるげに指示を仰ぐコンヴァージに対し、印越しにザンムは命令する。それは、彼女が引き起こした異変*7の後始末めいた命令であった。
「お主にこんなことを頼むのも申し訳ないんじゃがなぁ……儂が畜生共の地上進出を妨害した後始末をしてほしいんじゃ」
「……後始末?」
コンヴァージはその言葉に眉根を寄せる。実際彼にとってザンムは恐るべき策略家であり、後始末を必要とするほど稚拙ではないはずだが……?
「……後始末というと語弊があるかものう。畜生組織の一つが、地上進出を企んでおる……というかもう進出している?なんか尖兵が地上に送られておる?ようでの」
コンヴァージの目が暴力の匂いを感じ取って細まる。
「そのアホはどいつだ?ケイガか?キケツか*7?ゴウヨクか?」
「待て待て待て待て。今回地上に出て行っておるのはソイツ等ではない……元々ソイツ等と争っていた闇組織が相手じゃ。奴等は埴輪兵団*8が台頭した頃から勢力を減じておったが、最近盛り返したようなんじゃ。で、その一環でハエの霊?いやハエ?を地上に送っておるようでな」
そこで残無は一度話すのを止め、コンヴァージのアトモスフィアが落ち着くのを待つ。そして改めて指示を出す。
「……それで、貴様にやってほしいのはその闇組織の上役に釘を刺してほしいんじゃ。地上に出るような真似をするとただでは済まんぞ、とな。いいか、釘を刺すんだぞ。分かっておるな!釘を刺すんだぞ!ワカッタナ!」
「分かった、分かった……」
残無からの度重なる念押しに辟易するコンヴァージ。だが彼は先の異変における自分の蛮行を都合よく忘れ去っていたのだった。残無はそれを察し、息を吐きながら続ける。
「……今回、儂は協力者を手配した。奴らが来るまでそこで待っておれよ。くれぐれも、暴れすぎるなよ。……暴れすぎるなよ!!」
「分かった、分かった……」
「……本当に、やりすぎるなよ?」
最後にまた念押しし、残無からの通信が切れる。協力者とやらは想像がつかなかったが、コンヴァージは来たるべきイクサのため、ジャンクを集積し始めた……。
◆瓦◆礫◆纏◆
「……協力者というのは貴様か。トウテツ=サン」
饕餮尤魔は襤褸めいた錆色のローブを纏うニンジャ存在、コンヴァージを油断なく見据える。残無から指示を受けてこのジャンクヤードに急行してみれば、案の定だ。コンヴァージの側も、トウテツに油断ならぬ目線を送る。
頭から大きな羊めいた角を生やした中華風衣装に身を包んだ少女の外見をしているが、トウテツは実際侮れぬ相手である。『何でも吸収する程度の能力』を持つ目の前の相手には散々苦しめられた。
「……そうだが?そういうテメェは、残無からどういう指示を受けたんだ?コンヴァージ=サンよォ……」
「地上進出を企ててる連中に釘を刺せ、だそうだ。舐めたマネするとただじゃおかんぞ、とな」
それを聞いて鼻を鳴らすトウテツ。実際、彼女らが残無に指示されたこともコンヴァージと同じだった。最近勢力を削られていた闇組織が勢いづき、地上への進出を企てているため、それを防げ、と。
「それで……奴らの場所は分かっているのか?
「……何だそりゃ。そんなんいらねぇよ。もう奴らの本拠地候補はいくつか絞り込めてる。私らは一番有力な場所に行けばいい」
コンヴァージの質問に呆れながら答えるトウテツ。その言葉を聞いて、コンヴァージは暴力の予感に口角を吊り上げる。
「ほぉ……ならさっさと行って、手っ取り早くクソ共を血祭にあげようじゃねぇか……!」
高笑いを上げるコンヴァージを尻目に、トウテツは深いため息をついた……。
◆瓦◆礫◆纏◆
トウテツとコンヴァージは、件の闇組織とやらが潜む最有力本拠地候補へと向かいながら、情報交換をしていた。
「あの闇組織は、罠やら毒やら寄生やら擬態やらセコい戦法が得意な組織でな。今までは私らに根城を掴ませないよう慎重に動いていたんだが、今回は派手に動いたせいで本拠地がバレちまったのさ」
「奴らの上が間抜けになったのか?」
「さぁな。あの訳の分からんハエを手に入れて図に乗っておるのかもしれん」
「そのハエとやらはどんな代物なんだ?」
「霊とも、実際の肉体ともつかん妙なハエだ。妖怪やら霊の肉を喰うらしい。被害者がいるから聞いてみろよ。おーい!ちやりー!」
トウテツが大声で呼ばわると、物陰から物憂げな目つきをしたヨーカイ、
「な、なんすか?」
「コイツにあのハエについて説明してやれ」
「ああ、はい。あのハエ、血ィ吸ってる時に私の首の肉に喰いついてくるんすよ。焼くと死ぬんですけど、焼かれ方が変なんすよね。なんというか……肉と霊の中間みたいな焼け方?みたいな。あとはネオンみたいに光ってんすよ」
コンヴァージはちやりの発言を聞きながら、ある女ニンジャのことを思い出していた。自分と同じくニンジャスレイヤー狩りの儀式『カリュドーンの儀』の代理戦士であった、あのベルゼブブとかいういけ好かない女ニンジャも、ネオン色に輝く蠅を得物としていなかったか?これは偶然の一致なのか?
「……おい!おいお前、ちやりの話聞いてたか?」
「聞いておるわ。つまりそのクソ蠅が奴らを増長させた訳か?それで、闇組織とやらのアジトにはまだ着かんのか?」
「ああ、そろそろだ。……そう、ここだ、ここ。ここの地下から蠅が出てきてるらしい」
トウテツが立ち止まったのは、明らかなバラックの前。畜生界の敗残者がかろうじて確保した居住スペースの一角。このバラックの地下に、闇組織のアジトが眠っている……!
◆敗◆退◆狩◆人◆
「ミ、ミコー!奴らが来ました!」
猿の動物霊が、呪術めいた大布をローブめいて纏い、ハーフガスマスクメンポを纏う女に、地上にいる擬態カメレオン霊からの報告を伝える。ここは畜生界に巣食う闇組織のアジト。地上部はバラックに偽装されている。
「ウフハハハ……心配することは無い。貴様らや奴らのようなニンジャ紛い共に、真のニンジャの力を見せてやる……!」
わあんわあんわあん……。不敵にそう言う女が纏う大布の下からは、ネオン色に輝く蠅が湧きだしていた……。
ベルゼブブ幻想入り編の始まりです。
ちやりは蠅があまりに鬱陶しいという理由で参加しました。