ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム・イン・ゲンソウキョウ 作:毛糸ー
本編よりも感情が安定してるのはほら、幻想入りの副作用ということで一つ、ご容赦いただけないですかね?
【これまでのあらすじ】
コンヴァージはザンムからの指示で、トウテツらを伴い畜生界の貧民窟に向かう。その地下に根差す畜生界の”闇組織”の根城には、ベルゼブブなる四本腕蠅使い女がいた……!
「ドーモ、コンヴァージ=サン。ベルゼブブです」
「……まさか貴様も来るとはなァ。ドーモ。ベルゼブブ=サン。コンヴァージです」
ベルゼブブと名乗った女と、コンヴァージは互いにアイサツを交わす。……ニンジャ同士がイクサの戦端を開く際、アイサツするのは、古事記にも書かれた絶対的ルールである。すなわち、ベルゼブブなる女もニンジャに他ならない!
「おいおい、またニンジャかよ」
「……こういうこと、よくあるんすか?」
「あってたまるかよ。私が畜生界に流れ着いてから初めてだよ」
チヤリとトウテツの痴話喧嘩めいたやりとりを一切耳に入れず、コンヴァージとベルゼブブは腹を探り合っている。
「大方、無様にニンジャスレイヤーに敗れ去って、敗残者めいて流れ着いたのだろう?」
「ウフハハハハハ!それは貴様も同じであろうが!コンヴァージ=サン!いや、儀式前に先走って死んだという意味では、貴様の方が恥であるなぁ!真のニンジャの戦士たるものが、情けの無い事だ!」
「ハッ!何もかも下らん星辰が悪い!貴様らが後生大事に従っておるのが不思議でたまらんわ!……ところで、こんな貧民窟であのサンシタ共をボス猿めいて束ねておるのはどういうわけだ?」
コンヴァージの疑問に対し、ベルゼブブは鷹揚に語り始める。それは彼女らしく非常に大仰でかつ自己陶酔的*1な内容が多く含まれており、コンヴァージ達をウンザリさせる内容であった。
モータルであろう読者諸君の限りある生の時間を節約するために要約すると、ベルゼブブがこの畜生界で目覚めてすぐに彼女に縋ってきた闇組織の畜生霊を見て、彼女は真のニンジャの薫陶を受けし己の力を持ちて、迷えるアンデッド共を導く必要を感じたということだ!
「……ほォォう。貴様の事情は分かった」
「こちらからも問わせてもらおうか、コンヴァージ=サン。貴様らはいかにして我々を知り、そしてこのアジトに強襲をかけてきたのだ?」
「貴様らが今更地上進出を企み、卑しい鼠めいて暗躍しておるのを止めるために決まっておるだろうが」
「貴様ァ……!」
コンヴァージはメンポ*2の下でほくそ笑む。初めて会った時から、挑発に弱そうだと思っていたのが当たった。ここでイノシシめいて襲い掛かってきたなら、この地下に埋まっているパイプを操るだけで片が付こう。
だが、ベルゼブブもさるもの。コンヴァージの安い挑発に激しかけたが、即座に落ち着いた。そして、コンヴァージ達に、この地下施設から出ていくよう居丈高に言い渡す。
「……フン。我等が何をしていようと、貴様らには関係のない話だ。今なら見逃してやる。頭を垂れ、忠誠を誓え、コンヴァージ=サン。……それと、そこのニンジャ擬き二匹」
「ナメッコラーッ*3……!」
傲岸なベルゼブブの眼光を正面から睨み、低くヤクザスラング*4を呟くトウテツ。チヤリも、ベルゼブブの異様なアトモスフィアに足を震わせながらも、確固たる抵抗の意思を見せている……!
「ウフハハハハッ!愚かなり!我等の領域で、我の慈悲を無下にするとは!コンヴァージ=サンごと我が子らの糧にしてくれよう!」
わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!「な、何だこれ!?」わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!「チヤリ!下がるぞ!」わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!「チッ」わあんわあんわあん!わあんわあんわあん!
その声と共に、闇組織の一員らしきもの達の撤退が始まり、ベルゼブブの体の各所にあるスリットから、蠅が雲霞めいて飛び出す!これにはチヤリもトウテツも吃驚!コンヴァージも舌打ちしながら後退!流石に、この圧倒的な敵のフーリンカザンで戦うほど彼は愚かではない!
……だが、逃走する彼と彼女らの目に写ったのは、より上層へ通じる階段がいつの間にやら瓦礫で塞がれた光景!後ろを見れば、通路を埋め尽くさんばかりに広がる蠅の霧!瓦礫をどうにかする間に、あの霧は我等に追いつき、喰い殺すだろう。コンヴァージはそれを悟ると、瞬時に状況判断!
「イヤーッ!」
スモッグめいた蠅の群れに向き直ると、やおら腕を床に突き刺す!それを咎めるトウテツ!
「オイ!?何やってるコンヴァージ=サン!この瓦礫をどかせ!」
「……どかす前に喰われるだろうが!」
コンヴァージが答えると同時、バキバキ、ビキビキと雨後の筍めいて地下の配管が引き摺り出され、雨の日のミミズめいてのたうち、蠅の足並みを乱す!加えて、引きちぎられた電気コードから漏れだす電気が、ムカデの撒き散らすドクめいて蠅共を殺す!
だが、ベルゼブブにとっては堪えていないようで、彼女の笑い声が激しく打ち寄せる蠅の群れから聞こえだす!
「ウハハハハハハ!苦し紛れか!流石に我と同じく真のニンジャの薫陶を受けし者といっても、足手纏いを抱えておるとブザマなものだな!」
「……ザッケンナコラーッ!!」
「……言わせておけば弱敵がァーッ!!」
ベルゼブブのバトウを受け、コンヴァージとトウテツは飛び掛かる!コンヴァージは実際、バリケードに使われていたガラクタが彼のアカラ・ジツの力によって引き寄せられ、鎧めいて取り巻くが故、蠅も喰いつきかねている。
しかし、トウテツは話が違う!彼女は全身を覆う鎧どころか、薄着かつ露出の多い衣装だ!蠅の群れに飛び込んだ彼女には、肉食蠅が容赦なく食らいつく!
「グワーッ……!?グワーッ……!?」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「だ、大丈夫か、トウテツ=サン!?」
「チヤリ=サン!この蠅共、まとめてお前の最大のオニビで焼いちまえ!!」
「えっ……!?」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「心配すんな!私は大丈夫だ!」
「ど、どうなっても知らないっすよ!?イ、イヤーッ!」
KBAM!KBAM!KBAM!KBAM!KBAM!KBAM!KBAM!KBAM!
チヤリはトウテツの求めに応じ、最大火力で炎を放つ!複数の火の玉が蠅の群れに襲い掛かる!だがその様は、巨大な運河を蒸発させんとする頼りない篝火の如し!コンヴァージと打ち合いながら、ベルゼブブはそのみすぼらしい炎を嘲弄する!
「ウハハハハハ!我が子らを左様な炎で滅ぼしつくすことは出来ぬぞ!イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「ふ……本番はこれからっすよ!イヤーッ!」
チヤリがキアイを込めると……火の玉が巨大化する!「イヤーッ!」さらにキアイ!火の玉巨大化!「イヤーッ!」キアイ!巨大化!「イヤーッ!」キアイ!巨大化!「イヤーッ!」キアイ!巨大化!「イヤーッ!」キアイ!巨大化!「イヤーッ!」キアイ!巨大化!……
今や、火の玉はこの通路を覆わんばかりに巨大化!蠅の群れは、チヤリに近づくことすらできぬ!無論、恐るべきニンジャであるベルゼブブがこの状況を座視しているはずも無し!……だが!
……「オノレ……!」「イヤーッ!」「イヤーッ!鬱陶しいぞ!イヤーッ!」「イヤーッ!」「スッゾコラーッ!」「イヤーッ!オノレ……ニンジャ風情」「イヤーッ!」「グワーッ!チィッ!イヤーッ!」「シネッコラーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」……
コンヴァージとトウテツの二段構えの攻撃に、防戦一方!チヤリに手出しをする暇は、ない!それを見て取ったチヤリは近接カラテ戦闘中の三人に、巨大化火の玉をぶつける!
「イヤーッ!」「「「グワーッ!!」」」
畜生界の闇組織のボス、本編で出てくるんだろうか……?
コンヴァージ=サン、狩りのことは全部割り切っているので、言い訳も雑です。