うまむすめし ダンジョン出張版   作:通りすがる傭兵

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思いついたら書けってばっちゃが言ってたでよ......


プロローグ

 

 

「「VRウマレーターのテストプレイ(デス)?」」

「はい! 以前プレイされた事のあるお二方に是非! とのことで」

 

 ある日のこと。

 エルコンドルパサーとグラスワンダーは教室から帰ろうとしていたところ、やってきた中等部のサトノクラウンにそう声をかけられた。

 

「VRウマレーターって、L’arcで使ったアレデスよね」

「ええ。我らがサトノグループが開発した全天型ウマ娘用ヴァーチャルリアリティー(VR)レースシミュレーター。

 凱旋門賞プロジェクトで使われたエル先輩や、メガドリームサポーターを使用されたグラス先輩には馴染み深いものかと」

「ええ、あの節はどうもありがとうございました」

「いえいえ! まだ試作品だったのにプロジェクトに参加してくれた方が有難いというか。あれからウマレーターの使用率は大きく上がったわけですし」

 

 深々と頭を下げられて慌てるサトノクラウンが具体例を挙げたように、全員が利用しているというわけではないが、VRウマレーターはトレセン学園に普及しつつある。

 

 三女神を模したAIのサポートのもと仮想空間でのトレーニングを行う『グランドマスターズ・プロジェクト』。

 

 凱旋門賞勝利を目指す学園どころか、国を挙げての一大イベントになった『プロジェクトL‘arc』では直接フランスと日本を仮想空間で繋ぎ合わせた合同練習の助けになるなど、日本競バ界の地位や実力の底上げと日本初の凱旋門賞制覇に大きく貢献することとなった機器だ。

それは勿論、メディアにも大きく報道されている。

 

「先輩方が協力してくださったプロジェクトの成功によって、ウマレーターの使用率は右肩上がり。そろそろ民生モデルの実用化、つまり、一般販売の目処が立ったんです」

「それはとてもめでたいですね!」

「もしかして卒業してからも使えるようになるんデスか!」

「い、一般販売はまだ先ですが、5年もすれば販売される予定だそうです」

「やりましたねグラス! これでアメリカに帰るようなことがあっても、スペちゃんやキングとレースができマース!」

「せっかく友達になったのに、話すだけでは寂しいですからね」

「コングラッチュレイショーン! 素晴らしいデス!」

「アハハハ......」

 

 アメリカンらしくグラスワンダーと熱いハグを交わし、興奮した様子でサトノクラウンの両手を掴んでブンブンとハイテンションな握手をして、自分は何もしてないけれどとサトノクラウン自身は思わず苦笑い。

 

「エル」

「おっ、と。ちょっとエキサイトしすぎてしまいましタ」

「すみません先輩方。それでなのですが」

 

 グラスワンダーの鋭い目つきに話題が逸れ始めたことに気付いたか、すぐに手を離したエルコンドルパサー。間を取り気を取り直して、とひとつ咳払いをしたサトノクラウンは説明を続けた。

 

「VRウマレーターは超高性能なレースシミュレーターですが、裏を返せば超高性能な身体操作を受け付けるVRシミュレーターであり、様々な分野に転用できます。

 例えばレースだけではなく野球やサッカーなどの他のスポーツや身体を動かすVRアクションゲームなどにはもってこいなんです。

 実際、先輩方は以前それでゲームを遊んだことがあるとお伺いしていますが、確か名前は」

「ウマネスト、ですね」

「モンクの勝負服が懐かしいデース」

 

 彼女たちが入学してすぐ、そしてウマレーターもまだまだ試作ナンバーだった頃の出来事。日本の洗礼を浴びた学園の思い出の1ページだ。懐かしむように思い出に耽る2人に対してサトノクラウンはどうにも良い思い出ではないようで顔をしかめながら、

 

「あのウマネストはあんなこと(ゴルシ先輩のアレ)があったので結局凍結されてしまったのです。イタズラの範疇ではありませんが、テストプレイのバグだとしらばっくれたと当時の記録には......失礼。ウマネストの再プレイというわけではなく。別のゲームのテストプレイですね。ここ数年で技術も進化したので新しく、とのことで一から再制作されたものでして」

「ナルホド」

「もう製品として発表できるくらいの完成度らしいのですが、宣伝も兼ねて私とダイヤに......サトノダイヤモンド、ですね。私たちにテストプレイヤーをやってくれないかと頼まれたんですが、ダイヤも私も練習やレースで忙しくて」

「トゥインクル・シリーズを引退して時間もあり、以前似たようなゲームをやった経験を持ち、尚且つVRウマレーターに慣れている私たちに白羽の矢を立てた、と」

「はい。バイト扱いになりますので報酬も勿論お支払いします。契約書などは後で用意しますが、これくらいでどうでしょう?」

 

 サトノクラウンが携帯の電卓アプリを叩いて見せると、学生のバイトとしてはそれなりに色のついた金額が提示される。悪い話ではないですがと商売人の顔をするサトノクラウンに対してどうする、とワクワクと期待に目を輝かせながらエルコンドルパサーは横のグラスワンダーに目をやった。

 グラスワンダーはしばらく悩むそぶりを見せたのち、

 

「やりましょうか」

「グラスが言うなら文句ナシデス!」

「ありがとうございます!」

 

 嬉しさのあまり手をたたんで小躍りしし始めたエルコンドルパサー。あとは卒業を待つだけの退屈なイベントに花を添えられるとあれば彼女に言うことはなかったz

 

 こうして、エルコンドルパサーとグラスワンダーは再びVRファンタジーアクションゲームの世界に足を踏み入れることになる。

 

「ところで、どんなゲームなんデス? ファンタジーでも、イロイロありマース」

「なんでも、ダンジョン探索型? だとか。聞いたところ、触感なんかのリアルさも追求したとか」

「食感、ふむ......」

「グラァス?」

「楽しみですね」

「なんかイントネーション違うデスよ!?」

 

 

 

 




本作におけるグラスワンダー
レースは卒業し、学園を卒業するまで日本文化を満喫中。
 最近は自炊は勿論のこと、食べ歩きすることも増えた。そして腹周りも増えた。
故郷に帰るかはさておき、日本料理を身につけようと奮闘中。

エルコンドルパサー
卒業後は日本で女子プロレスラーになるためトレーニングは欠かさない。
料理は丸投げかと思いきやグラスは日本食しか作ってくれないので故郷の飯は自分で作っている。
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