SHIKAMARU 〜IQ足りないけど十種影法術あるから余裕っしょ!〜 作:彩べぇ
「そこのエリートそうな雰囲気の御仁!俺に結界術を教えてください!」
「ほう…一目で私がエリートだと見抜くとはよい目をお持ちだ。よろしい!このエリートな特別上忍たるエビスが結界術とはなんたるかを教授してあげます!!」
「うおっしゃああ!よろしくお願いします!!」
……
教えることに特化した特別上忍の授業はとてもためになるものだった。
ーーー
「紅先生!俺に幻術を教えてください!」
「あなた、シノと対戦相手になるかもしれないのによく聞きに来れたわね…」
やはり生徒の不利益になるようなことをしたくないのか、すんなりとはいかなかった。
「俺は構わない。
何故なら…相手が強ければ強いほど、こちらが勝利したときの評価が高くなるからだ。」
彼は己の勝利を微塵も疑ってなかった。
「お前…寡黙でクールなヤツだと思ってたけど結構アツいとこあんじゃん。
俺は好きだぜ、そういうやつ!」
シノと今度組み手の相手になる約束もした。
……
【朗報】俺、幻術の才能も結構ありました。
ーーー
奈良シカマルは天才だった。
その才能と、前世で得たオタク知識、実は高いコミュ力、これまで教わったノウハウ全てを総動員し、わずか2週間にも満たない期間で新術を発動させるに至る。
しかし…
「領域展開!!」
パリーン!
「領域展開」
ガシャーン!
「領ォ域展開!!!」
……
持続時間…0.2秒。
ーー本戦前日、未だ新術は完成に至らず。
「消費チャクラが多すぎて術を維持できねえ…」
肩で息をしながらクソ、と悪態をつく。
ぶっちゃけ発動までは出来たが今の手順が正解なのかどうかすら怪しい。これでは結界の押し合いなんてとても出来ない。
「そもそも、なんか足りねえんじゃねえか?」
実現不可能という仮定はもう時間の無駄なので排除する。
した上で、何が足りないかを考えてみる。
「やっぱ、チャクラだよなぁ…」
対策としては、俺自身のチャクラを増やす。
人柱力ぐらいまで。
野生の三尾でも捕まえれば理論上は…
「うん、無理。」
もはや現実逃避だコレェ…
出来たとして、今も回復のために齧っている兵糧丸…コイツでちょびっと盛るのが精々だ。
‥没。
となると消費量を減らすのがアプローチとして妥当だろう。
てか、他に思いつかん。
消費量を減らす方法は限られている。
俺が知りうるのは2つ。
チャクラコントロールを極めてロスをなくす。
あるいは、発動までの過程を増やす。
前者は1日でどうこうできる問題じゃない。
普段から訓練してはいるがこれ以上は正直センスの領域だ。
「じゃあ、後者って話だけどそんな簡単に思いついたら苦労しねえんだよなぁ…」
しかし、やらないことには始まらないのでダメ元で考えてみる。
パッと思いつくのは詠唱や舞とか。
呪術だと多分これが正解だけど、忍術でやってる人を見たことない。
「ダメ元でもやるしかないか…」
手始めに詠唱から試してみよう。
多分こういうのって自分のボルテージとかテンションだとかを上げるのが目的なので内容自体には意味はないはずだ。感だけど。
「うおおッ!!!
滲み出す混濁の紋章!
不遜なる狂気の器!
湧き上がり、否定し、痺れ、瞬きを妨げる…
カブトムシ!
絶えず自壊するカブトムシ!
結合せよ!
反発せよ!
地に満ち、己のカブトムシ!!!」
…なんだかみなぎってきた気がする!
「今だ!領域展開!」
影がドーム状に拡大していく。
ある程度の大きさになったところで俺の思い描く空間が一瞬、出力されるがすぐに保てなくなり結界ごとほどけてしまった。
「ですよね〜…」
頭に浮かんだいい感じの言葉を羅列してみたが、当然のように無意味だった。
トホホ、と少し悲観に暮れる。
チャクラを回復するために兵糧丸に手を伸ばす。しかし、そろそろ手持ちの兵糧丸が底をつきかけていた。
「あと試せるのは1、2回か…
無駄撃ちはもう出来ねえ。
いよいよ何か手掛かりを掴まねえと……」
術の工程を増やすという意味をもう一度考える。呪術では詠唱や舞で強化できる…が他にもあるはずだ。
「……あ。手印!」
肝心なことを忘れていた。
呪術、忍術に共通する術の強化、あるいは短縮方法…今の俺は最低限の印しか使っていない。
陰遁、陽遁、水遁、結界術…この四種。
これらの他に足せる要素を考えなければ。
「でも、何を足せばいいんだ!?
全然思い付かねえぞ!」
ふと空を見上げたらもう日が落ちていた。
「もう時間もねえってのに…こんなとき、精神と時の部屋とか、時間を止める術とか使えたら…
まあ、そんな時空間忍術があればそれだけで無敵なんだろうけど…
…ん?」
時空間忍術…時間や空間に影響を与える忍術。
「空間!これだッ!」
俺は時空間忍術のノウハウを得るために火影屋敷へ猛ダッシュした。
ーーーーーーーーー
たどり着いた俺は火影室のドアをもはや殴るような勢いで3回ノックし、勢いよく開ける。
「三代目!」
「なんじゃ!?そんなに慌てて…」
三代目はもう帰り支度をしていた。
丁度いい。すぐに俺は要件に入る。
「時空間忍術について教えてくれ!
新術の完成に、明日のために必要なんだ!」
しかし、三代目は首を縦に振らなかった。
「ダメじゃ。もうおぬしにほとんどチャクラは残ってないじゃろう…それにもう時間もない…疲れを残して試験本戦を迎えることになる。
最悪チャクラも戻らないままな。
その新術とやらは試験が終わった後に見てやるからもう帰りなさ」
「それじゃだめなんだッ!!!」
帰りなさい、そう言い切る前に師の言葉を俺は遮った。
そんな俺の必死な姿に何かを察した三代目はため息をつく。しばらく逡巡し、俺に告げた。
「…まったく、手のかかる者を弟子にしたもんじゃわい。来なさい、場所を変えるぞ。」
そして、残りチャクラの少ない俺に実践はできなかったが、座学でノウハウをしっかり叩き込まれた。
ーーーーーーーーーー
外はもう真っ暗だ。
もう疲れて限界が来てるので寝たいが、最後にやることがある。
俺はチョウジの家に来た。
原作なら彼は今頃食べ過ぎで入院しているが、前に伝えた新しい修行法は消費カロリーが多すぎた。その結果無事だったのだ。
もうご迷惑な時間なので、外からチョウジの部屋の窓をノックする。
「ん…?どうしたの?こんな遅くに…」
暗くて彼のシルエットしか見えないが、寝ていたのだろう、彼は目を擦っている。
「起こしちまって悪いな。
明日、多分お前に大事な役目を頼むと思う。
そんときに必要な作戦書だ。きっと役に立つ。」
「……うん。シカマルも早く寝た方がいいよ。」
「そうだな。おやすみ。」
いろいろと聞きたいこともあるだろうに、チョウジは何も言わずに受け入れてくれた。
全幅の信頼を寄せてくれる友人に俺は感謝をし、明日を迎えた。
ーーーーーーーーーー
「おら、いつまで寝てる。今日は大事な日だろ?さっさと顔洗って飯食え。」
おはよう、とかけてくる声はどこか沈んでいた。普段は起こしに来ない親父に俺は驚いた。
「珍しいな、親父が起こしに来るなんて…それになんか機嫌悪そうじゃん。」
良く見ると親父は既に部屋着ではなく仕事着だった。
「せっかく楽しみにしてたお前の晴れ舞台、里内警備に回されたせいで見に行ってやることが出来なくなっちまってな…」
そんな訳で朝だけでも顔を見に来たとのこと。
そういや木の葉崩しで親父たち猪鹿蝶に見せ場があったのを思い出した。
そして、俺が朝食を済ませている間に親父は俺の頭をガシガシとぶっきらぼうに撫でて家を出て行った。
がんばれよ、と言葉を残して。
自分では気付かなかったが、きっと嬉しかったのだろう…
ここ最近、焦燥感を露わにしていた俺の表情がお袋曰く緩んでいたらしい。
準備を終え、気を引き締めて家を出る。
これまで出来ることは全部やった。
「原作なんてもう知らねえ!!
砂も大蛇丸も、全部何とかしてやらぁ!!!」
足取は軽かった。
ーー本戦会場ーー
俺を含めた出場者8人が整列する。
「ん…8人?」
なんと、サスケが遅刻していなかった。
「こら!しっかり客に顔向けしとけ」
キョロキョロしていたら審判としてここに立つゲンマに注意された。
木の葉舞う中で登場して名乗るのがカッコよくて好きだったから少し残念に思う。
そんなことを考えていたら俺はあることに気付いた。
「2回戦サスケvs我愛羅だから俺試合なくね?」
未来の嫁とのフラグが密かに折れたのであった。
サスケが遅刻しなかった理由…現時点で原作より体術スキルが高かった ため、千鳥習得における修行時間の短縮が為されたからです。幼い頃から行っていたシカマルとの鍛錬はここで活かされました。シカマル本人は気付いていません。
その結果vsテマリ戦はスキップです。
楽しみにしていた方ごめんなさい。
もしかしたらRTAに使えるかもしれませんね笑