僕のDBヒーローズ   作:超ベジータは負けフラグ

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前回よりは短いです


ロマンティック逃げるよ

 

 疲弊した様子で倒れていた二人に、この世界のことを聞こうと思ったら、すごい勢いで怒られてしまった。

 

 何でも、個性がどうだったり、ヴィランやらヒーロー等といった言葉が俺の知ってる単語とは違う意味な気がする…。

 

「全く…君のほうが強かったから良かったものの…。もし相手が君よりもずっと強大な敵だったらどうなっていたことか…」

「えーっと、でも俺も結構強いほうだと思いますし……。それに、もし俺一人では敵わなくても守らなきゃいけないものがあるっていうか……」

「そういう問題じゃないの。確かにその志は立派だし、ヒーローなら目標にするべきことだけど、君がどれだけ強くっても個性の無断使用だったり、今回みたいに上手くいかないことがあったら、傷つくのは君だけじゃないの!私達ヒーローはそのためにいるんだから!」

 

 お、おお…。なんかすごい立派だ…。俺の最近会ってた人達の中だとすごいマトモなことで怒ってくれてる。昔の時代のベジータさんとかは戦わなかったら腰抜けで戦力になるならどんな時でも呼び出そうとするのに…。

 取り敢えず、ひとしきりお説教を受けて、さっきの男が警察官に護送されていくのを見送る。因みに警察の人には俺のことは逃げ遅れた市民だと説明していた。

 

「ふう、さっきは色々と言っちまったけど、君のお陰で助かった。ヒーローとしてはあんまり言っちゃいけないんだけど、本当にありがとう」

「私からもありがとう。不甲斐ないけど、君がいなかったら私もこの人も殺されていたかもしれなかったからね」

「ああ、全くだ。まだ洸汰は3歳だってのに二人して死んでられないからな。ヒーローになるつもりがあるなら、頼もしいことこの上ないぜ。…それにしても、あれだけ強かった(ヴィラン)が一撃とは、一体どんな“個性”なんだ?」

「え、えーと、その…」

「あ、悪い悪い。ちょっとした興味だ。無理に答えなくても……」

 

 矢継ぎ早に話される内容にそろそろ理解が追いつかなくなってきたその時、調子の収まってきた瞬間に手を上げて、その前提から覆した。

 

「あのー、そもそも“個性”とか“ヒーロー”とか“(ヴィラン)”って、何?」

「「はあ?」」

 

 

 

 

✪✪✪✪✪✪✪

 

 

 

 

 

 俺達、ウォーターホースの目の前にいる少年。名前はビートと言ったが、ビート君は突然現れ、圧倒的な力であのマスキュラーを下して俺達を……いや、あのまま野放しにしていたらさらなる被害を生むことになっただろう。あの性格だ。殊勝に大人しくしている質でもあるまい。だからこそあそこで止めてくれたことと、それをやるべき大人(ヒーロー)としての自分が不甲斐ない。

 

 ビート君にはヒーローの立場として、大人として叱らざるを得なかったが、これも俺達大人でマスキュラーを捕らえられれば起こらなかったことだ。

 

 ビート君自身も力をひけらかしたい、強力な個性に酔っているタイプの子ではなく、力も志もとても立派なものだった。果たして、素面であれを言えるヒーローが今の世にどれだけいるか。

 

 そして、俺達を、市民を助けてくれたことに、ヒーロー『ウォーターホース』ではなく、一人の人間である『出水渓汰(いずみけいた)』として感謝した。そしてヒーローとしての活躍を期待していたのだが……。

 

 当の本人は、ヒーローは愚か、個性や(ヴィラン)のこともまるで分からないと言ってきた。

 本人曰く意味は分かっているとは言っているが、その解釈はどれも超常黎明期以前の古い意味合いを持つものだった。

 

 普通の受け答えは出来ているし、倫理観もしっかりある。それでいてあれだけ強い子が、今どき万国共通、幼稚園児でも当たり前に知っていることを知らないなんてことがあるのか?

 

 いや、あり得ない。だが、嘘をついている様子ではない。何より、こんないい少年を信じたいという気持ちもあった。

 あまり気は進まなかったが、試しにひっかけのような真似をしてその真偽を測ったがどうにも本気で分かっていないらしい。個性社会ならではの話になると互いの受け取り方に齟齬があるように感じた。

 

 おっと、俺を舐めるなよ。これでもヒーローとして市民や嘘をつく敵とも接してきたし、何より息子もいるんだ。そのくらいはわかるさ。………妻の洸湖(ひろこ)が気づいたとかそんな訳では断じて無い。

 

 はっきり言って歪だ。まるで別の世界からやってきたという方が信じられる。

 

 少なくとも、ビート君に悪意やこちらを騙すような意図も感じられない。どんな事情があるのかは知らないが、知らなければ対応は出来ない。

 

 どんな事でも受け入れると誓って、俺はビート君の言葉を待った。

 

「……つまり、君はこことは違う地球のある世界の、サイヤ人っていう宇宙人の一人だってことか?」

「そっ、そうそう!やっと分かってくれた!?」

「……わかるかぁーっ!!?」

「何でぇっ!?」

 

 いや、何でも受け入れるとは言ったがここまで荒唐無稽な話が出てくるとは思わなかった。俺の与太な想像を遥かに超えてくるなよ!

 

 何だよ別世界の地球って!しかも地球人じゃなくてサイヤ人!

 

 駄目だ。信じたい気持ちはあるが、正直俺には全く判断はつかん。彼が嘘を言っててもその判別が出来ない以上、その信頼性は低くなる。

 

「でもほら、尻尾生えてるし…」

「そのくらいなら“個性”でもいるしなぁ…」

「……それはそっかぁ。確かに向こうの地球人も獣人がいたり鼻がなかったりしたし……」

 

 個性がないって話だったよな?同じ地球でも全然違うんじゃないのかそれは。

 

「個性がない人には足の小指の関節が二つあるってのは昔聞いたことがあるけど…」

「あっ、あるよある!俺足の小指関節あります!」

 

 そう言ってブーツを脱いで素足を見せてくるビート君。

 

「いや、見ただけじゃちょっと…。病院で調べて見る?」

「でも病院で宇宙人だって分かったら何されるか……。っそうだ!色んな能力……個性があるなら、嘘を判別したり、誰かのことを調べるような個性があれば…!」

「……そうよ!ラグドール!」

「へ?」

「私の従姉が所属しているヒーローチームの中の一人が、『サーチ』って個性で色々見れるの。向こうの都合もあるから時間はかかるだろうけど、見てもらえれば…」

「じゃ、じゃあお願いします!」

 

 洸湖の提案に、すごい勢いで乗って来るビート君。

 

「い、いつになりますか!?」

「え、えーと。そうね、向こうにも都合はあるだろうし……来月くらいかしら?」

「ら、来月……」

 

 それはもう、愕然とした様子で立ち尽くす。戦っている時とはかなり雰囲気が異なり、年相応の少年らしい様子だ。

 

「わ、分かりました…。じゃあ来月、その……そのヒーローの人に会えそうなら連絡して……」

「携帯とかは持ってるのか?」

「あ!こっちのは持ってない、です」

 

 どうしよー!? と慌てるビート君。その様子に洸湖と顔を合わせて息を一つ。

 

「……ところでビート君、宿の当てはあるのか?」

「え?いや、山籠りでもして過ごそうかなと…」

「おいおい、年頃の少年がそんなことしちゃ危ないぞ。…まあ、君の強さなら大丈夫かもしれないけど。…………良かったら、家に来るか?」

「えっ!?そんな悪いですよ!」

 

 まあ、そう来るだろうな。そう思って理由もちゃんと考えてあるさ。

 

「まあまあ。こっちにも考えはある。まず、さっきのが全部ウソで、家出した少年の可能性もある以上、そのまま放ってはおけないって所が一つ。二つ目は、こんな困ってる子供一人助けられないで、何がヒーローだってことだ。別にずっといろって訳じゃない。君の言い分や身元が判明するまでヒーローとして保護するってことでもあるんだ。今のままだと、ビート君も困るだろう?」

「ゔ、それは…確かに。でもいいんですか?」

 

 そう遠慮して、妻の方を見る。

 

「私はいいわよ?助けてもらったのは事実だし、洸汰も喜んでくれると思うわ。ちょっとしたホームステイだと思えばそんなに気にならないし…」

「俺ら二人がいいって言ってるんだ。後は君が頷くだけだぜ」

「そういうことなら……よろしくお願いします」

 

 こうして一人、俺達の家に住人が増えた。

 

 ……まあ、あれだけ食うのは予想外だったが……。うぐぐ…我が家のエンゲル係数が…。だが提案したのは俺だ。男に二言はないのだ…。例え俺のお小遣いが減ったとしても、気づかせないのが真の男なんだ……。くそぅ…やっぱ辛ぇわ。

 

 

 

✪✪✪✪✪✪✪

 

 

 

 

 出水家にお世話になってから、一週間ほど時間が経過した。

 

 最初は不安だった洸汰くんとの交流も、この年頃の子供には年上の子どもといるのは楽しいみたいで、お兄ちゃんお兄ちゃんといってついてくる。

 

 それが微笑ましいのかご夫婦とも笑っていて、久しぶりに何気ない家族の団欒を見た気がする(悟空さんやベジータさんの家は普通とは言い難いし)。

 

「しっかり捕まっててよ!」

「うん!」

「じゃあ行くよ!そりゃっ!」

 

 そして今、洸汰くんを背中に乗せて俺は空を飛んでいた。ここはウォーターホース名義で借りている個性特訓用の施設。今までも個性訓練やジムとして使っていたらしくて、その敷地内なら力を発揮するのも許可されているから、俺も使わせてもらっている。

 それにしても、こうして見ると、俺も舞空術が上手くなったものだ。最初の頃は飛ぶ感覚が掴めないで岩とかにぶつかってたのに。

 

 洸汰くんの要望に答えながら飛び回り、疲れ果てるまで遊んで着地する。洸汰くんは楽しそうに降りていき、父親である渓汰さんの腕に収まる。

 

「いやぁ、にしても凄いな。あれだけのパワーやスピードもあるのに、空まで自在に飛べるのか…。羨ましいぜ全く。俺等も空を飛べればと思ったことが何回あったか…。それもサイヤ人ってやつの特徴なのか?」

「いやだなぁ、これは舞空術っていって、気を扱って空を飛ぶ技ですよ。生まれつき飛べる宇宙人もいるけど、鍛えればどんな人でも飛べるようになりますよ。舞空術って名付けて形態化したのは地球人の方ですし」

「何っ、それは本当か!?」

 

 うおぉっ、食付きが凄い。でもやっぱり、空を飛べたら色々便利だよね。特に災害救助活動もしている渓汰さんにとっては、負担の少ない空路があるのは随分と違うらしい。

 

「えーと、良かったら教えましょうか?」

「いいのか!」

「お世話になってますし…。あと、気を使えるようになれば身体能力も上がりますし、気を読んで人の居場所を察知したり色々できるから、学んでおいて損はないと思うけど……」

「じゃあ是非頼む!その時は洸湖も一緒にいいか?俺は洸汰を寝かしつけてくるから、いつもの続きでもしといてくれ」

 

 そう言って去っていく渓汰さん。

 その背中を見送ると、人差し指で腕立てをしながら、こっちの世界の教科書や本を読み進めていく。

 

 これは、この世界の常識に疎いから勉強しなければならないということと、何故だかかなり弱くなっている俺自身の力を戻すことを両立させるためにしている。

 どっちもやってキツそうに見えるけど、そこはまあサイヤ人ボディ。この負荷も普通に耐える。

 

 お二人のお陰でこっちでの歴史や“個性”“ヒーロー”“敵”についてもちゃんと学ぶことが出来た。

 

 勉強の時間が終わると、今度はイメージトレーニングだ。

 超サイヤ人の感覚を思い出しながら、仮想的を用意して戦うイメージを作り出す。

 

 そして得られた反省点を活かすためにシャドウを行い、後は思い思いに必要な知識を得たり鍛錬を積み重ねていく。

 

 これを、毎日のように繰り返す。たとえ僅かでも、鍛え続けたら何れその集積がやってくるのだから、例え一日でも休んでいられない。

 

 こうして、暇な時間に勉強して、鍛錬して、家に帰っては出水家と一緒にご飯を食べて寝る!

 

 それが今の俺の、新しい日常だった。




本名はオリジナルです。
二人の名前からとって洸汰にしたかったんです…。

後やっぱり、個人で空飛べたら救助に便利ですよね…

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