最強って、いいよね!   作:パラボラ

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虚空爆破

 

 

「ここから直ちに避難してください!」

 

とあるコンビニで、風紀委員の男が声を上げる。

店内にいた客は、何事かと思いその男を見る。

 

「この店に爆弾が仕掛けられている可能性があります!

みなさん避難してください!」

 

その言葉を聞いた客たちは、慌てて出口へと殺到する。

 

「先輩。爆弾はどこに?」

 

男の後方にいた風紀委員の女が話しかける。

 

「わからない。危険だから慎重に行動しろ。」

 

「了解。」

 

2人は店内を探し始める。

 

「ん?鳴き声?」

 

女が、子供の泣き声を聞き取る。

見ると、まだ小学校にも上がっていないくらいの少女が泣いていた。

 

「大丈夫?怪我でもしたの?」

 

女は少女に近づいていく。

すると、少女の足元に落ちていたぬいぐるみがゆがむ。

 

「離れろ!それが爆弾だ!」

 

男が叫ぶ。

女は少女を抱えて後ろに下がろうとするが、間に合わない。

 

「くっ…!」

 

男が、女と爆弾の間に割って入る。

 

瞬間、ぬいぐるみは爆発した。

 

 

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「また1人やられたか。これで何件目だよ…」

 

俺は支部長室の机で愚痴る。

最近、仕事をするのに机がないのは恰好がつかないので、俺が自費で買った。今ではかなりそれらしくなっている。

 

そして、俺が今愚痴ったのは、最近多発している虚空爆破(グラビトン)事件と呼ばれる爆破事件についてだ。

アルミ製のものを能力で起爆し、人に危害を加えるという悪質な事件だ。

風紀委員も懸命に捜査しているが、まだ何もつかめていない。

いや能力自体はわかっている。わかっているのだが…

 

「犯行可能なLevelの能力者が入院とはな…。」

 

そう。そうなのだ。

能力はわかっているし、その能力が使える人間も調べたのだが、なんと該当する能力者は事故で入院していたのだ。

これでは犯行なんてできるはずがない。

 

と、そこで、

 

「神楽坂君、何かわかった?」

 

固法が入ってきた。

 

「いや、全く。そっちはどうだ?」

 

「わかってたらこんな質問しないわよ。」

 

「まあそれもそうか。あいつらは今何を?」

 

あいつら、とは俺の後輩2人の事だ。

最近は俺も仕事をするようになったので、親しくなったのだ。

 

「何も進展がないから、少し休ませたわ。今はどこかで買い物でもしてるんじゃない?」

 

「まあ、ここまで進展しなかったらなあ…」

 

それにしても、休みになったら買い物に行くというのは、

さすがは女子である。俺だったら一日中寝ているだろう。

 

「そうだな…俺らもそろそろ休憩するか。」

 

「そうね。あまり根を詰めるとよくないものね。」

 

というわけで、休憩することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩を終え、俺は病院にいた。

負傷した風紀委員は俺と同期のやつだったため、その見舞いである。

つい先日、意識を取り戻したため、もし話を聞けたら、というのもある。

 

「入るぞ。」

 

俺はそう言って病室の戸を開ける。

 

「ん?ああ、焔か。久しぶりだな。」

 

「ああ。にしても、今回は災難だったな。」

 

「仕方が無いさ。目の前で後輩が危険にさらされたら、助けないわけにいかないだろう。」

 

「相変わらずだな、お前は。」

 

そう言って俺は苦笑する。

 

「人はそんなに変わらねえよ。それよりも、話を聞きに来たんじゃないのか?」

 

「なんでわかった?」

 

「何、カマをかけただけだよ。それで?何が聞きたいんだ?」

 

そう言ってそいつは少し体を起こす。

 

「おいおい、大丈夫かよ。まだ治ってねえんだからじっとしてろ。」

 

「へっ。いつまでも休んでられるかよ。」

 

「…そうか。なら、聞くぞ。爆弾ってのはどんな感じだった?」

 

「…ぬいぐるみだ。おそらく、あの中にアルミを仕込んでたんだろうな。全く、悪質だ。子供を利用するなんて…」

 

「…そうだな。じゃ、次だ。爆発の仕方はどうだった?」

 

「ああ、起爆する時に、そのぬいぐるみが歪んでたな。

あの起爆の仕方は、量子変速(シンクロトロン)だろうな。」

 

「そうか…ありがとう。」

 

「いいよ。俺は怪我で前線にはいられない。なら、情報でお前らを支援するのが俺の役目だからな。」

 

「…また来るよ。怪我、はやく治せよ。」

 

「言われなくても。」

 

そう言葉を交わし、俺は病室を出た。

 

 

 

 

 

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「暑ぃ…」

 

俺は、息抜きのためセブンスミストーー服屋に来ていた。

なぜ服屋かというと、俺の私服がほぼないからである。

もう少しはやく来たかったが、なかなか忙しく行く機会がなかったのだ。

ネットで買えばいいと思うだろうが、俺は自分の服のサイズがわからない。なので、現地で試着しなければならないのだ。

 

「あ"〜…冷房きいてる〜…涼しぃ〜…」

 

入ると、中は外とは違いとても涼しく、思わず表情が緩んだ。

今、俺めちゃくちゃ気持ち悪い顔してるだろうな…

 

まあそんな事はどうでもいい。それよりも服だ。

俺は一瞬で表情を切り替え、男性服のコーナーに向かった。

 

 

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「ん?あれ、御坂だよな。」

 

俺が歩いていると、前方に見覚えのある茶髪の少女が見えた。

俺は声をかける。

 

「おーい、御坂〜。何やってんだ〜?」

 

「へ?あ、い、いや、これは…」

 

「?」

 

俺が声をかけると、御坂はなぜかものすごく慌て出した。

なぜだ?

 

 

「あれ、ビリビリ。お前何やってんだ?」

 

と、不意に後ろから声がした。

振り向くと、そこにはツンツン頭の少年が、幼い子と手をつないで立っていた。

 

 

「あ、アンタ、妹がいたの!?」

 

「ん?ああ、いや違うよ。迷子になってたから親御さんを探してるだけだ。」

 

そう少年は言う。

あれ、こいつどっかで…

 

「迷子か。じゃ俺も風紀委員として見捨てるわけにはいかないな。」

 

「ん?ああ、アンタ風紀委員か。よかった。…ん?あれ、アンタどっかで会ったか?」

 

「奇遇だな。俺もそんな気がしてた。名前は?」

 

「俺か?俺は、

 

上条当麻だ。」

 

上条当麻。今この少年はそう言った。

まさか、もしかして……

 

「…当麻か?」

 

無意識に、口に出していた。

 

「あれ?やっぱ会ったことあったか。うーん、名前聞けば思い出すかもな…なあ、アンタ名前は?」

 

「あ、ああ。俺は、

 

神楽坂焔だ。久しぶりだな、当麻。」

 

俺がそう名乗ると、少年ーー当麻は、驚いたように目を開いた。

 

「お、お前、焔か!?久しぶりだなあ!!元気だったか?」

 

「ああ!お前も元気そうでよかった。」

 

ああ、今日はいい日だ。

まさかこんなところで親友に会えるなんて。

 

「ちょ、ちょっと。アンタたち、知り合いだったの?」

 

「ん?ああ。小学校の時の親友だよ。」

 

「ああ!まさかここで会うなんてな!」

 

俺らは久しぶりの再会を果たした。

そのあと、俺らは連絡先を交換し、一緒に迷子の少女の親を見つけにいった。

御坂は完全について行けてなかった。

 

 

 

 

 

「いや〜それにしても、お前がLevel5だって知った時は驚いたよ。昔から高位能力者だってのはわかってたけど、まさか第一位だったなんてな。」

 

「まあな。あの時はあまり公表するなって言われてたからな。能力を自由に使えるようになったのもつい最近だし。」

 

そう。実は前に起こった強盗事件の時に能力を使った影響で、なぜか自由に能力を使ってもいいことになったのだ。

これで移動に困らない!

 

「まあ、俺はお前の方が驚いたけどな。なんだよその髪型。全然わかんなかったぜ。」

 

「ああ、これか。まああの時は小学生だったしな。今は少しそういうのも気にしてるんだよ。」

 

俺と当麻がそうやって話していると、

 

 

「ん?おい当麻。あの子いなくねえか?」

 

「え?あ、本当だいねえ!どこ行ったんだ?」

 

「とりあえず探すぞ!」

 

そういって俺と当麻はあの少女を探し始めた。

 

 

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「いたか?」

 

「いや、いない。どこ行ったんだ?」

 

俺と当麻は二手に分かれて探していたが、一向に見つからなかった。

 

「ありゃあ、御坂か?おーい御坂!」

 

俺は御坂に近づく。

 

「ん?ああ、なんだアンタらか。」

 

「なあ、さっきの女の子見なかったか?」

 

「え?見てないわよ。アンタらが連れてたんじゃないの?」

 

「それが………」

 

俺は御坂に事情を説明した。

 

「何してんのよアンタら…早く見つけないと危ないわね。」

 

「ああ。それで…」

 

その時、携帯がなった。

固法からだ。

 

 

「もしもし。神楽坂だ。どうした?」

 

『神楽坂君!爆弾が見つかったわ。』

 

「わかった。それで、どこにあるんだ?俺がすぐ向かう。」

 

『いいえ、その必要はないわ。場所はそこ、セブンスミストよ。』

 

「なんだって!?」

 

『すぐに避難を促して頂戴。警備員にはこっちから連絡するわ。』

 

「…わかった。じゃあきるぞ。」

 

そういって通話を止める

 

「何かあったのか?焔。」

 

「ああ。実はーー」

 

俺は今のことを伝える。

 

そして、当麻と御坂は避難誘導、俺は放送室へといった。

 

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「ーーーというわけなので、直ちに客を避難させてください。」

 

「は、はい。わかりました。」

 

俺は店員に放送をしてもらうと、すぐに避難誘導を行った。

もうほとんどの人が避難した後、俺は爆弾を探しに行く。

 

「焔!」

 

と、そこに、当麻が来た。

 

「どうした?当麻。」

 

「あの子が、まだ見つからないんだ!」

 

「そうか。もう避難したかもしれないが、一応探してみよう。」

 

俺はそういって能力を使う。

これは、微弱な衝撃を発生させ、跳ね返ってきた衝撃で周りの様子を確認する、いわばソナーのような感じの技だ。

 

 

「…いた!まだ店内にいる!こっちか!」

 

俺と当麻は走っていく。

 

そこでは、

 

今にも爆発しそうなほど歪んだぬいぐるみと、迷子の少女と初春と御坂がいた。

御坂がコインを落とす。

何をするつもりだったかはわからないが、とにかくマズい。

 

俺と当麻は爆弾と彼女らの間に入る。

 

その瞬間、爆弾が爆発した。

 

 

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「フフフ、よし。この力にも慣れてきた…」

 

路地で、眼鏡の男が笑う。

 

「もう少し…もう少しだ…あの無能な風紀委員たちも、みんなまとめて吹っ飛ば「おい」し…て…」

 

男は振り向く。

そこにいたのは、紅く、朱く、緋い少年だった。

腕には風紀委員の腕章を着けている。

 

「よう。元気か?爆弾魔。」

 

「なんの話かな…?僕が爆弾魔…?」

 

少年はその言葉には耳を貸さず、

 

「残念だが、お前の爆弾での負傷者はゼロだ。本当によかったよ。」

 

「なっ…!?」

 

男は目を見開き、

 

「そんな馬鹿な!あれは僕の最高出力だぞ!」

 

「へえ…最高出力ねえ…」

 

「あ、…いや、とてもすごい爆発だったから…」

 

そう言いながら男は自分のバッグに手を伸ばす。

 

「…中にいた人は…」

 

バッグから取り出したのはアルミ製のスプーンだった。

男はそれを振りかぶり、

 

「…助からないんじゃないかってね!!!」

 

ーースプーンを投げつけた。

そのスプーンはどんどん歪み、

 

ドカアアアアァァァン!!

 

 

…爆発した。

 

「はは、や、やったぞ…。あの無能な風紀委員を吹っ飛ばしてやったぞ!ハハハハハハ!!!」

 

男は笑う。

そうしているうちに煙は晴れ、徐々に視界がよくなっていく。

そして、そこに見えたのは、

 

 

 

 

 

ーーーー無傷の、少年の姿だった。

 

「!??」

 

男は驚く。

 

「よお、良い夢見れたか?爆弾魔。」

 

少年は薄く笑う。

 

「今度はこっちから行くぞ。」

 

そう言うと少年の姿は消え失せ、

男の目の前に現れた。

少年は拳を振りかぶり、男を殴った。

直後、猛烈な衝撃が男を襲う。

男は2〜3m吹っ飛んだ。

 

起き上がった男は、喋り出す。

 

「…力がある奴らはいつもそうだ…いつも、僕らを傷つけ、蹂躙する…。お前ら風紀委員は何もしてくれない…。お前ら高位能力者なんて!みんなそんなものだろうが!!!」

 

「………あ"?」

 

男が叫んだ直後、少年の雰囲気が変わる。

少年は、怯んでいる男の胸ぐらを掴み、持ち上げる。

 

「てめえ今、なんつった?俺らが何もしない?ふざけんな!何もしなかったのは、変わろうとしなかったのは、てめえ自身だろうが!!」

 

少年は激昂する。

 

「甘えんな!!自分で何もしねえ奴は、救われやしねえ!俺はなあ、俺たちはなあ!困ってる奴は助けるさ!だがなあ、困るってのは、やれること全てをやり切って!それでも何も変わらなかったやつだけが困ってるやつなんだよ!お前は何をした!?何もしないから何も変えられず!それなのに風紀委員を憎み!そしてなんの関係も無い人たちを巻き込んだ!お前がやったのは!ただの逆恨みだ!」

 

少年は叫ぶ。

 

「力が欲しい?それはいい。努力するための糧になる。だがお前は力を得て何をした!お前がやったことはなあ!お前が憎んでいる、高位能力者と同じことなんだよ!!」

 

少年は男を地面に下ろす。

男は少年のあまりの剣幕に放心状態になっていた。

 

「…あ〜もしもし白井か?…ああ。犯人を確保した。すぐ来てくれ。…ああ。わかった。…ああ。じゃあな。」

 

少年は通話をきって、路地から出て行った。

 

後に残ったのは、未だ放心状態のままの男だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




説教くさい話になっちゃいました。
しかも超理論。

手に負えないね。
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