米花町のスタンド使い ~マシン・ヘッドの死神的日記帳~   作:兵庫人

1 / 4
第1話

 ~一日目~

 大学受験に失敗した傷心旅行でイタリアに行っていた俺は、帰国後すぐに近くのコンビニでこのノートを買って日記をつけることにした。

 

 日記をつけることにした理由は、自分に起こった出来事を書き残して読み返すことによって、自分の正気を保つためだ。

 

 ことの始まりはイタリア旅行の最終日。その日の俺はホテルの近くを散歩していたのだが、途中で一本のライターを拾い、何となくだが拾ったライターの火をつけてしまったのだ。……それがいけなかった。

 

 ライターの火をつけた瞬間、俺は何処からか現れた黒づくめの大男に襲われる幻覚を見て、気がつけば数分間気絶していた。それから目を覚ました俺は怖くなり、逃げるようにホテルの自分の部屋に帰った。

 

 ……ちなみにだがその日、俺が気絶していた場所の近くで外傷がないのに死亡した一人の男の変死体が発見されたらしい。

 

 これだけでも十分すぎる程怖いのだが、恐怖はこれだけでは終わらなかった。俺がホテルの自分の部屋に戻ると「妙なもの」が見えるようになっていたのだ。

 

 それは、迷彩柄の戦闘服を着たロボットのような外見の幽霊だった。

 

 ロボットのような幽霊は特に何をするでもなく、しばらくすると消えるのだが、それでも不気味なものは不気味てあり、こうして日記を書いている今もロボットのような幽霊は俺の背後に立っている。

 

 本当にこの幽霊は何なんだ?

 

 

 〜二日目〜

 帰国して一日経ってもやはり例のロボットのような幽霊が現れるため、気晴らしに愛車でドライブをすることにした。

 

 俺は子供の頃から乗り物が大好きだった。自動車にバイクに自転車、とにかく実際に自分の手で乗り物を操っていると、自分が人間以上な存在になれるような気がして、俺は昔から何か嫌なことがあると乗り物に乗って近くを走り回っていた。

 

 俺の愛車は「トライク」と言う、前方のタイヤが一輪で後方のタイヤが二輪の、バイクと車の中間みたいな三輪の乗り物だ。このトライクは基本的な外見と運転はバイクに近いのだが、法律上は「車」であるので車並みのスピードを出せて高速も走れる上、ヘルメットもしなくてもいいので風を感じられる中々にご機嫌な乗り物なのである。

 

 俺が愛車のトライクと出会えたのは一年前。一人暮らしを始めたばかりの俺は、とあるバイクショップで「十万円」という破格の値段で売られていたこのトライクと出会うと、すぐさま学生の頃からバイトで貯めていた貯金で購入して今に至る。

 

 トライクに乗って周囲を適当にドライブしていればロボットのような幽霊のことも忘れられると思っていた俺だったのだが、ドライブを初めてすぐにロボットのような幽霊がとんでもないことをしでかした。

 

 何とロボットのような幽霊がトライクの中に吸い込まれるように入っていき、それからすぐにトライクの周囲に半透明な戦車の幽霊があらわれたのだ。

 

 幸いと言うか戦車の幽霊は俺以外のドライバーや周りの通行人には見えていないみたいだったが、コイツは一体何をしたんだろうか? と言うか、戦車の幽霊なんか作って何の役に立つんだ?

 

 

 〜三日目〜

 昨日はロボットのような幽霊がトライクの中に入って戦車の幽霊を作ったことに対して「何の役に立つんだ?」と思っていたが、その意見を全力で撤回したい。

 

 この戦車の幽霊を作り出す力はそれはもう非常に! ディ・モールトに! ディ・モールトに最高だ!

 

 今日もトライクに乗ってドライブをしているとたまたま近くの店で爆弾事件が起こり、それによってこちらに勢い良く飛んできたガラスの破片を戦車の幽霊が装甲で弾き返したのである。

 

 戦車の幽霊を作り出すなんて能力、普通なら使い所はほとんど無いだろうが、この「米花町」なら話は別だ。

 

 日本国内どころか世界全体から見ても犯罪発生率がトップレベルで高く、毎日どこかで殺人事件が起こり、年に数度の勢いで大規模な爆弾事件が起こる犯罪都市。

 

 日本は世界でも平和な国だと言われているけど「国内の犯罪が米花町に集中しているから他の地域が平和に見えるだけなんじゃないか?」と俺は常日頃から思っている。

 

 物価は安いし仕事も好条件なものが多いのだが、そのほとんどが何か訳ありで、米花町に住まう住民はいつも死と隣り合わせの毎日を送っている。

 

 ちなみに俺が今住んでいるマンションの部屋や愛車のトライクは、どちらも前の持ち主が変死した訳ありの事故物件と事故車だったりする。……もうちょっとよく調べてから買うかを決めろよ、俺の馬鹿。

 

 とにかく、ロボットのような幽霊がトライクに取り憑いて戦車の幽霊を作り出せば、俺はこの米花町を安全に移動できると言うことだ。

 

 そう考えると我ながら現金なもので、ロボットのような幽霊が不気味なものが頼もしいものに思えてきた俺は、ロボットのような幽霊を「マシン・ヘッド」と呼んで受け入れることにしたのだった。

 

 

 

「主人公のスタンド能力」

 スタンド名:マシン・ヘッド

 破壊力:A スピード:E 射程距離:A 持続力:A 精密動作性:C 成長性:D

 スタンドが憑依した乗り物を中心にして霊体の戦車を作り出す能力。霊体の戦車はスタンド使いにしか見えないが、本物の戦車と同じだけの攻撃力と防御力を持つ。

 乗り物に憑依する前のマシン・ヘッドは、迷彩柄の戦闘服を着たロボットのような外見をしている。

 主人公の乗り物に乗っている間は人間以上に強くなれるというイメージと、愛車に傷を負ってほしくないという願いが形となったスタンド能力。

 スタンド名の元ネタはイギリスのロックバンド、ディープ・パープルが発表したアルバム。

 

 

 

「主人公の愛車」

 前方のタイヤが一輪、後方のタイヤが二輪の「トライク」という乗り物。

 作ったメーカーはハーレーダビットソンで、普通ならばハーレーダビットソンのトライクは中古でも数百万の値段がつくことも珍しくはない。それを十万円で売っていることに、何故主人公は怪しいと思わなかったのだろうか……?

 自動車並みのスピードで走れて、バイク程ではないが小回りが効いて、しかもヘルメット無しで走行可能なトライク。それはつまり、犯人を追跡中のメガネをかけた死神が気軽に乗れたりすると言うことで……?




続きません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。