ウォルターは悩んでいた。レイヴンが再生手術によりもとに戻り真っ当な人生を歩み始めた頃から消えていたが、最近になってまた悩んでいる事がある。
「621の彼女が出来たら俺は倒れてしまうかもしれん」
なんてことだ、手塩にかけた愛息子に女が出来るなど。
「うぉるた、かのじょできた」
「彼女です❤」
ウォルターは想像しただけで心臓が逝ってしまいそうだった、薬でごまかして入るが結構なご年配なので油断したらマジで逝くんじゃなかろうかと戦々恐々している。
というか想像上のレイヴンの彼女がプルートゥなのは何故だ。
「621……人は選べ……」
それはウォルターの妄想である。レイヴン本人が聞いたらさぞ頭を傾げることだろう。
「おーいウォルターいるかい」
ウォルターの家に堂々と入り込んでくるのはカーラだった、彼女はウォルターと同じ年齢らしいが若げふん、美容に気を使っているので年齢不相応な美貌を保っている。ウォルターと並べて見た時に親子かと思うかもしれないが、同級生である。
「カーラか、一体何のようだ」
「朴念仁に貢物だよ、前に言ってた店のデリバリーさね」
「(朴念仁? なぜそのような表現を使う?)……あぁ助かる」
「はぁ……(もうずっとアタックしてるのにまっっったく気が付かないのかね、この親バカ司令官は)」
カーラとウォルターはそんな感じで毎日を過ごしている。成就する日は多分まだ先の話だ。
「で、ウォルター、ビジターの様子はどうだい? 腕利きの医者に任せたから、順調に声が戻っていっているはずだよ」
「それなら滑舌が以前より5%向上した、腕力や脚力も人並になってきている。知識も順調に蓄えているようだから近いうちには大学生レベルで勉強もできるようになる」
(全くコイツ……目の前の女にゃ興味ないのかね……私はそんなに魅力が無いのか……? いや、こいつが親バカ過ぎるだけか……)
内なるチャティがカーラを励ましている中、ウォルターはレイヴンの観察日記まで取り出していか成長したかとこんこんと語る。以前聞いた所から最新の所までこの話が出るたびに1から説明しているのである。もうこうなれば話の振り方が悪かったと自笑するしか無い。
「…………カーラ?」
「うん? なんだい?」
「いや、寝たのかと思ってな」
「寝たよ、もう3周目だからね? ビジターの話は」
「……すまない、以後気をつける」
「それも3回目さね」
「うっ……気をつける……」
遅咲きの青春を見ているようだった。と、後にエアは語る。
★
「ご友人❤の為に、いざっ!」
プルートゥは多額の金銭を払い、とある手術を行った。
「本当にやるんですか」
施術する医者のほうが乗り気じゃなかった。なんならそのままは回れ右して帰れと言わんばかりに睨み付けているがプルートゥは全く意に介していない。
「ご友人❤の好みを聞き出した今、更にご友人❤と親密な仲になるべく必要なのです……」
「私が嫌だからやめて良い?」
「スウェー、スウェー、キックキック、スウェー」
プルートゥお得意のリズムで医者をぶん殴って言うことを効かせる、何事も暴力が手っ取り早い説得である。
そしてプルートゥ、女になる。
「これは凄いサプライズになります! あぁ花束も用意しなければ、花束はどこだ……ご友人❤が好きなヒマワリを探さねば……」
平和な世の中で変態度合いに更に磨きが掛かったプルートゥは手術が成功するやいなやレイヴンの下へ向かった。
が、プルートゥ避けトラップが最新式になったために見事返り討ちになったそうだ。まだこりてないぞあいつ。