ブルアカもアナデンものんびり遊んでるので情報がかなり遅れてる可能性はあります。矛盾や食い違いがあった時は申し訳ありませんが軽く流してくれると助かります。
謎の少女を工場で見つけた後、何事もなくゲーム部の部室まで帰ってこられた。でも、あの少女はシャーレであずかるつもりだったんだけどゲーム開発部に連れてくるなんて、何か考えがあるのか?
「シャーレで保護するつもりだったけど、ゲーム部の部室に連れてきてどうするんだ?」
「そうだよお姉ちゃん! 今からでも連邦生徒会とかに預けたほうがいいんじゃ……」
「そうしてもいいんだけど……。これからやることが終わったらね」
「何か考えがあるのか?」
「まあね。それで……とりあえず名前がないと困るよね。「アリス」でいいかな?」
「体に書かれてた記号は「AL-1S」じゃなかったか?」
「それじゃ呼びにくいでしょ? どう?」
「……肯定。本機、アリス」
「……それでいいんだ」
「はははっ。本人が嬉しそうならいいんじゃないか?」
謎の少女、アリスは「アリス」という名前を気に入っているのか少し笑っている。言葉に人間味が感じられなかったけど、なんだか情緒の育っていない子供……赤ちゃんみたいな感じかな。なんだかこれから育っていくような気がする。
「ねえ二人とも。G.bibleを探してたわけって覚えてるよね?」
「いいゲームを作って廃部させないためだよね?」
「そう。……だけど、それだけにこだわる必要もないよね」
「確か、廃部にさせない条件のうちもう一つは部員の人数を増やすことだったよな」
「まさかお姉ちゃん……」
「そのまさか! アリス、私たちの仲間になってよ!」
モモイが今日一番と思うくらいの笑顔でアリスに向かってそう言った。まさかそんなこと考えてたなんて気づかなかったけど、ミレニアムに入学するのってそんなに簡単なのか? 部に入るにはミレニアムの生徒である必要があるはずだし、なんだか難しい気がするけど……。
「ゲーム開発部に入れる方法があるのか?アリスはミレニアムの生徒じゃないけど…」
「大丈夫!だから大船に乗ったつもりで待っててよ。ねっ!アリス!」
「…あれ?アリスちゃんは?」
アリスのいた場所を見ても姿が見えない。なんだか近くからガリガリと何かをかじる音が聞こえるんだけど……。少し嫌な予感を感じながら音のする腰元に視線を向けると、ぺたりと座り込んだアリスがオーガベインの鞘にかじりついていた。
「アリス!? オーガベインをかじっちゃダメだって!」
「…」
「結構力が強くて引き剥がせない…!」
アリスがこれ以上かじらないように引きはがそうとするけど、思った以上に力が強くて離せそうにない。本気で引き剥がして怪我をさせるわけにもいかないし、早く引きはがしたいけど・・・。あんまり長引くとオーガベインが起きてしまいそうだから早く何とかしないと……。そう考えて焦っていると、ふと今までのアリスの振る舞いを見ていて少し思いついたことがあった。
(もしかして興味のあるものに齧り付いてるだけなんじゃ…?)
「ア、アリス!向こうになんだか面白そうなものがあるぞ!」
何とか気がそらせたのか、アリスがなんだか小さくて平たい機械をかじり始めた。興味のあるものを手当たり次第にかじっているあたりがなんだか赤ちゃんみたいで微笑ましいけど、これが続くと結構大変だな…。
「ああっ! 私の「ゲームガールズアドバンスSP」食べちゃダメっ!」
(すまん、モモイ・・・)
「ごほん! 気を取り直して……。私はアリスの生徒手帳を用意してくるから、しゃべり方のほうは三人でよろしくね!」
「三人っていうと・・・あとの一人は部長のユズって子か?」
「そう。・・・私たちがゲーム開発部にこだわっているのはユズのためでもあるんだ。とにかく!生徒手帳のほうは当てがあるから、そっちもよろしくね!」
「あっ、ちょっとお姉ちゃん!」
モモイが勢いよく部室から飛び出していく。残ったのはミドリと俺と、いまだに何かをかじっているアリスだけだ。話し方を覚えさせるなんて、子育ての領分な気がするし、どうすればいいかわからないぞ・・・。
「普通なら周りの言葉を聞いたり真似してくうちに自然に習得するものだから、すぐには難しいと思うんですが・・・」
「どうしようか・・・。俺は昔じいちゃんに絵本を読んでもらったり昔話してもらったことはあったけど、それじゃ時間かかるよな」
「ネットに子供用の教育プログラムがあればいいんですけど・・・」
まるで子供の育て方の方針の様に、俺とミドリはどうやって話し方を学ばせるかを話し合った。すぐに出る案だと時間がかかるし効果も分からないようなものしか思い浮かばない。
「正体不明のものを発見、確認を行います」
「それは…もしかしてゲームのカセットか?」
俺たちが話し合っている最中、アリスが何かを持ってきた。なんだかゲームのカセットみたいだけど、なんだか少し手作り感があるような気がする。横にいるミドリはアリスからカセットを受け取ると少し恥ずかしそうにしながらこう言った。
「実は・・・そのゲームは私たちが作ったものなの。まあ、すごい酷評されちゃったやつなんだけどね」
「それって、「テイルズ・サガ・クロニクル」か?」
「は、はい…」
ミドリは手に持っているカセットの表面を軽く撫でながら、少し緊張したようにこう問いかけた。
「クソゲーランキングで一位になっちゃったし、アリスちゃんがどう思うかはわからないけど・・・。よかったら、私たちのゲームをやってみない?」
「ここまでの言動の意図、完璧には把握しかねます・・・。しかし、肯定。アリスはゲームをします」
「本当!?ちょ、ちょっと待ってて、すぐにセッティングするから!あっ、先生も良ければ一緒にやりませんか?」
「俺は構わないけど・・・。いいのか?」
すごく嬉しそうにゲームをセットするミドリの横に行って声をかける。でもミドリは何のことか分かっていないみたいで、少し頭を傾けながら俺のほうを見ている。要らない心配かもしれないけど、聞いておきたい。
「あっ、アリスちゃんの学習のためにやるんですもんね。でも、みんなで交代しながら遊ぶのも楽しいですし、見ているだけでもいい学習になると思います!」
「い、いや…それもあるんだけど。もしアリスにゲームのことを悪く言われたら・・・」
「先生・・・。心配してくれてありがとうございます。でも私は・・・私たちは大丈夫です。もちろん、今までされた低評価がつらいのは本当なんですけど・・・」
ミドリはカセットをゲームをするための機械に刺しながら話し続ける。その横顔には恐れや戸惑いがあるわけではなく、どこか嬉しそうな雰囲気を感じる。慣れた手つきで準備を進めていくミドリは、俺の方を向きながら明るく笑いかけてくれた。
「それでも、私たちの精いっぱいを込めて作ったものを遊んでもらえるのはうれしいですから。ゲームにとって不幸なことは、だれにも遊んでもらえないことだと思います。・・・それでもやっぱり、面白かったって言ってほしいですけど」
「そうか。・・・アリスに喜んでもらえるといいな」
「はい!」
やっぱり、要らない心配だったみたいだな。アリスの学習のためだからあんまり俺が遊ぶわけにはいかないけど、どんなゲームなのか楽しみにしておこう。アリスも俺と一緒でワクワクしているのか、画面前でコントローラーを持って待っている。
「アリス、ゲームを開始します・・・」
テレビが明るくなって、映像が映し出される。俺も、冒険に出かけて未知の何かに出会った時のような高揚感を感じながらゲームを見ている。
そこからは、なんだかすごかった。最初のナレーションに従ってボタンを押したらなぜかゲームオーバーになってしまった。アリスは茫然としているし、いきなりこれはキツいんじゃないか?俺も同じものを遊ぶと思うと少し腰が引けてきた・・・。
「指示に従っただけでゲームオーバーはひどくないか?」
「これくらいで弱音を吐くなんて、先生はまだまだだね!」
「お姉ちゃん、戻ってたの?学生証はどうだった?」
「遅い時間で誰もいなかったから、また明日発行してもらいに行くよ」
「ほんとに大丈夫なの?…それより、作った側から見てもひどいと思うよ。これは」
「・・・もしかしてこんな感じがずっと続くのか?」
「それはやってみてのお楽しみだよ!」
「再開。テキストでは説明不可能な感情が発生しています」
「私それわかるかも!きっと「興味」とか「期待」とか、そういう感情だと思う!」
「どう考えても「怒り」とか「困惑」だと思うけど・・・」
「と、とにかく…。アリスがやる気になったのはいいことだよな」
「こ、ろ、し、て・・・」
「結局、最後まで一人でやり切ったな・・・」
「私たちが一緒とはいえ、3時間でトゥルーエンドなんてすごいよ!」
「それに、アリスちゃんの話し方が、だんだん多彩になってきてるよ」
「勇者よ、汝が同意を求めるなら、私はそれを肯定しよう」
「それ、さっきのゲームのセリフじゃないか?」
「それでもさっきよりはずっといいですよ!」
ミドリの言う通りさっきまでの機械的な受けごたえからはかなり良くなっているし、これならユウカもなんとかごまかせるかもしれない。アリスにとってここが居場所になってきているし、何とか成功してほしいな。
「それで、アリスちゃん・・・私たちのゲームはどうだった?」
ミドリとモモイがそわそわとしながらアリスにそう聞いた。やっぱり最後まで遊んでくれたアリスの感想がすごく気になるんだろうな。なんだか俺もアリスの評価が気になってきたな・・・。
「・・・説明不能」
「ええっ!?」
「しかし、面白さは明確に存在。プレイをすればするほど、まるで別の世界を旅しているような・・・夢を見ているような、そんな気分・・・もう一度・・・」
一つ一つ、今までの道のりを振り返るように感想を言うアリスにモモイとミドリは興奮しっぱなしだ。さっきミドリが言っていたように、アリスに最後まで遊んでもらったことが本当にうれしいんだろう。そばで見ている俺もなんだかうれしくなってきたな。
「・・・」
「ア、アリス!?どうして泣いているんだ?」
「それはもちろん、私たちのゲームで感動したからでしょ!」
「どっちかっていうとギャグよりのシナリオのはずだけど・・・」
「泣いてくれるほど感動してくれたことが、何よりうれしいよ!ユズにも早く教えてあげたいな・・・!」
「大丈夫。ちゃんと全部見てたから・・・」
ふと、今まで聞いたことのない声が聞こえてきて、ロッカーがひとりでに開きだした。中からは、赤く長い髪を揺らす小さな女の子が出てきた。まっすぐにアリスを見つめているその表情は、少しだけ嬉しそうに見える。
「ユズちゃん!いつからロッカーにいたの!?」
「みんなが廃墟から帰ってきた時から・・・」
「全く気配を感じなかったぞ!?」
今まで数時間くらいゲームをしていたけど、その間ロッカーにいたことがばれないくらいずっと気配を消していたってことだよな。どうしてそこまで隠れてたんだ?
「もしかしてアリスちゃんと先生が怖かったから?モモトークとかで連絡してくれたらよかったのに・・・」
「あ、アリスと先生は初めてだよね。この人が私たちゲーム開発部の部長、ユズだよ」
ユズは俺のほうを伏目がちに見ながら会釈をすると、アリスのほうに近づいていった。ユズはロッカーに隠れるくらいの人見知りみたいだけど、こうして俺にも挨拶をしてくれるってことは少しは慣れてくれたのかな。
「・・・ありがとう。面白いって言ってくれて。泣いてくれて、本当にありがとう」
「?」
「ずっと、そういう言葉が欲しかったから・・・」
きっと、まっすぐなアリスの心がユズに伝わったんだろうな。・・・アリスはまだ状況が呑み込めていないのか、きょとんとした顔をしているけど。モモイがアリスを連れてきたことは間違っていなかったんだって、なんだかそう思えた。
「とにかく、改めてよろしくね。アリスちゃん。先生もありがとうございます」
「俺は何もしてないよ。モモイが廃墟に行こうって決めたからアリスに出会えたんだし」
「ふふふ・・・やっぱり名案だったでしょ!」
「危ない目にあったし、かなり行き当たりばったりだったような・・・」
モモイとミドリがワイワイと言い合っていて、ユズがそれをいつものことのように穏やかに見ている。ユズはいつも通りの空気に戻って少し安心したのか、小さく咳ばらいをしてもう一度アリスに向きなおった。
「よろしくね。アリスちゃん」
「よろしく・・・。つまり、ユズが仲間になりました!・・・ということですか?」
「アリスちゃん、本当に私たちのゲームを楽しんでくれたんだね。・・・もし、RPGを気に入ってくれたのなら、私のおすすめのゲームを教えてあげる。せ、先生もどうですか?」
「俺もいいのか?」
「あ!私も二人におすすめのゲームを教えたい!結局先生は私たちのゲームはやってないし、RPGの良さを伝えるためのゲームはもう考えてるんだから!」
「だったら私も二人にやってほしいゲームがあるのに!」
なんだかだんだんと熱が入り始めたのか、3人で話し合いを始めてしまった。俺もアリスもまだゲームには詳しくないから話についていけない・・・。少しその熱量に圧倒されていると、服を軽い力で引っ張られた。引っ張られる方を見ると、アリスが座りながら俺のほうを見ていた。
「先生もアリスの仲間になりますか?」
「ん?ああ。これからは俺も一緒にゲームをすることになるだろうし、仲間だな」
「・・・アリスの横で共に戦おう、先生よ」
さっきのゲームのセリフを少し変えながら自分の横の床をポンポンと叩いている。もしかして横に座って一緒に遊ぼうって誘ってるってことか?言葉だけじゃなくて意思表示もだんだんとはっきりとしてきている気がするし、ゲーム一つを遊んだだけでここまで成長するなんてすごいな。
「ああ。一緒に楽しもうな」
「はい!・・・先生が仲間になりました!」
うれしそうなアリスとユズたちがゲームの準備をしているのを見ながら、俺もいったいどんな物語に出会えるのかを楽しみに待つことにした。