ミュンファは一応キャラクエ全部終わった後を想定しているのでよろしくお願いします。やっぱりそっちのほうが破壊力あるので。
「今日は朝からいい天気ですね!」
今日は主殿と一緒に一日過ごせる日。昨日の夜からずっとワクワクしてしまって、今朝は早起きをしてしまいました。ずっと家にいるのも落ち着かなくて、少し散歩をすることにしました。いつもは人でにぎわっている通りも朝早い時間のせいか町を歩いている人は少なくて、少し得をした気分です! 朝の澄んだ空気を感じながら歩いていると、だんだんと頭もすっきりとしてきた気がします。
「まだ主殿との待ち合わせまでは時間がありますし……どこかで朝食でも取りましょうか?」
そろそろ食事をできるお店も開店し始めるころですし、今日一日主殿と楽しむためにもしっかりと朝ご飯を食べないと! そう思って何を食べようかと考えていると、視界の端で何かが動いたような気がしました。
「猫でも寝ているのでしょうか?」
周囲を見わたしてみてもいつもの街並みがあるだけで何もない……気のせいかと思って歩き出そうとすると、視界の端で何かがキラリと光りました。気になったイズナは光った方向に向かっていくことにしました。
「これは……茶釜でしょうか? 誰の落とし物でしょうか?」
周りには誰も使わないようなボロボロの道具が無造作に置かれている中、きれいに磨かれた茶釜だけが異様な存在感を放っています。茶釜はイズナから見てもすごいものに見えますし、ここまで見事な品だと捨てられたようには思えません。誰かの落とし物だとしたら今もこの茶釜を探しているかもしれませんし、落とし物としてどこかに届けたほうがよさそうですね。そう思って茶釜を拾い上げるために腰を落とすと、突然茶釜がひとりでに動き始めました。イ、イズナはまだ触っていないはずですが……。
「も、もしかして中で猫が寝ているのかも……」
そう気持ちをごまかしながら茶釜に触った次の瞬間。いきなり茶釜から煙が噴き出して何も見えなくなってしまいました。突然視界が真っ白になってしまって思わずしりもちをついてしまいました。
「ひゃああ!」
「うーん。気持ちのいい朝ですねー」
煙はすぐに晴れて、目の前には背伸びをしている女の人が見えました。まるで今までここで寝ていたかのような感じで背伸びをしていますが、さっきまでここには誰もいなかったはずです。も、もしかしてこの方は……。
「もしかしてあなたは忍者なのでしょうか!?」
「へっ!? いきなりなんですか!? ……というか、あなたは?」
「あっ。すいません、イズナは久田イズナといいます!」
「イズナ様、ですか。私はミュンファと申します~! それで、私が忍者というのは?」
「イズナは忍者を目指しているんです! それで、ミュンファ殿が何もないところから現れたのでもしかしたらって!」
「うーん……残念ですが私は忍者じゃありません。それに、忍者にはあまりいい思い出がありませんし」
「そうですか……残念です……」
確かにミュンファ殿を見てみると、忍者のような恰好はしていませんね……。服装もどちらかというと山海経のほうに近いような気がします。それによく見てみるとヘイローも見当たりませんし、もしかして外から来た方なのでしょうか?
「ミュンファ殿にはヘイローがありませんが、もしかしてキヴォトスの外から来たのでしょうか!?」
「ヘイロー? キヴォトス? ええと……ここはイザナじゃないのですか?」
どうやらミュンファ殿は自分がどこにいるのかを把握されていないようですね。ヘイローやキヴォトスについても知らないようですし、なんだか思ったより大変な事情があるのかもしれませんね。……ここはイズナが力になるべきでしょう! 主殿の忍者として、困っている方を見過ごすわけにはいきません!
ミュンファ殿にキヴォトスのことについて大まかにお話ししました。やっぱりキヴォトスのことは初めて聞くようで、話しているイズナも新鮮な気分です。簡単に説明し終わると、ミュンファ殿は少し考え込んでしまいました。……ミュンファ殿のものだという茶釜をリフティングしながら考え事をしているので、見ているイズナのほうがなぜかハラハラしてしまいますが。
「つまり、ここは私のいた世界とは違う世界だと。にわかには信じられませんが……」
「ミュンファ殿はどうやってここに来たのか覚えていないのですか?」
「はい。気づいたらここにいましたので……」
「うーん、どうしましょうか……」
これ以上手がかりがないのは困りましたね……。このまま放っておくわけにもいきませんし、誰かに相談したほうがよさそうですね。そうだ! 主殿は外から来たとおっしゃっていましたし、一緒に会いに行ってみるのがいいかもしれません!
「ミュンファ殿! よければイズナと一緒に主殿に会いませんか? きっと力になってくれます!」
「主殿? もしかしてイズナ様も誰かに仕えているのですか?」
「はい! 主殿はイズナの大切な方で、忍者として忠誠を誓っているのです!」
「イズナ様は良い方に出会われたのですね。……それで、力になってくれるとは?」
「主殿もミュンファ殿と同じように外から来た方なので、もしかしたら帰り方とかを知っているかもしれません!」
「なるほど……。私もイズナ様のご主人様が少し気になりますし、ぜひ会ってみたいですね」
「はい! ですが主殿とはお昼に会うので、それまではこの辺りを案内しますね!」
そうしてミュンファ殿と一緒に百鬼夜行の中を歩くことになりました。和風の建物や服装はあちらの世界でも見ていたのかあまり驚いてはいませんでしたが、時々目につくディスプレイや銃には驚いているようです。なんだか機械を始めて見たかのような反応をしているところが、主殿と似ていますね。なんだかご主人様と初めて会ってお祭りを案内した時のことを思い出します。……また一緒にまわりたいですね。
「なんだか以前ご主人様とデートをした未来の街に少し似ているところがありますね……」
「デートですか! なんだか大人っぽいですね!」
「これでも人生経験は豊富ですから!」
「わああ! 大人ですね! ……そういえば、ご主人様って言っていますけど、ミュンファ殿も誰かにお仕えしているのですか?」
「ええ。私も……」
「なあ、あんた。なんだか高そうなもの持ってるじゃないか」
声をかけられたほうを見ると、いかにもな不良たちがイズナたちを囲んでいました。仲良くしたいような雰囲気はなさそうですし、どうやらミュンファ殿が持っている茶釜が狙いのようですね……。ミュンファ殿が持っている茶釜は良さをあまり知らないイズナでもすごそうだと思いますし、やっぱり目立ってしまいますよね。キヴォトスの外の人は銃に撃たれるだけで致命傷になると言いますし、ミュンファ殿を戦いに巻き込みたくはなかったのですが……。
「もしかしてこの茶釜のことですか? ほめられるのは悪い気はしませんね」
「ミュンファ殿! そんなのんきなこと言ってる場合じゃないですよ!」
「大丈夫ですよ。この程度なら私一人でもなんとかなりますって」
「なんだと! なめやがって!」
「ああもう! ミュンファ殿が不良たちを煽るから怒っちゃいましたよ!」
こちらに向かって銃を構えてくる不良たちを前にしてもミュンファ殿は動じていません。もしかしたら銃がどのくらい危険なものなのか分かっていないのかもしれません。このままだと危険だと思ってミュンファ殿をかばおうとした瞬間、何かが不良たちの頭に飛んでいきました。
「痛ってーな! 大事なものじゃなかったのかよ!」
「あなた方にぶつけて壊れるほどやわじゃありません!」
不良にぶつかった茶釜はひとりでにミュンファ殿の手元に戻っていきました。まるで意思があるかのような茶釜とそれを正確に相手にぶつける技術。もしかしてミュンファ殿も主殿のように強いのでしょうか? イズナが驚いている間にもミュンファ殿は次々に不良たちを気絶させていきます。銃で撃たれても何かをつぶやいたと思ったら地面が隆起して防いだり、素早い身のこなしで華麗にかわしています。気づいたときには私たちを狙っていた不良たちは残らず気絶していました。なんだか戦い方の雰囲気が少し主殿に似ているような……。
「ミュンファ殿……あなたは一体……」
「そういえば、一つ言い忘れていましたね。私はミュンファ、茶釜の精をしています!」
「茶釜の精、ですか?」
「はい! 茶釜の精とは、ご主人様の願いをかなえる存在です。もっとも、今はご主人様と一緒にいるわけではないのですが……」
「どこか遠くに行かれてしまったのですか?」
イズナがそう質問すると、なんだか少し頬を膨らませながら怒ってしまいました。
「どうせどこかで誰かを誑し込んでいるに決まってやがります! ……どこかに行くのなら、せめて一言くらい言ってほしかったですが」
どうやらミュンファ殿の主殿はどこかに行ってしまったみたいで、さみしそうにつぶやいた言葉がすごく心に刺さります……。イズナも主殿に会ってからはいつも一緒にいたくなりますし、お役に立ちたいと考えています。だから、どこにいるのかわからないというのはとても辛いというのも理解できます。
「ミュンファ殿……。イズナも、主殿といつでも一緒にいたい気持ちはわかります! ですから、イズナもできる限り力になりたいです!」
「ありがとうございます、イズナ様!」
「では、気を取り直して町を案内しますね!」
「ミュンファ殿はそうやって今の主殿と出会われたのですね!」
「そういうイズナ様も良い方と出会ったのですね」
今はお茶屋で休憩をしながらゆっくりと過ごしている最中です。町を歩いているときは物珍しさからいろいろなことを聞かれましたが、一通り歩くと少し落ち着いてきました。そうなると話題は自然とお互いの主殿についてのことに移っていきました。
ミュンファ殿も茶釜の精として苦労している中で今の主殿に出会ったようで、お話を聞いているこちらもなんだかとても感動してしまいました! その主殿はミュンファ殿のことを第一に考えて、願い事まで迷うことなく使ってしまうのはすごいです。義に生きる忍者として、そのような方にも一度会ってみたいですね!
「ですが、なんだかイズナ様のご主人様と、私のご主人様ってなんだか似てますね? イズナ様のご主人様も相当のお人よしみたいですし」
「そうですね! 悪い大人に騙されていたイズナを危険を顧みずに助けてくださいましたし」
「そんなお人よしが二人もいるなんて思いませんでしたが……、出会ったら気が合いそうな気がしますねぇ」
ミュンファ殿はずずずっとお茶をすすりながらそんなことを言っています。キヴォトスに来てから少し気を張っていたみたいですが、少し緊張が緩んでくれたみたいですね。以前主殿と祭りを回った時もそうでしたが、どのような理由であっても百鬼夜行に来ていただいたのなら楽しんでいただきたいです。だからこうしてリラックスして楽しんでいただけるのは嬉しいですね!
「あっ、そろそろ集合時間です! 行きましょうミュンファ殿!」
「ええ。イズナ様のご主人様がどんな方か楽しみにしていますね」
お茶屋を出て主殿との集合場所まで進んでいきます。主殿はほかの学園から百鬼夜行に来るらしく、駅で待ち合わせをすることになっています。駅は休日なこともあって多くの人でにぎわっています。主殿は一目見ればすぐわかりますが、それでもこの人の多さの中で探すのは少し大変かもしれません。ここでミュンファ殿とはぐれると大変かもしれないと思ってしまうと、あまり動くわけにもいきませんし。
「これはすごく人が多いですね……。何かのお祭りとかですか?」
「いえ、ここは駅ですから……。休日はいつもこのくらいにぎわっていますね」
「はー。キヴォトスってすごいんですねぇ……」
「はぐれるとしばらく合流できるかわかりませんし、どうしましょうか?」
「そうですね……。あれって、ご主人様?」
「まさか、ここにいたのですか?」
「あの立ち姿はおそらく……。私、確かめに行ってきます!」
「あっ! ミュンファ殿!?」
止める間もなくミュンファ殿は走って行ってしまいました……。あっという間に人ごみに紛れてしまって、もうどこにいるのかもわからなくなってしまいました。とりあえず、イズナも主殿を探しましょうか。
「えーっと……なんだか向こうが少し騒がしいですね?」
人が歩いて流れを作っている中で、少しだけ人の集団ができている場所がありました。主殿は目立ちますし、もしかしたらそこにいるのかもしれません。そう思ってそちらに近づいてみると、やっぱり主殿が居ました。どうやら生徒の方と一緒にいるようで、生徒のほうはしきりに頭を下げています。何やら問題を解決した後なのでしょうか、主殿の周囲には笑顔があふれていました。なんだか胸の奥が暖かくなって、こんな人に仕えられることがとても誇らしくなってきました。なんだが、少しでも早く主殿と一緒にいたくなってきました。
「主殿ー!」
「ん? イズナか? 相変わらず元気だな」
主殿もこちらに気づいたのか、こちらに近づいてきてくれました! ミュンファ殿とお話をしてから、なんだかいつもより気持ちがあふれてしまって勢い余って抱き着いてしまいました。ぎゅっと抱き着くと暖かさが体に伝わってきて、すごく落ち着きます。
「えへへ……主殿ー」
「イズナ!? いきなり抱き着いてくるからびっくりしたよ。でも目立つから離れてくれないか?」
少し困った顔をしながらも引きはがすようなことはされません。そのことにさらにうれしくなって、主殿の背中に回した手に力が入ってしまいます。主殿とはいろんな場所に行きたいですが、もう少しだけくっついていたい。そう思っていると、なんだか周りの雰囲気がおかしいことに気が付きました。
「主殿、どうかしましたか?」
「ずいぶんと楽しんでいるみたいですね? ご 主 人 様?」
「ミュンファ殿!?」
「ミュンファ!? どうしてここに!?」
「まるで私がいないほうがよかったみたいなことを言いやがりますね?」
ミュンファ殿が主殿に詰め寄っていて、主殿も何が起きたのか全く把握できていないみたいです。お二人はなんだかすごく親しそうですし、これってもしかしなくても……。
「あのー……もしかしてミュンファ殿の「ご主人様」って……」
「もちろん、こちらの人たらしです! というかイズナ様の「主殿」も同じ人だなんて思いませんでしたよ!」
「というか、なんでミュンファがキヴォトスにいるんだ!?」
「その話はあとでお願いしやがります! 今はそれより大事な話があるんですから!」
「いや、かなり大事だと思うんだけど……」
「それより! 私だけでは飽き足らずこんないたいけな少女まで誑し込んだんですね!
……はっ! もしかしてこっちだといつも以上にいろんな人を誑し込んでいるんじゃ!?」
ミュンファ殿がすごい勢いで主殿に詰め寄っています。ミュンファ殿が主殿をすごく慕っているのはお話を聞いていた時から伝わっていましたが、なんだかイズナの知らない主殿を知っているようで少しモヤモヤします……。なんだか考えるよりも先に言葉が出てしまって、ぐいと主殿に詰め寄ってしまいました。
「イ、イズナも……ミュンファ殿とのことをもっと聞きたいです!」
イズナとミュンファ殿に詰め寄られた主殿は困ったように周囲を見わたして、絞り出すようにこう言いました。
「ふ、二人とも……ちょっと落ち着いてくれー!!」
修羅場を書くつもりだったのに思ったより盛り上がらなかったような・・・。基本イズナがいい子なのでそういうものかもしれませんが。続きもまとまったら書きたいと思います。
とりあえずこんな感じでキャラ同士を絡ませられたらいいなと思っているので、よければリクエストや感想を下さると励みになります。(リクエストに十分に答えられるかはわかりませんが頑張ります)