アナザーアーカイブ   作:さかみち

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救出作戦

 次の日。朝からアビドスに行こうと、町の中を歩いていた。朝は涼しく空は青く晴れていて、静かな町を歩いていくのは気分が良くなってくる。しばらくゆっくりと街並みを見ながら歩いていくと、ばったりとセリカと会った。

 

「おはよう、セリカ。学校に行くなら一緒に行かないか?」

 

「まだ認めたわけじゃないの! あんまりなれなれしくしないでくれる?」

 

 どうやら昨日から立場を変えるつもりはないみたいだ。今までのこともあって簡単に信じてもらうのは難しそうだし、今は気長に待つしかないのかな? 今はとにかくコミュニケーションをとるべきだろう。

 

「それに今日は自由登校日だから学校には行かないわ!」

 

「だったら、朝からどこに行くんだ?」

 

「素直に教えるわけないでしょ!」

 

 そういうとセリカは小走りで去っていってしまった。どうにか距離を縮めたいけど、無理に追いかけると逆効果かもしれないし、今は素直に学校に行くべきかな。

 

 

 

 しばらく歩いた後、学校に着いた。朝の時間なら賑わうはずの校門もアビドスでは静かなまま。どうにか、この現状を少しでも変えられるように俺も頑張らないと。

 

「みんな、おはよう」

 

 対策委員会の部室に入ると、セリカ以外の生徒はみんな揃っていた。どうやらほかのみんなも俺とセリカの関係が気になっているみたいだ。朝学校に来るまでにセリカに会ったけど取り付く島もなかったことをみんなに話した。

 

「だったら、思い切ってセリカちゃんのバイト先まで行ってみる? 多分こういう日はバイトしてると思うからさー」

 

 どうやらホシノはセリカがどこに行っているかを知っているみたいだ。今は少しでも対話するべきだろうし、ホシノの提案に乗ってバイト先の柴関ラーメンにみんなで行くことにした。

 

 

 

「いらっしゃいませー! 柴関ラーメンです……って!」

 

 セリカはこちらに気づくとびっくりしたように言葉が途切れた。その間にもノノミやシロコはすいすいと店内に入っていく。なんだかすごい悪いことをした気がするけど立ち尽くしてもしょうがないし、席に座ることにしよう。ホシノがからかって、アヤネが申し訳なさそうにねぎらっていて、シロコやノノミと楽しそうに話しているのを見ると、やっぱりこの五人で対策委員会なんだなと実感する。

 そのあとはしっかりラーメンを頼んでみんなで食べた。ホシノが名物だというだけあって、大将のラーメンはすごくおいしかった。何度も食べたくなる味だった。ただ、ラーメンが俺のおごりであることは先に行っておいてほしかったよ……ホシノ。いきなり請求を振られたことには驚いたけど、キヴォトスに来た時にもっていた大人のカードというもので支払いは済ませることができた。

 最後までセリカの態度は変わらなかったけど、どういう子なのかは知ることができたし、一歩前進したと思う。ラーメンを食べ終わった後はみんなでアビドスに帰った。

 

 

 

 日が落ちてあたりが暗くなったころ。アビドス高校の周辺には大きな光を発する建物が少ないため、空を見上げると星がたくさん見えた。こういう光景を見ていると故郷のバルオキー村を少し思い出すな。少し懐かしく思いながらしばらく空を見ていた。

 日が落ちてからしばらくたったころ。セリカのバイトはとっくに終わっているはずなのにまだ学校に帰ってきていないことを心配に思ったホシノたちと、セリカの部屋と、念のために居場所を探すことにした。

 

「俺とホシノはセリカの居場所を探してみるよ」

 

「探すっていうけど、先生。何か当てはあったりするの?」

 

「先生の権限なら多分端末にアクセスすることもできると思う。連邦生徒会にばれたら多分怒られそうだけど……」

 

「……ありがとう、先生」

 

 部屋はアヤネが調べてくれているし、素早くこちらでも場所を特定してしまおう。

 

「この場所は……ホシノ、心当たりはあるか?」

 

「この辺は廃墟ばっかりのエリアだね。不良とかが集まってる感じの場所。みんなにも教えよう」

 

 そのことをアヤネ達にも話すと、その場所には以前からカタカタヘルメット団が集まっていたらしい。つまり、セリカはヘルメット団に拉致されたと思っていいだろうな。すぐに準備をして、すぐにセリカを助けに行くことになった。

 

 

 

 廃墟になっていたエリアの砂漠化は思った以上に進行していた。時折吹く風に砂が巻き上げられて目に入りそうになったり、進んでいくうちに足を少し取られそうになったり、ここは本当に砂漠といってもいい状況になっていた。

 しばらく廃墟エリアを進んでいくとヘルメット団のもののようなトラックが見つかった。まだ運ばれている途中でよかった。アジトの中に入れられてしまったら救出はもっと難しくなっていただろうから。

 

「始めよう!」

 

 合図と共にトラックに攻撃を始める。みんな容赦なくトラックを攻撃したせいでトラックが爆発してしまった。手加減したりはしないんだな……と思いながらセリカの安否を確認する。トラックの残骸から出てきているみたいだし、とりあえずは大丈夫そうだ。ホシノやシロコはちょっとからかってたけど、それだけ嬉しかったってことだろう、たぶん。とにかく、セリカの装備も持ってきているし、このまま脱出するために一緒に戦ってもらおう。

 

「まだ敵陣のど真ん中だし、油断はできない」

 

「そうだねー。人質が解放されたって知ったら敵さん追っかけてくるだろうね」

 

 大きな爆発音がしたし、ヘルメット団もすぐにこちらを包囲してくるだろう。それだけでなく重火器や重戦車もいくつか用意しているみたいで、かなり戦力が整っているみたいだ。

 

「改造戦車は特に厄介よ。撤退するにしても背後はとられたくないわね」

 

「だったら、俺が戦車を相手するよ。みんなは退路の確保を頼む!」

 

「ちょっと! 先生!?」

 

 引き留める声は聞かずに、俺は遮蔽物を使いながら戦車に近づいていく。さすがに弾が当たるとダメージは大きいだろうけど、防ぐ手段ならいくらでもある。

 戦車は近づいてくる俺に狙いを定めている。一発でもあたるとダメージは大きいだろう。戦車の狙いが定まらないように素早く移動し、時には弾を剣ではじく。そうして隙を作りだして砲塔と履帯を剣で切り落としていく。このくらいの装甲なら行動不能にするくらいなら何とかできそうだ。

 

「何だあれは……おかしいだろ」

 

 薄々わかっていたけど、キヴォトスだと剣でこうして戦闘することはおかしいらしい。それでもこうして誰かを守れるのなら迷う必要はない。

 

「先生! 退路の確保はできたよ!」

 

 シロコの声が聞こえた。どうやら退路の確保ができたみたいだ。背後からの攻撃に気を付けながら撤退していく。

 

「先生って強かったんだねー。おじさんびっくりしちゃったよ」

 

「そうよ! 先生てなんであんなに強いの!?」

 

 みんなと撤退していると、ホシノから声をかけられた。他のみんなも信じられないような表情をしているし、どこかあきれている気もする。キヴォトスの外から来た人は銃弾に当たると致命傷になる、というのが共通の認識なのはしばらく過ごしていたから知っていた。心配をかけてしまったかもしれないけれど、同じ状況ならもう一回戦っていたと思う。

 

「これまでも結構旅をして危険な目にはあってたし、あのくらいなら慣れているし大丈夫だよ」

 

「あまり無茶をしないでくださいね……」

 

「あ、ああ……今度から気を付けるよ」

 

 アヤネにも心配されてしまったし、俺が前線で先頭に参加するのはあまりよくないのかもしれない。心配をかけたかな、と少し反省をしつつ学校まで戻ってきた。どうにも常識の違いに戸惑うことが多いし、そのうちしっかりと学ぶ必要があるかもしれないな。

 セリカは誘拐された後、すぐに戦闘に参加していたし疲労がたまっているだろうな。ふらつくセリカをシロコが支えながら保健室まで運んでいった。

 

「大丈夫かな……セリカ」

 

「ふらついてたけど、しっかり休めばすぐ治るよ。あんまり心配しなくても大丈夫だってー」

 

「ですが、先生が戦車の対処をしてくださったおかげで大した被害もなく帰還することが出来ました」

 

「先生、すごかったですね!」

 

 セリカもしっかり休めば回復するらしい。念のために後でお見舞いに行っておこうかな。他のみんなにも大したけがはないみたいで安心した。

 

「皆さん、こちらを見てください。戦闘中にヘルメット団の戦車の部品を確認したところ、キヴォトスでの使用が禁止されている違法機種と判明しました」

 

 どうやらヘルメット団は自分たちで手に入れることのできない武器まで持っていたらしい。その武器を手に入れるためにはブラックマーケットという場所に行く必要があるとか。ヘルメット団がアビドスを狙う目的を知るきっかけになるかもしれないと、ブラックマーケットを調べることになった。

 みんな疲労がたまっているし今日は解散して、また明日集まって調べに行くことになった。帰る前にセリカのお見舞いに行っておこう。

 

「セリカ、大丈夫か?」

 

「先生……お見舞いに来てくれたの?」

 

「今日一日大変だったからちょっと心配でさ。大丈夫そうか?」

 

「全然平気よ! やらなきゃいけないこともいっぱいあるし、ちょっと休めば回復するわ!」

 

「そうか……それならよかったよ」

 

「今日はもう

 

「ちょ、ちょっとまって! 今日は……その……ありがとう。私のためにいろいろしてくれたみたいだし、助けに来てくれた時も、体を張ってくれたし……」

 

「セリカが危ない目にあってたんだから、あのくらいはするよ。誰にも悲しんでほしくないからさ」

 

「この借りはちゃんと返すわ! それに先生が無茶しないようにちゃんと見張ってるからね! だから……、明日からもよろしく」

 

「……ああ! よろしくな!」

 

 どうやらセリカにも認めてもらえたみたいだ。セリカに別れを告げながら、そのことを嬉しく思った。……明日からももっと頑張らないとな!

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