アナザーアーカイブ   作:さかみち

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新生活のためにしばらく投稿できませんでした。投稿頻度は落ちると思いますが、できる限り投稿していきたいと思っています。面白いと感じていただけたら応援よろしくお願いします。


アウトローなやつら

 アヤネの調査の結果、ヘルメット団の武器は非合法のものを使っていたらしく、入手場所はブラックマーケットに絞ることができたという話らしい。ヘルメット団の武器の入手経路を調べるために、俺たちはブラックマーケットに調査に来ている。

 

「ここがブラックマーケットか……結構にぎわっているな」

 

「連邦生徒会の管理から外れた場所がこんなに大きいとは思わなかった」

 

 所せましと店が並んでいるし、通りの人の数も結構多い。違法な商品を売っているって話だったからもっとひっそりとしているのかと思ったけど……これなら俺たちが調査をしてもあんまり不振に思われなさそうだな。

 

「学区外は結構変な場所があるんだよー。ちょーでかい水族館とか!」

 

「へえ……! なんだかすごそうな場所だな」

 

「でしょー。今度行ってみたいなー」

 

「ホシノ先輩も先生も、関係ない話で盛り上がらないの!」

 

 しばらくみんなとマーケットの雰囲気を感じながら歩いていると、銃声と数人の怒声が聞こえてきた。声のほうを向くと白い制服の少女と、その後ろに数人のチンピラがいる。少女はまっすぐこちらに向かってきていているけど、今にも捕まってしまいそうだ

 

「追われているのか!? 助けないと……」

 

 そう言い切るよりも早く、シロコとノノミがチンピラたちを殴り倒していた。

 

「いつの間に!?」

 

「先生。こういうのはさっさと倒したほうがいい」

 

(……なんだかすごく手馴れてるよな)

 

「あっ、あの! ありがとうございました!」

 

 少しあっけにとられていると、白い制服の少女がお礼を言ってきた。名前はヒフミというらしい。礼儀正しくていい子みたいだけど、なんでこんな場所にいるんだろうか。

 

「その制服ってたしかトリニティだよね? お嬢様がなんでこんなところにいるのー?」

 

「あ、あはは……実は探し物をしていまして……」

 

「こんな場所で探すものって……? 銃とかか?」

 

「もしかしたら……戦車とか?」

 

「違法な化学武器ですか?」

 

 みんなで好き勝手予想をしているけど、やっぱり連想するのは物騒なものだよな。なんだか反応的にそういうものじゃないみたいだけど……。

 

「実は探しているものはペロロ様のぬいぐるみでして……。もう販売されていないものがブラックマーケットで取引されているみたいで……」

 

 そういって取り出したぬいぐるみは、鳥の羽をもった変なぬいぐるみだった。アイスを口に押し込まれているし表情がなんだか怖いぞ。

 

「キヴォトスだとこんなのが流行ってるのか……? いまいち良さがわからないけど……」

 

「大丈夫だよ、先生。おじさんも若い子にはついていけないから」

 

「ホシノ先輩はほとんど年変わらないでしょ……」

 

「こんなのじゃないですよ! ペロロ様です!」

 

「ご、ごめん……」

 

 ペロロ様のどこがいいのかはあんまりわからないけど……。ぬいぐるみのためにここまで来られる熱量はすごいな。尊敬するべきなのか、注意するべきなのかは迷うけど……。

 

「ところで、皆さんはどうしてブラックマーケットに?」

 

「私たちも探し物しててさー」

 

「そう。今は生産されていなくて手に入れにくいものなんだけど、ここにあるって話をきいて」

 

「皆さんも探し物でここに来たんですね」

 

 その後もしばらくヒフミと話をしていたけど、なんだかブラックマーケットをよく知っているように感じる。さっきからマーケットの治安組織のこともすごく警戒しているみたいで、目を付けられないように行動しているし。

 

「ヒフミちゃん、ここのこと詳しいんだねー」

 

「そうですか? 事前にしっかり調べていたせいでしょうか……」

 

「そうなのか……。だったら、良ければ少し案内をしてくれないか?」

 

「えっ?」

 

「先生も同じ考えなんだね。助けたお礼ってことで、今日一日よろしくねー」

 

「いいアイデアですね☆」

 

 俺たちはこの場所について、違法な取引がされている場所という程度の情報しか持っていない。危険を避けて調査を成功させるためにも、ヒフミには参加してもらいたいけど……。

 

「アビドスの皆さんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」

 

「ああ! よろしく頼むよ!」

 

 

 

 ヒフミの案内を受けて目的のものを探し始めて数時間が経った。違法な武器を取り扱っている店はもう何件も見つけていたけど、ヘルメット団の武器の流通ルートを探し出すことはできていない。

 

「しかし本当に広いな……もう数時間は歩いたのにまだ行っていない場所がありそうだな……」

 

「歩きっぱなしだし、少し休まない?」

 

「足も膝も悲鳴を上げてるよー」

 

「あっ! あそこにたい焼き屋さんがありますよ! たい焼きごちそうしますね!」

 

 そういうとノノミはすぐに屋台に向かって行ってしまった。さっきまで疲れていたはずだけど……。やっぱり甘味は特別何だろうか? 

 

「しかし、ここって本当になんでもそろっているんだな……」

 

「だよねー。武器だけじゃなくてぬいぐるみからアニメのフィギュアみたいなのもあったねー。どれも普段は見ないようなものばっかりだったけど」

 

「なかなか興味深かった」

 

「皆さん! たい焼き買ってきましたよ!」

 

「悪いノノミ。後でお金払うよ」

 

「私が食べたかったからいいんですよ☆温かいうちに食べましょう」

 

 ノノミは嬉しそうにたい焼きを配っているし、ありがたくいただこうかな。しかしブラックマーケットにも普通の食べ物の屋台なんかもあるんだな。てっきり違法なものばかりかと思ったけど……。

 

「でも、ここまで情報が無いのはなんだかおかしい気がします……」

 

 しばらくみんなでたい焼きを食べながら情報を整理していると、ふとヒフミがそんなことを言った。どうやら、武器の出所の情報を隠すこと自体は可能だが、そもそも犯罪の多いこの場所で隠蔽する必要はないということらしい。なのにここまでしているのは、ヘルメット団に武器を渡している組織はどうしても情報を知られたくないみたいに感じてしまう。

 

「あちらの建物はブラックマーケットでもっとも大きな銀行の一つです。聞いた話だとキヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです……」

 

 銀行に流れ着いた盗品や財貨がまた別の犯罪に使われる。そんなサイクルができているらしい。……この場所は考えていたよりも大きな問題を抱えているみたいだし、あまり危険に巻き込まれないようにこれまで以上に気を引き締めないといけないな。

 そんなことを考えていると、アヤネから通信が入った。どうやら焦っているみたいだけど……。

 

「皆さん! そちらに武装集団が接近しています!」 

 

「あれはマーケットガードです! 先ほどお話した治安組織の最上位です! 見つかったら厄介ですから、早く隠れましょう!」

 

 焦るヒフミについていき、銀行前の大通りから身を隠した。しばらく身を潜めていると、銃を持って周囲を警戒しているマーケットガードらしき集団が、トラックの周りを歩いている。しばらく見ていると、トラックは銀行に入っていった。どうやら闇銀行と輸送車に乗っていた人が書類を出してやり取りしているみたいだ。

 

「あれは現金輸送車みたいだね」

 

「なんだか取引しているみたいだけど……」

 

「あの人は……!」

 

「あれって、毎月うちにきて利息を受け取りに来ている銀行員じゃない?」

 

「たしか、借金している銀行ってカイザーローンだったよな」

 

「カイザーローンですか!?」

 

 ヒフミが言うにはカイザーローンはカイザーコーポレーションが運営している組織で、犯罪はしていないものの違法行為スレスレの行為をしているらしい。

 

「そのカイザーローンが闇銀行にいるってことは……」

 

「私たちはブラックマーケットに犯罪資金を提供してたってことになるじゃない!」

 

「……」

 

 セリカの一言にみんな押し黙ってしまう。学校のための資金が犯罪のために使われているなんて、確かに考えたくないよな……。

 

「ま、まだはっきりと証拠があるわけじゃありませんし……」

 

「あっ! さっきサインしていた集金確認の書類! あれを見れば証拠になりませんか!?」

 

 確かにさっきやり取りしていた書類を見れば詳しくわかるかもしれないし、結構いいかもしれない。ただ、どうやってあの書類を手に入れるかなんだけど……、いい方法が思いつかないな……。

 

「方法は一つ。みんな」

 

「なにかいい方法があるのか!? シロコ」

 

 ヒフミ以外のみんなも何をするのか分かっているみたいだけど、いったいどんな方法なんだろう? なんだか反応を見ていると普通の方法じゃなさそうに感じるけど……。

 

「先生も知ってるでしょ? あれだよ」

 

 そういうとシロコは持ってきたカバンから覆面を取り出してかぶり始めた。なんだか嫌な予感が……。

 

「銀行強盗をする」

 

「やっぱりか!? というか、その覆面持ってきてたんだな……」

 

 いつの間にかみんなそれぞれの覆面を着けてるし、みんな結構ノリノリだな!? ヒフミにはさっき買ったたい焼きの紙袋を着けさせてるけど、強盗にも付き合ってもらうつもりなのか……。

 

「あ、先生はブラックマーケットから離れて待機しておいてね」

 

「なんでだ? ここまで来たら俺も手伝うぞ!」

 

「先生の戦い方は珍しいし、シャーレの先生のうわさはいろんなところに広がってるから。一緒に行動しちゃうと私たちの正体も一緒にばれる可能性あるんだよねー」

 

「……わかった。絶対に無理はしないでくれよ」

 

「はい! 行ってきますね☆」

 

 そのままみんなは闇銀行のほうに向かっていった。なんだかヒフミだけ紙袋を覆面にしているせいか、リーダーみたいな貫禄を感じてしまう……。意外とヒフミにはそういう素質があるのかな……? 

 

「そんなことより、俺も早くここから離れないと……」

 

 万が一にもアビドスのみんなとのやり取りを聞かれないために、通信はしてはいけないとホシノに言われてしまったし・・・。確かに、俺の失敗でみんなを危険にさらすわけにはいかないし、その方がいいのかもしれない。連絡が取れないと心配になってしまうけど、彼女たちの強さは知っているし信じて待つしかない。

 銀行から離れるためにしばらく移動していると、銀行のほうから発砲音や騒ぐ声が聞こえ始めた。どうやら始まったみたいだな。巻き込まれる前にできるだけ離れないと。

 しばらく移動していると騒ぎや発砲の音が聞こえなくなってきていた。あたりを見回すと開けた場所に出ていたようだ。人も通っていないようだし、いったんこの辺であたりの状況を確認しようかな?

 

「あれ~! 先生じゃん! こんなところで一人なんて珍しいね~!」

 

 つい最近聞いた声が横から聞こえてきた。そちらの方を向くとなんだか嬉しそうな表情をしたムツキが、カヨコと少し眠そうなハルカと一緒にいた。便利屋のみんなもブラックマーケットにいたのか……。

 

「ムツキと……カヨコとハルカだったよな。リーダーのアルって子は見当たらないけど……」

 

「社長はあっちの方にいるよ」

 

 カヨコが指をさした方向にはアルのほかに、なぜかアビドスのみんなもいた。

 

「まさかみんなを追ってきたのか!?」

 

「そうなんだけど、そうじゃないというか……。多分アビドスのみんなの正体には気づいてない」

 

「じゃあどうして……?」

 

「銀行強盗が起きた時、私たちも同じ銀行にいてね~。それをみたアルちゃんがあの手際に感動しちゃって!」

 

「だからここまで追いかけてたのか……」

 

「そんなことより先生はなんでここに来たの? ブラックマーケットはかなり危ないところだけど……」

 

 心配してくれているみたいだし、悪い子には見えないけど……。この間は敵対していたし、これから先どうなのかもまだわからない。今はぼかしておいた方がいいかもしれないな。

 

「少し探し物をしてたんだ」

 

「へえ? どんなもの探してたの~?」

 

「そ、それは……」

 

「ムツキ、あんまりからかわないの。あっちにアビドスの人たちがいるんだから大体予想はつくでしょ」

 

「先生隠すの下手だからからかうの楽しくって!」

 

「はあ……。目的は、私たちや以前アビドスに襲撃していたヘルメット団の背後にいる存在を探すためじゃない?」

 

「なんでわかったんだ!?」

 

「先生ってほんとに正直だね……。ただの不良の嫌がらせじゃないってことは分かってると思ってたから。それなら黒幕を探すでしょ?」

 

「全部ばれてたのか……。なあ、教えてくれないか? だれから依頼を受けているのか」

 

「ごめんねー先生。私たちも仕事でやってるし、こういうのは信頼が大事だからさー」

 

「なら仕方ないか……。そろそろアビドスに戻るよ。みんなもそっちに行ってるだろうし」

 

 アルたちが立っていた場所を見ると、アルとホシノたちの話も終わったようでアル一人が立っていた。立ち去る前に声だけでもかけていくべきかな? 

 

「おーい、アル。こうして話すのは初めてだよな。シャーレで先生をしているアルドだ。よろしく頼むよ」

 

「えっ! シャーレの先生!? なんでここにいるの!?」

 

「少し用事があってな……。それより、なんだか慌てているみたいだけど?」

 

「え、えっと……それは……」

 

「アルちゃん、このバッグどうしたの?」

 

 ムツキがそういいながらバッグの中身を覗くと、中にはぎっしりと詰まった紙幣が入っていた。これってアビドスのみんなが強盗してきたときに持ってきたものか? 

 

「これはきっと、覆面水着団が私のために置いていってくれたものよ!」

 

 アルはお金の詰まったバッグをみて、なんだか感動しているみたいだ。あれだけ嬉しそうにしていると本当のことをいうのはためらってしまうな。

 

「あれってアビドスが強盗してきたお金だよね? 先生が持っていかなくていいの?」

 

 嬉しそうなアルを少し眺めていたら、カヨコがそばに来て耳打ちをしてきた。

 

「ああ。目的は別のものだし、ホシノたちがお金を持って行かなかったのは、ちゃんと考えてがあってのことだと思うから。俺はそれを尊重するよ」

 

「……ふーん。信頼してるんだね」

 

 カヨコは少し笑いながら俺から離れていった。さっきより少し雰囲気が柔らかくなった気がするな。

 

「この件が落ち着いたら便利屋に遊びに来てよ。多分、先生と社長は気があうと思うよ」

 

 そういうとカヨコもアルのほうに歩いていってしまった。……みんなもそろそろ学校に戻ったころだろうし、俺も早く戻ろう。ヘルメット団や便利屋の裏に何がいるのかを確かめないとな。

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