星見プロの不審者   作:ねむれすねむれす

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どりきゅん対策会議うぃず星見プロ実践編

 

「どりきゅん対策会議うぃず星見プロ実践編!ぱちぱちー!」

 

「どんどんぱふぱふー!」

 

「ぱふぱふー」

 

「こと、無理して乗らなくていいからね」

 

 あれから俺達は星見プロを離れ、とある会場へ来ていた。

 

 規模はそれほど大きくはないが、それなりに人は収容できるスタジオだ。

 

「ライブスタジオ……もしや!」

 

「お客さんがいるってことですか?」

 

「その通りだ。さっきちらっと見てきたがしっかり満席だったぞ。さすがはYUKINOの人気だな」

 

「ファンのおかげだね。ありがたいことだよ」

 

「感謝感謝ですよ!」

 

「えっと、御堂?俺からも説明を頼みたいんだが……」

 

「ん?あぁそういや言ってなかったか。これから月ストにはYUKINOとライブバトルをやってもらう」

 

「あぁそこまでは聞いていたんだが……」

 

「ライブバトル、ならやっぱり観客は必要だろ?ってことでちゃんと人集めておいたぞ」

 

「そういうのは先に言っておいてくれ……」

 

「悪い悪い、言い忘れていたわ」

 

 どりきゅんとの再戦。そして同じ会場でどりきゅんと戦うのなら、その会場の対策も必要だろうと、事前に俺が準備しておいた。丁度都合よくイベントもあったし助かった。まぁ言ってないのはわざとなんだけども。

 

「しかも今回集まっているお客さんはただのお客さんじゃないぞ」

 

「どういうことだ?」

 

「今日集まってもらったのはYUKINOのファンクラブ感謝祭の一環だ。つまり」

 

「月ストのファンはいません!」

 

「えぇー!」

 

「つまり完全にアウェーの中でライブバトルを行うってことですか」

 

「そうだね。まぁ月ストを嫌っているってわけでもないから、ちゃんとやれば応援はしてもらえると思うよ」

 

「う、プレッシャーですわ……」

 

「安心してください!今日の感謝祭には月ストが出るなんて一言も言ってないので!」

 

「益々プレッシャーですわよ!」

 

 厳しい環境だとは思う。だけど、これくらいしないとどりきゅんと戦うあの会場は再現できないからな。

 

「念のため言っておくが、公式のライブバトルではないから、勝とうが負けようが記録には残らないし、順位にも影響しないからそこは安心してくれ」

 

「む」

 

 一応発言しておいたが、その言葉に月ストの子らは敵意を向けてきた。……失言したな。

 

「例え、どんな環境だとしても私たちは負けません。そう誓ったので」

 

「情けない弱音でしたわね。渚の言う通りですわ」

 

「絶対に芽依たちが勝つからね!」

 

「その通りです。なのでそのご心配は不要です」

 

 俺の言葉で火がついたようで月ストの子らは覚悟の決まったような表情で俺を見つめてくる。うん、これでこそ月ストだ。

 

「それじゃ行こうか」

 

「敵に塩を送っておいて、なーにカッコつけているんですか!裏切り者!」

 

 頼もしい月ストの姿を目にして思わず笑みが浮かんだ俺は、そのまま会場へと入ろうとして背後から声が響いた。

 

「ごめんって。ほら、乗り越えるべき壁は高い方がいいって言うだろ」

 

「私は高い壁は迂回して進む主義です!」

 

「立ち向かう勇気を身に着けろ」

 

「立ち向かうためのサポートが受けられてないです」

 

「有希ー助けて―」

 

「遊んでないで行くよ」

 

「はーい」

 

 

 

 

 YUKINOのファンクラブ感謝祭が始まり、月ストも準備が完了した。もう少しすればライブバトルも始まるだろう。

 

 俺は裏方でその様子を見つめつつ、隣で眺めていた鏡花に向かって尋ねた。

 

「さっきも言った通り、YUKINOには月ストとライブバトルをやってもらうから準備してもらっているが、鏡花は観客として参加するか、裏方からライブを見るかどっちがいい?」

 

「裏方からでお願いします。実際にライブをこなす事を考えて、表向きの姿だけでなく、裏側での様子を把握しておきたいので」

 

「了解」

 

「それよりも、御一つお聞きしたいことが」

 

「ん、どうした?」

 

「有希と季乃さんは、どうしてこのライブバトルを開催したのでしょうか?お二方の性格を考えれば、素直に月のテンペストへ協力するということは考えにくい。あなたの要望があったとはいえ、メリットのない事に参加するとは思えないのですが」

 

「まぁそうだな」

 

 有希は人当たりは良いが、その内情はかなりドライだ。月ストが仮に落ちぶれたとしても、思うところはあっても、手を差し伸べようとはしないだろう。

 

 季乃に関しては言うまでもなくだな。ライバルがいなくなってラッキーとでも思うんじゃないだろうか。……いや、案外遊び相手がいなくなる事を憂いて手助けするのかもしれない。

 

 それはともかくだ。

 

「今回のライブバトルを企画したのは確かに俺だが、YUKINOとしても狙いがあるみたいだ」

 

「狙い、ですか」

 

「あぁ。季乃が言った台詞をそのまま言うが、この間のⅢXとのライブバトルでお客さんに裏切られたので、どの程度のライブでお客さんが裏切るのか確認がしたいです!だそうだ」

 

「なるほど、データを集めるということですか」

 

「らしいな。ちなみに有希はすごくめんどくさそうな表情をしていた」

 

「想像がつきます」

 

「ま、そういうわけだ。色々と思惑ありのライブにはなってしまったが、少なくとも表向きはしっかりするだろうから、そこは安心して楽しんでいってくれ」

 

「はい。YU☆KI★NOと月のテンペスト。お二組の強さを学ばせていただきます」

 

 

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