星見プロの不審者   作:ねむれすねむれす

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Grab the BIG4

 

 あれから少しだけ時は流れ、ちょっとした事件が起きた。BIG4の一角であったBaroqueの解散とリーダーである秋宮もねの引退。

 

 Venusグランプリ直前ということもあり、アイドル業界としても様々な調整が行われ、そして行われた大会がGrab the BIG4。その名の通り、BIG4をつかみ取るための大会。そこで優勝すればBIG4になれるという破格の大会だった。

 

 ……Venusグランプリを盛り上げるための対策手なんだろうが、さすがに早急すぎると思う。Venusグランプリへの準備もあるだろうに参加できる人がいるのだろうか。

 

 そんな俺の想いとは裏腹に、やはりBIG4になれるという格段のメリットは強かったのか、数々のアイドルたちが参加を表明。そしてその座を巡って争った。

 

 その結果生まれたのが、新たなBIG4。LizNoir。まぁ事前評価通りではあるんだが、長い間戦い続けてきた彼女たちがBIG4になれたという結果は俺としても嬉しい。

 

 ということで、早速会いに行こうと思う。ライブでその心境の変化は感じたが、やはり直接会って話すのじゃ印象は変わるから。

 

 バンプロ社としてだからお祝いのお花を持って、邪魔者である季乃は置いていってレッツゴーだ。

 

 

 

 

 

「BIG4就任おめでとうございます」

 

「ありがとう」

 

 莉央さん含めリズノワの面々は丁度挨拶周りをしていたらしく、その一環でバンプロ社を訪れてくれた。元所属ということもありその義理で、だろう。

 

 社長には俺より先に挨拶を交わしているみたいで、俺含めたバンプロの社員数名で応対していた。

 

「それにしてもGrabTheBIG4での活躍。見事でした。準決勝以降は圧勝でしたね」

 

「えぇ。私も大事なものを思い出したから」

 

 そう言いのけた莉央さんの表情はどこか憂いの晴れた真っすぐな眼差しだった。以前見せた穏やかな空気はありながらも、闘志を携えた瞳。懐かしい瞳が帰ってきたなって思った。

 

「葵も良く戻ってきてくれた。悩みは晴れたか?」

 

「まぁね。心配をかけたなら謝罪するよ」

 

 葵は変わらず……に見えて、少しだけ以前のような落ち着きが戻ったか。それでいてその瞳には以前以上の炎が宿っているように見える。

 

「こころちゃんは……あれ?ちょっと背が伸びたか?」

 

「おぉ!気づきましたか?気づける人は嫌いじゃないですよ?」

 

 ふふふ、また魅力が増えちゃいましたねぇと自信気に胸を張るこころちゃんの姿。最初の時から考えると彼女が一番成長しているんじゃないだろうか?身体的なものもそうだけど、内面的にも色々と。これなら季乃にごちゃごちゃ言われても大丈夫そうかもな。やらせないけど。

 

「愛ちゃんはなんか……大きくなったな色々と」

 

「そんなことありません!」

 

 言い方はともかく、筋肉量が以前にも増してすごいことになっている気がする。殴られたらお終いだぞ。まじめに考えると、以前より前に出てくるようになったような気がするな。リズノワの隅っこの位置は卒業したのだろう。

 

「君の方はどうだい?ちゃんと手綱は握れているかい?」

 

「じゃじゃ馬たちだからなぁ。握るだけでも精いっぱいだよ」

 

「ふふ、変わらずみたいだね。じゃあ蹴られないように気を付けないと」

 

「……どういうことだ?」

 

 そう言うと、葵は口元に笑みを浮かべる。

 

「Venusグランプリ。僕たちも参加予定なんだ。トーナメントによっては当たるかもしれないからね」

 

「なるほど」

 

 まぁ想定はついていたが、わざわざそれを俺に宣言するか。それほどの自信があるということだろう。いいねぇ、面白い。

 

「季乃先輩にお伝えください!こころが撃ちぬいてあげますって!」

 

「水鉄砲程度じゃあいつは射抜けないから気を付けな」

 

「なっ!……御堂さんもついにそっち側になりましたか。わかりました。皆まとめて相手になりますよ!リズノワ皆で!」

 

「愛ちゃんがじゃないんだな」

 

「愛ちゃんは最前線です!」

 

「なんで!?」

 

 俺も思わず笑みが零れる。やっぱり随分と成長したなって思う。

 

「ま、そういうことよ。有希にも伝えておいて頂戴。負ける気はないって」

 

「了解です。じゃあ俺からも、正々堂々と戦おう、と伝えさせてもらいます。もしあいつらが変なことをしていたら発破をかけてあげてください」

 

「そうさせてもらうわ」

 

 莉央さんと笑みを交わし合い、リズノワの四人と別れを告げる。次会うときは会場で、だろうか。

 

 それにしても。まぁ何とも真っすぐな人たちだ。それが魅力的であり美しくカッコいい。だけれども、そうであるが故に。

 

「リズノワには負けない」

 

 俺はその背に静かに告げた。

 

 

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