内容がちょっとあれなので、YU☆KI★NO VS どりきゅん 魂の五本勝負四戦目まで連投します。
見なくても問題ないです。
「そういうことならいいんじゃない」
「やったりましょー!」
YUKINOの二人にどりきゅんから聞いたことを含め話をすると上記回答が返ってきたので、どりきゅんとの勝負の話はその日のうちに取りまとめられ、内容が詰められると同時にSNSに公開された。
『YU☆KI★NO VS どりきゅん 魂の五本勝負!』
勝負といってもライブバトルだけを行うわけではない。向こうもエンタメとして視聴者を楽しませる狙いもあるみたいなので、こっちで考えた企画含め念入りに勝負内容は考えさせてもらった。その結果が上記の企画である。
ちなみに今回のバトルはお互いの動画投稿チャンネルで生放送予定だ。さすがにお互いプロなのでその辺の節操はわかっているだろうが、お互い問題児なので何をしでかすかわからない怖さがある。マネージャーとしては本当に肝が冷える想いをしている。本当に怖い。
「準備できた?」
有希の発言にグッドサインで返す。勝負の舞台は演劇等にも使える広々としたスタジオで、そこの専用スタッフに照明やカメラ等準備してもらっている。なので俺の準備は企画の最終確認と心の準備だけだ。余裕である。
「こっちが準備完了でーす!お二人はどうですかー?」
「とっくに完了しているわ」
「いつでもいいぜ」
その発言に俺は頷くと、クラッパーボードを片手に構える。現場監督も行うことになったから、こういうのも俺の役目になる。クラッパーボードなんて持ったのは初めてだから、なんだかわくわくする。
「じゃあ始めまーす。3、2」
一は呼ばずクラッパーボードを構える。そしてゼロのタイミングでそれを打ち鳴らす。
カツンッと音が響いた。
「みなさーん!見えてますか?聞こえてますか?あなたの可愛いアイドル斎木季乃でーす!!」
「かっこいい方の御堂有希でーす」
「おぉ!有希ちゃんも言うようになりましたね!有希ちゃんの成長が見られて私は感無量です!お嫁には出しませんからね!私がもらい受けます!」
「はいはい。……うん、見えてるし聞こえているみたいだね。季乃の変な顔が映っているって書いてる」
「失礼な!変なのはあなたの目です!眼科を受診することですね!」
「煽んないの。ということで私たちの挨拶もこれくらいに、今回のゲストを紹介します。ではどうぞー」
「よぉ。初めまして……じゃねぇな。オレたちのことは知っているだろ?」
「まぁ知らないお客様もいらっしゃるだろうから、自己紹介でもしたら?」
「それもそうだな。じゃあオレから。小南来夢。いずれアイドル業界の頂点に立つものの名だ。覚えておけ」
「大須賀れもんよ。まぁあなたたちに覚えてもらおうがそうでなかろうが結果は変わらないから。覚えなくてもいいわ」
「ドンッ。効果音と共にこの辺にどりきゅんのロゴとテロップが流れてます」
「季乃、そんなの言う必要ないから」
「まぁともかく、大層な挨拶ありがとうございましたー。いやー相変わらず鬱陶しい挨拶ですね!覚えてほしいのか覚えてほしくないのかよくわからないです。困ったちゃんたちですね」
「あぁそう?あなたたちの面白みのない挨拶よりかはましじゃない?どこかで聞いたことのある挨拶だわ」
「来夢ちゃん言われてますよ」
「オレはそんな挨拶したことねぇよ!後ちゃん付けで呼ぶな!」
「えー?だって来夢ちゃん裏での一人称、らいむちゃんじゃないですかー」
「ちげぇよ!喧嘩売ってんのか!?」
「きゃー、来夢ちゃんこわーい!」
「こいつまじで腹立つな……」
「はい、ということでどりきゅんのお二方です。現場はこんな感じでピリピリしてます。私もさっさと帰りたいでーす」
「ま、そうもいかないわね。タイトル通り、今日は私たちどりきゅんとYUKINOで勝負させてもらうわ。その名も」
「「「「YU☆KI★NO VS どりきゅん 魂の五本勝負!」」」」
「企画の名前の通り、五本勝負三本先制が勝ちの勝負よ。ちなみに私たちもYUKINOもお題は聞いてないわ。ま、何が来ようと勝てるけども」
「YUKINO程度に負けるわけねぇからな」
「ほうほう、自信家ですねぇ。有希ちゃん言ってやってください!」
「え?ごめん、カンペ読んでて聞いてなかった」
「強い!」
「その鼻っ面を叩き折ってやるよ」
「はい。ということで、早速第一勝負に移動します。準備もあるので一旦CMでーす」
「CMなんてありましたっけ?」
「ちゃんと事前に撮ってます。どうぞー」
『きゅんきゅんきゅんきゅん、きゅん、どりきゅん♪
どりーむ?どりーむ?ど、ど、どりきゅん♪(季乃ちゃんボイス)』
「私の鼻歌が勝手に撮られている!?」
「おい、ふざけんな」
「今流行りのどりきゅんの歌でしたー。Aメロ部ですね」
「屈辱だわ……」
「はい、ということで準備も整いましたので、第一勝負こちらです」
「「「「激熱!激闘!風船チャンバラ合戦!」」」」
「ルールは簡単、名前の通りYUKINOとどりきゅんに分かれて風船割チャンバラを行います。風船は頭の上にあり、相手チームの風船をすべて割ったら勝ちです」
「面白れぇ。やってやろうじゃねぇか」
「中々の企画センスしてるじゃない」
「ありがとうございます。ということで、皆さんこれを付けてチャンバラも持って、スタジオの白線の位置まで立ってください」
「はい!質問です!」
「どうぞ」
「チャンバラは一人一つですか?」
「あー……いくつでもいいみたいです。お好きな数持って行ってください」
「やったね」
「はい、ということで皆さん準備もでき、所定の位置に着いたところでそろそろ」
「ちょちょちょ待ってください!あの有希ちゃん。なんで有希ちゃんは準備してないんですか?」
「MCって必要じゃない?」
「一対二じゃないですか!ダメですよ!有希ちゃんも戦ってください!」
「えー」
「えーじゃないです!あの、マネージャー!MCの代役いないんですか?」
「あ、いるの?誰?」
「……皆々様お初にお目にかかります。古都ことと申します。僭越ながら、MCと実況を務めさせていただきます」
「あ、ことか。じゃあいいよ。私も参加する」
「これで二対二ですね!」
『激熱!激闘!風船チャンバラ合戦!開幕です』
ゴーンという銅鑼の音が会場に鳴り響く。それと同時に動き出したのは季乃だった。
「我が三刀流奥義見せてやりましょう!」
そういうと季乃は片手に二本持っていたチャンバラの一つを口に加え、両手にチャンバラを構える。
「あうおういぅうおうい。あうあい」
三本のチャンバラを並べるように構え、そのまま回転。チャンバラから押し出された風が全員を包み込んだ。
『三刀流奥義。龍巻き。三本のチャンバラを密着させることで風に触れる表面面積を増やし、それを回転させることで周りに風を与える行為です。劣化版扇風機ですね。勝負としても非常に弱い』
「ううあいいう!」
『同時に口にチャンバラが収まっているため発言が母音のみになります。アイドルとしての絵としても悪く、回転し続けると当然目が回ります。デメリットしかないような技ですが、果たしてこれを使った季乃さんがどういった活躍をするのか期待が高まるところです』
「……しばらく待ちましょうか」
「……そうだな」
『どりきゅんのお二方の選択は様子見。ただ回転しているだけですからね。しかも自動的に体力も浪費していく。賢明な判断です』
「うぅぅ」
『どうしたのでしょうか?急に立ち止まり、口に加えたチャンバラも落とし、辛そうな表情を浮かべています。もしかすると三半規管に異常をきたしたのかもしれません』
「あの!すみません!あの実況すごくうるさいんですけど!」
『実況に文句を言われましても……』
「隙ありね」
「あぁぁぁ!!!」
パンッという音が季乃の頭上から響く。
「試合中によそ見するなんて舐めているのかしら?」
「所詮はこの程度だってことだろうよ」
「ずるです!実況のせいです!ことことーーー!!」
『煮えたっているようですね』
「ああああああ」
季乃は実況席に勢いよく飛び込み、半身で避けられ地面へと追突した。斎木季乃ダウン。
「結局一体二じゃん」
『有希に関してはだらっとチャンバラを下げているように見えて、警戒している姿勢ですね。体の芯がブレていない。さすがです。……と、どりきゅんが動き出しました』
「相手が一人ならこっちのものだ」
「卑怯とは言わないでよ」
有希の左右にどりきゅんの二人が別れる。そして同時にチャンバラを繰り出した。
『来夢さんは横に、れもんさんは縦に。躱せないように徹底したコンビネーションですね。これはさすがに有希も……おっと?』
有希はそれを見るや否や、横薙ぎのチャンバラを防ぎつつ来夢へと近づき、その腕をつかみ取る。動きを封じた来夢の風船をチャンバラの柄で突いた。
パンッ。
「なっ!」
それだけには終わらない。すぐさま身をひるがえした有希は、れもんへ向けチャンバラを振りかぶる。咄嗟に構えなおしたれもんだったが、有希のチャンバラがその手から消えているのを見て、すぐさま失敗に気づく。
「嘘!」
視界から外れ動揺したれもんの耳に響いたのは風船が割れる音。同時に背後に聞こえるポスッというチャンバラが落ちる音。
どりきゅんの敗北だった。
『勝負あり!風船が残っているのは有希ただ一人。つまり激熱!激闘!風船チャンバラ合戦!の勝者はYUKINOです!』
「おぉぉ!有希ちゃんさすが!へへへ、どりきゅんも大したことないですねぇ!」
「一番何もしてねぇやつが煽んな」
「同意ね」
「同意」
「有希ちゃん!?」