あれからもライブやSNS、最近では私宛の個別の仕事も増えてきて、私のアイドル活動も無事に軌道に乗り、定常化してきた。
ライブバトルもそれなりの数をこなし、皆の応援もあり、Venusプログラムでのランキングも上がることができた。YU☆KI★NOとはまだ差があるものの、ライブバトルを挑むにあたって悪目の了解とされているポイント差まではたどり着くことができた。
頃合いだろう。
私は改めて自分の想いを確認すると、彼の下へと向かった。
「YU☆KI★NOと戦わせてください」
「……」
私の言葉を受けたマネージャーの反応は微妙だった。彼と仕事をこなすにつれて理解できたことだが、彼は保守的な一面が強い。今あるものが無くなってしまうことに強い抵抗を持っているみたいだった。
長瀬麻奈、そして御堂慎二の死。それ以外にもTRINITYAiLEの星見プロ脱退の一件や月のテンペストの長瀬琴乃さんの脱退、脱退に関しては結果的に戻ってきはしたものの、度重なる別れによって彼が保守的になるのも理解はできる。ただ、私としても譲れないものはある。
そんな想いを込めてマネージャーを見つめていると、彼は折れたように息を吐き、そして覚悟の決めた瞳を向けた。
「……厳しい戦いになると思います。それでも挑みますか?」
YUKINOは強い。純粋なパフォーマンス力だけではなく、彼女たちのアイドルとしての在り方が、多くのファンを生んでいる。でもそんなことは承知の上だ。
「はい、負ける気はありません」
「そうですか。では俺の方からYUKINOの所属するバンプロダクションにアプローチを掛けておきます。ライブバトルがいつになるかはわかりませんが、決まり次第ご連絡致します」
「よろしくお願いいたします」
私は頭を下げて、その場を後にした。
その後、ライブバトルの話は滞りなく進んだらしく、早いことに丁度一ヶ月後に行われることになった。
スムーズに進んだ要因としてYUKINOがこのライブバトルに乗り気だったらしく、むしろYUKINO側からも要請を受ける形になったからだった。
有希とはあの日会話して以来、連絡さえ取っていない。だから、彼女もこの日が来ることはわかっていて、待ち望んでいたのかもしれない。私とライブバトルで競い合うことを。
それがなぜなのかまでは今はまだ想像がつかない。だけど、形は違えど、お互いに競い合うことを望んでいるのならば、やることは一つだ。
「このライブバトルで勝って見せる」
あのときの約束を守るためにも、私は負けられない。