「勝者は……月のテンペスト!」
「しゃおらっ!!!!!!!」
「勝者は……サニーピース!」
「いぇうぇああああ!!!!!」
昨日、今日に渡って行われた月のテンペストとサニーピースの一回戦。お互い相手は強力だったが、それでも力を出し切ることができ無事に勝利を収めた。
目の前で行われているサニーピースの勝者インタビューを聞きながら、俺は感慨に浸っていた。
雫ちゃんも千紗ちゃんも怜ちゃんも遙子さんもさくらちゃんも、皆、それぞれの不安を抱えて歩いてきた。うまくできずに、一人じゃできなくて、認めてもらえず、先を越されながらも、諦めず生き抜いてきた。
全力で輝こうと必死に努力してきた。その成果がここに現れたんだ。
「よかったよぉぉぉ!!もう優勝や!」
「なんで泣いてんですかこの人……」
「いつものことだよ」
横から季乃と有希の声が何か言っているのが聞こえるが、今の俺には何を言っても届かない。それほど俺は感動していた。
「昨日も泣いてませんでした?」
「うん、星見プロの子が勝つたびこんな感じになるんじゃない?」
「気持ち悪いですね」
「うん、私もそう思う」
「言いすぎだお前ら」
黙って聞いているとさすがにごちゃごちゃうるさかったので、思わず反応してしまう。感動くらい静かにさせてくれよ。
「でも、すごかったね」
「そうですね……サニーピースというよりさくらちゃんの歌が特にすごかったです!」
「あ?」
今聞き捨てならない言葉が聞こえた気がする。視線を向けると、その犯人はすでに有希を盾にするように隠れていた。
「てめぇごときの踊りよりかは何億倍も上だが?」
「……有希ちゃん言われてますよ!」
「今のは私でもダメだって思う」
「ふぇぇん」
なんやそのふざけた返事は。……ま、今回ばかりは許してやろう。ここで騒ぐのも他の観客に悪い。
……だが、季乃の発言も一理ある。いや、他の子たちが劣っているというわけではなく、麻奈ちゃんの歌を聞くために観客が寄ってきているというのも確かにあるのだ。
たぶんこれはさくらちゃんがその歌を続ける限り、ずっと付きまとわれるものだ。困ったものだよな。
「……じゃあそろそろ私たちは帰ろっか」
「明日ライブですもんね!怖い人もいるしさっさと帰りましょう!」
「この人混みじゃ帰るのも大変だろ。送っていくぞ」
「結構です!」
「ははは、遠慮するな」
俺は有希と季乃を連れて会場を後にし、彼女たちのレッスンスタジオまで連れていく。そこで彼女たちと別れると、俺はスマホを取り出した。
調べたい情報はすぐに出てきた。ネットニュースにももう上げられている。
『長瀬麻奈の再来』
これをマスコミが取り上げないわけがない。ひどいところなら彼女たちの下にまで押しかけるだろう。
「……何も起きないといいが」
今日のところはマネージャーが付いているから大丈夫だろう。そう判断した俺は、ひとまず自宅で待機することにした。何か起きればすぐに対応できるように。
……その日は結局、連絡が来ることなく日付がすぎた。