星見プロの不審者   作:ねむれすねむれす

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YU☆KI★NOの午前十一時半ラジオ

 

「どりーむきゅんきゅん、どりきゅんきゅん♪どりどりきゅんきゅん、どりきゅんきゅん♪」

 

「そういやお兄ちゃん見た?昨日の月スト対どりきゅんのライブバトル」

 

「見たぞ」

 

 先日。BIG4チャレンジとして、どりきゅんに月のテンペストが挑んだ。月ストはNextVenusグランプリでも優勝を果たし、I-UNITYでも当時BIG4だったⅢXに接戦を繰り広げた実力のある新進気鋭のアイドルだ。

 

 I-UNITY後は調子を落としていたが、少しずつ今までの実力を取り戻し、今回のBIG4チャレンジではいつもの、いやいつも以上のパフォーマンスを発揮できていたように思える。

 

 だけど結果は……。

 

「月ストの負け。……結構悔しそうだったね」

 

「そうだな。……マネジメントの観点から見れば、敗北で調子を崩した月ストに再度自信を持ってもらうために挑んだのだろうが……これは会場が悪いな。もっと違う場で戦わせる必要があった」

 

 先日の会議でも話したが、BIG4チャレンジの会場はどりきゅん側で用意したものであり、自ずとどりきゅんのファンが多くなる。Venusプログラムのシステム的にも断然不利を受けるんだよな。

 

「どーりきゅんきゅん、きゅんどりどり♪」

 

「驚いた。もっと心配しているのかと思っていたけど」

 

「心配はしている。だけど、彼女たちなら立ち上がれると信じているし、それに今の担当をほっぽりだすわけにはいかないからな」

 

 今までにもそれでなんども怒られているからさすがに俺も学んだ。俺だってこうやって失敗から成長したんだ。月ストだって成長していけるはずだ。それに、あそこには頼れる人がたくさんいる。

 

「どりーむ、どりーむ、どりきゅんきゅん♪」

 

「へー、変わったね」

 

「まぁな。……そろそろスタジオ入りの時間じゃないか?」

 

「ほんとだ。じゃあそろそろ行ってくる」

 

「おう、後あそこでずっと変な歌うたっているやつも連れて行ってくれ」

 

「嫌だ」

 

「きゅんきゅんきゅんきゅん、きゅん、どりきゅん♪」

 

「季乃ー。きゅんきゅんしてないでさっさと会場入りしてくれー」

 

「どりきゅんの歌ですよ!失礼な!」

 

「どりきゅんはそんなの歌わねぇよ」

 

 何をー!と突っかかってくる季乃を有希に引き渡し連れて行ってもらい、俺もYUKINOが出演するラジオ番組のプロデューサーにもう一度挨拶しておく。

 

「……何事もないといいが」

 

 色んな意味でそう思えた。

 

 

 

 

 

 

 

「有希と」

 

「季乃の」

 

「「午前十一時半ラジオー!」」

 

「ぱちぱちー!ということで、始まりました。午前十一時半ラジオの時間です。MCは代わらず私こと季乃と、有希ちゃんでお送りいたしまーす。わーい!」

 

「わーい」

 

「棒読みわーいありがとうございます!たまにはいつもみたいに元気に言ってくれてもいいんですよ?」

 

「まるでいつもは違う人みたいに言うの止めてくれない?ネガキャンだよそれ」

 

「まぁまぁ、有希ちゃん、どーどー」

 

「つつくよ」

 

「こうかばつぐんなのでやめてください。痛いです」

 

「草タイプなんだ」

 

「ソーラービーム!」

 

「右ストレート」

 

「純粋な暴力止めてください。痛いです。……まぁ、といった感じでいつも通りゆるーくやっていきたいと思いまーす」

 

「よろしくー。あ、後今日はゲストが来てくれてます」

 

「そうなんですよ!SNSでも告知していたんですけど、今日はなんとあのアイドルがゲストととして登場してくれています!それではどうぞー」

 

「はーい。ⅢXのkanaです♪よろしくお願いしまーす」

 

「わーkanaちゃんだー!お久しぶりです!」

 

「もう季乃っち三日前にあったばかりでしょ?SNSに写真アップしたばかりなのにもう忘れちゃったの?」

 

「そうでした!いやー最近とっっっても忙しくてついつい忘れっぽくなっちゃいましてね。気を付けないとですね!」

 

「……ほんとに気を付けてくださいね?大事なものを忘れてしまったら大変ですよ?」

 

「その通りですね!今まで積み上げてきたものが崩れたら大変ですからね!」

 

「……二人は仲がよさそうだけど、知り合いなの?」

 

「その通りです!I-UNITYというグランプリでkanaちゃんの所属するⅢXと戦ってから時々会っているんですよ!マブです!ね?」

 

「だね!」

 

「へー、じゃあ遊びに行ったりとかもしてるの?」

 

「ですです!この間あったときも他の子誘って一緒にカラオケ行きました!」

 

「そうなんだ。何歌っているの?」

 

「乙女の秘密です!」

 

「あー、他所のアイドルの歌ばかり歌ってましたね。また模倣の練習?」

 

「違います―。ちなみに私が歌で模倣できるのって麻奈ちゃんだけなんですよねー、星の海が~流れてゆく♪」

 

「相変わらずうまいよねー。それ独学なの?」

 

「いえいえ、実はこれ麻奈ちゃんに直接教えてもらったんですよ?麻奈ちゃん本人からも上手だねって言ってもらっているので実質公認です!」

 

「……それは公認なのかなぁ?」

 

「ちなみにkanaちゃんは流行りの歌をいっぱい歌ってました!つまらないですね!」

 

「ぁ?ごほんごほん!最近の曲もどれもびっくりするくらい素敵なものが多いからいいですよね!季乃っちは好きじゃないんですか?」

 

「もちろん好きですよ!歌は大好きなので!でも最近のマイブームはアイドル曲です!SoWhat?」

 

「あははー私たちⅢXの曲ですね。ありがとうございます」

 

「SoWhat?」

 

「……今日は歌いませんよ?」

 

「TooBad」

 

「だから歌いませんって」

 

「HAHAHAHA」

 

「……(こいつまじでうぜぇ……)」

 

「ま、挨拶はそんなところで、今日は宣伝があってきたんだよね?」

 

「そうなんですよー。実はですねー」

 

「「私たちライブバトルすることになりましたー!」」

 

「あー、つまり私たちYU☆KI★NOとⅢXでライブバトルすることになったってことね」

 

「そういうことです!リベンジマッチです!ボコボコにしてやりますよー!」

 

「あはっ!こっちの台詞だよ季乃ちゃん?」

 

「ふふふ、前までのYUKINOと思わないでくださいね?こっちには秘策があります」

 

「へぇ?どんなの?」

 

「まずスリクスのステージで、音源を流しません」

 

「……」

 

「季乃、それ燃えちゃうから」

 

「冗談ですよ!あ、でもkanaちゃんはやったことあるんでしたっけ?」

 

「やるわけないじゃん!……ごほごほ、もう季乃っち、冗談はいい加減にしてくださいね?」

 

「ということですので、皆様も安心して見に来てくださいねー」

 

「はい、これ以上はどんどん燃えていきそうなので、次の話題に――」

 

 

 

 

 

 

「ということで、名残惜しいですが今回の午前十一時半ラジオはここまで!ゲストはⅢXのkanaちゃんでしたー!」

 

「ありがとうございましたー!」

 

「また会おうね。バイバイ」

 

「「バイバーイ!」」

 

 

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