ソードアート・オンライン〜運命と自由に選ばれた戦士   作:エム3

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未知のスキル。

 

「・・・は?まさか、お前クラインか!?」

 

「・・・って事は・・・お前キリトなのか!?童顔だな!?」

 

ストレージにあった、手鏡を取り出した時、俺やクラインは光に包まれた。その光が消え、クラインの様子を確認したら、誰かわからない男がそこに立っていて、他の周囲のプレイヤーの姿が変わっていた。

 

周りのプレイヤーも困惑していたが、どうやら知り合いのプレイヤーの姿が現実世界の姿になっているらしい。という事は、俺の前にいる野武士ヅラの男はクラインという事になる。

 

「え?なんでリアルの体になってんだ!?」

 

「・・・スキャンだ。ナーヴギアの起動した時、自分自身をスキャンするんだ。それで、多分、顔はそれで可能になる。けど・・・身長と体重は・・・。」

 

「そういや、キャリブレーション?だかで、体をこうやって色んなところ触んなかったっけか?」

 

「あ、ああ。そうか。それで、各プレイヤーの体を・・・」

 

まるで、この世界をリアルに限りなく近づけてる感じだな・・・。いや、この世界での死が、現実世界での死の時点で、第二のリアルといっても過言ではないだろう。

 

「・・・って、ヴァルの方・・・は・・・?」

 

クラインは俺の隣にいるヴァルの方を見ると、動きが固まっている。俺も気になりヴァルの方を見ると姿は変わっていない。そんなのは当たり前だろう。ヴァルは現実世界の姿とほとんど変わっていないのだ。髪色が変わっているだけで。思った通り、ヴァルの姿は変わっていない。けど、ヴァルの動きが止まってるのだ。周りの様子に気づいた様子がない。

 

「・・・ヴァル?どした?」

 

「・・・ヴァル?」

 

俺やクラインが、声を掛けても反応しない。何かに釘付け・・・というより、固まっている。視線を追うと、メニューウィンドウを見ている。ストレージ内に何か入ってるのかと思ったが、確か手鏡が入ってるだけのはず。となると・・・。

 

(そういえば、さっき茅場が言ってたな・・・。もう一つのプレゼント・・・スキルが誰か一人にって・・・っ!もしかして・・・ヴァルに・・・!?)

 

「そういやぁ、茅場が言ってたよな?もう一つのプレゼントだかなんだか・・・。スキルだっけか?キリト、おまえさん持ってたか?」

 

クラインも思い出したのか、スキルの事を俺に聞いてくる。

 

「いや、確認して見たけど、俺は持ってない・・・けど・・・」

 

俺はメニューウィンドウを見てるヴァルに視線を向ける。すると、クラインも察したのか驚いた顔になり、ヴァルを一度見た後、俺に近づいてきて小声で喋ってきた。

 

「キリト、もしかしてだけだよ・・・ヴァルが持ってるのか?」

 

「・・・可能性は高いと思う。他のプレイヤーは、自分のアバターの姿が変わった事に夢中になってるけど・・・ヴァルだけは、ほとんどリアルの姿と変わらないんだ。となると手鏡をオブジェクト化したとしても、姿は変わらない。だから、光も出なかったんだと思う。となると、ヴァルが見てるのは・・・」

 

「スキル欄・・・って事か?」

 

「多分、な。」

 

俺は、ヴァルに近づき、肩を叩く。少しビクッと反応した後、ヴァルはゆっくりと俺の方へ視線を向けた。

 

「・・・ん?キリト・・・?なんでお前、リアルの・・・?」

 

「反応遅いぞ?さっきの光の後、こうなったんだよ。多分、ヴァルは変わんなかったから気にしてなかったんだろ?」

 

「・・・そうか。気にしてなかったかもな。」

 

「それよりよぉ?ヴァル、なんで固まってたんだ?」

 

「・・・二人になら話しても問題ない・・・か。俺、だったわ。」

 

「・・・?もしかして・・・もう一個のプレゼントの方が、か?」

 

「おう。えっと確か・・・こうやれば、他の奴にも見えるようになるんだったよな?」

 

ヴァルはウィンドウを操作して、周囲の人間にも見えるように設定し、俺とクラインに見せてくる・・・これ、俺達だからいいけども、他人にやらないように後で言っとかないとな。でも気になる・・・。

 

そして、俺とクラインは、ヴァルのメニューウィンドウを見てみると、そこには、『自由と運命の機神』という、βテストでも、見た事がない未知のスキルがあったのだ。

 

「『自由と運命の機神』・・・?なんだこりゃあ?キリト、このスキルは・・・」

 

「β版でも見た事ない・・・。それ以前に、ソードスキルとパッシブスキルしか、SAOにはない、はずだけど・・・能力が書いてない・・・完全に未知のスキルだよ」

 

「マジでか!?って事は、βテスターのお前さんでも、何もわからねえスキルが初心者のヴァルに贈られたってわけか!?」

 

「こ、声が大きいって!クライン!!」

 

俺の指摘に急いで、口を塞ぐクライン。俺は周りを確認して聞かれてないか確認する。けど、周りのプレイヤーは自身の姿が変わった事に未だに困惑してるらしく、聞こえてはなかったようだ。一応、周りに聞こえない様に、声をなるべく小さくして、クラインに話しかける

 

「ふぅ・・・クライン、驚いたのは俺もだけど、あんまり大きな声出すのはやめといた方がいい。周りのプレイヤーに聞かれるのも面倒だからな」

 

「あー、やっぱり・・・か?」

 

「ああ。さっき茅場が言ってただろ?スキルが贈られたのは一人だけ。SAOのスキルは基本、一部以外は取れるようになってる。けど、GMである茅場から贈られたって事は、ヴァルの持ってるそのスキルは他のプレイヤーは絶対に取れないスキルなんだよ。そう言うのは、妬みとか・・・まあ、羨ましいとかそう思う奴が多く出る。そのせいで、ヴァルが孤立するってこともあり得るんだよ。」

 

「あー・・・初心者が最初からレアアイテムを持ってて、そのアイテムはもう二度と取れないみたいな感じだよな?別ゲーやってた時にそんな感じのがあったし。多分。」

 

「それに近いな。最悪、PKとか・・・MPKとか、そう言うのに絡まれる事もあるからな。」

 

「PK・・・MPK・・・たしか、プレイヤーキルとモンスタープレイヤーキル・・・だったよな?プレイヤーがプレイヤーを倒す事・・・モンスターを擦りつけたりして、そのモンスターがプレイヤーを・・・って奴?」

 

「ああ。もしかしたら・・・だけどな。」

 

とは言うけど・・・十中八九ヴァルは狙われると思うな・・・。完全未知のスキル。それが初心者のプレイヤーに・・・それが気に入らないプレイヤーは絶対に出るはずだ。もし、PKやMPKで、ヴァルのHPがなくなれば・・・。いや、考えるのはやめよう。そんな事は絶対に俺が阻止するさ。

 

「けどよぉ・・・一体全体なんだってこんなことするんだ?茅場の目的は何なんだよぉ?」

 

「んー・・・・・・そんなに難しいことじゃねぇと思うぞ?」

 

「?どういう意味だ?ヴァル?」

 

「いや、簡単な事じゃね?MMOをやるのは、俺初めてだけどさ。これってさ、限りなく『現実』に近い状態だろ?ゲームを限りなくリアルに近づけて、もう一つのリアルを作るとか、そんなんじゃねえの?」

 

「ゲームを限りなくリアルに・・・か。」

 

そんな考察をしていると、茅場は、更に話し始める。この世界を作り出し、こんな事をした目的を。

 

 

「この世界を作り出し、鑑賞する為にのみ、私はナーヴギアを作り出した。そして、その目的は達成せしめられた。

 

 

では、以上で、ソードアート・オンラインのチュートリアルを終了する。

 

プレイヤー諸君の健闘を祈る。」

 

 

そう言い、茅場のアバターは姿を消した。その瞬間、俺、ヴァル、クライン以外の悲鳴が上がる。あるものは困惑の声を。またあるものは絶望の声を。

 

「お、おい。キリト、これからどうすんだ?」

 

「大丈夫か?ゆっくり、落ち着いて。深呼吸。」

 

クラインも少し戸惑いながら、俺に話しかけてきた。逆にヴァルは隣で震えていた『黒髪の女性プレイヤー』に優しく声を掛けている・・・こう言うところがリアルでヴァルが人気だったとこだよな。

 

「・・・ゲームのクリアがログアウトの方法になるなら、やっぱり攻略しかない。俺は他のプレイヤーより早く、次の街に行く。レベリングしつつな。クラインはどうする?一緒に行くか?」

 

「・・・キリト、それは出来ねぇよ。俺、他のフレンドを置いてはいけねぇよ。それに、テスターのお前さんの足を引っ張っちまうから・・・な。俺は、一緒にログインした仲間と一緒に行くさ。死なねえ様にな?」

 

「・・・そっか。っと、ヴァルは?」

 

「・・・落ち着いた?なら、大丈夫だな?うん・・・。キリト、俺は・・・一緒には行けないな。」

 

「・・・ええっ!?」

 

・・・予想外だ。まさか、ヴァルも一緒に来ないなんて・・・。一緒に来てくれると思ったんだけどな。

 

「な、何でだ?」

 

「ん?殆どはクラインと同じ。何も知らない無知な奴を連れてって、キリトに迷惑かけたくないし。それに・・・このスキルの事もある。もし、誰かに見られたりしたら多分、俺ってチーター呼ばわりされるだろ?んで、妬みとか・・・そう言うの、向けられるわけじゃん?そんなのに、お前巻き込むわけねぇだろ?」

 

・・・何ともヴァルらしい理由だった。自分の為とかそうじゃなく、ただ誰かの為・・・それが理由として一番最初に来る・・・そんなやつだ。

 

「別に俺は気にしない。クラインも、ヴァルも足手纏いなんて思わないよ。二人とも・・・時間は掛かるけど、最前線に立てるプレイヤーになれるさ。俺が保証する。それに・・・・・」

 

 

「・・・・・・?それに?」

 

 

 

「もし、ヴァルを侮辱する奴、ましてや、PKやMPKをする奴は・・・俺が許さない。」

 

 

 

これは、ヴァルがスキルを持った時から決めた事だ。俺の為に、SAOをプレイしてくれたヴァルを・・・俺が守る。もしかしたら、その必要はないかもしれない。だけど・・・俺は親友を守りたい。この決心はヴァルには伝えないけど、俺の心の中で絶対に揺るがない想いだ。

 

「キリト・・・俺だってそうだぜ?今日初めて知り合ったけどよぉ。ヴァルもキリトもいい奴だってわかった。そんな二人を侮辱する奴ぁ、このクライン様が許さねえさ!そんなもんに、テスターもなにも関係ねぇ。だろ?」

 

「クライン・・・」

 

「・・・サンキューな。二人とも。まあ、確かに、右も左もわかんねぇ新人が、動き回って、死んでました・・・ってのが、一番迷惑か。キリト、さっきのやっぱりなし。俺も、一緒に行っていいか?7

 

「ああ。構わないよ。寧ろ願ったり叶ったり。それじゃあ、早速行くか。」

 

俺はヴァルと一緒に始まりの街を出ようと、歩き出したのだが・・・突如として、ヴァルの歩みが止まる。俺も、つられてあしをとめると、ヴァルはクラインの方へ振り向いた。

 

「クライン!」

 

「んお!?」

 

「お前!そっちの野武士顔の方が10倍かっけぇよ!!その顔、また見るまで死ぬなよ!!」

 

「・・・っ!ヴァル!お前の方が俺の何倍もかっこいいぜ!!キリト!お前さんは、リアルの方が可愛い顔してんな!!」

 

「・・・・・・っ・・・気にしてる事言うなよ!!・・・またな!クライン!!」

 

俺とヴァルの二人は、クラインと別れ、始まりの街を出て、フィールドへと向かう。圏外へ出ると、デスゲーム前まで倒していたモンスター達がポップしていた。先程の茅場の言葉が本当なら、このモンスター達にやられた場合、死を意味する。少し、手に力がこもった。けど、俺はあの時からもう決めていたんだ。

 

「俺は生き延びて見せる・・・!この世界で!ヴァルと一緒に・・・!」

 

「なに当たり前のこと言ってんだよ?んじゃ、デスゲームになってからの初戦闘と行くか!!」

 

俺達は、自身の得物を手に取り、Mobに向かって駆ける。俺はソードスキル『バーチカル』を発動させ、敵Mobを切り裂く。切り裂かれたモンスターはポリゴンとなって散っていく。

 

俺は剣をしまい、ヴァルの方を確認すると、あいつもちょうど倒し終わったところみたいで剣を鞘にしまっていた。

 

「ふぅ、やっぱ少し緊張すんな?デスゲームってのも、やられるかもなってのもあるし。

 

「レベルが充分な数字になるまではそんなもんだよ。それは、レベリングをすれば解決するからな・・・それにスキルだって・・・」

 

・・・スキルといえば、ヴァルの持ってたあのスキル・・・あれはどんなものなのだろうか?バフスキルか?それとも、ソードスキルの様なものなのか・・・いずれにしても、スキルの能力を知っておかなければ、いざという時に、不便になる。そこで俺は。

 

「なぁ、ヴァル?」

 

「んお?どした?」

 

「今なら誰も見てないだろうし、茅場からもらったスキル、確認してみたらどうだ?どんなものなのかもわからないスキルだし、変なスキルなら使わなければいいだけだしな?

 

それにぶっちゃけ、俺も知らないスキルだし、俺が気になってる。」

 

「それが本音か!?けどまあ、キリトの言う通りなんだよなぁ・・・んじゃ使ってみるか?」

 

すると、ヴァルはメニューウインドウを開き、操作をする。すると、ヴァルの体が光に包まれる。

 

「っ!?ヴァ、ヴァル!?」

 

今までにないスキルの発動エフェクトが出て、俺は驚愕した。その光は数秒間続き徐々に消えて行き、ヴァルの姿が顕になる。だが、その姿を見た時、俺は更なる驚愕をすることになった。

 

 

「な、なにが起こったんだ?ただ眩しいだけだったぞ?」

 

「・・あっ・・・ああ・・・?」

 

「ん?どした?キリト?」

 

「ヴァ、ヴァル・・・なんだよな?」

 

「お?おう。そうだぞ?んで、そんな事聞くんだよ?」

 

「い、いや・・・ヴァル?手鏡まだあるなら、その・・・自分を見た方がいいぞ?」

 

「は?お、おう・・・」

 

ヴァルは、手鏡をアイテムストレージから取り出し、自分自身を鏡で見る。数秒間の沈黙の後・・・。

 

「な、なんじゃこりゃああああ!?!?」

 

ヴァルの叫びがフィールドにこだました。それもそうだろう。なにせヴァルの姿は・・・。

 

 

 

 

白と黒、そして、蒼い機械の翼を生やす謎のロボットの姿へと変わっていたのだから。

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