与謝野は情報屋の下に向かった。黄色いペンキで書かれた目印の空き家が情報屋との集合所であった、与謝野は小走りで向かっている内に件の場所を見つけた、中に入ると管理が全く行き届いていない小部屋があり、その中にヒジャーブをつけた男がいた。
「君が私の仇敵の情報を知る人なかれか?」
「あぁそうだ」
与謝野は驚愕した。この声はあの人しかいないと。
「その声は鉄幹なかれか!?」
男はヒジャーブを取ると、彼女にとって馴染み深い顔を見せた。
「晶子。我が君の動向を知らないと思っていたのか?」
「鉄幹♡」
「晶子♡」
「鉄幹♡」
「晶子♡」
「鉄幹♡」
「晶子♡」
「鉄鉄幹幹♡」
そう与謝野の夫。与謝野鉄幹である。彼は晶子を独りで戦わせない様にと晶子に秘密で情報屋として先にアフガンに潜伏していたのだ。
「晶子よ。鉄管を置いて独りで戦いに行くではない。我も共に戦おう。」
「鉄管。敵の情報は分かっているかれか?」
「勿論。奴等は今日の深夜ここから25km離れた砂漠で物資の輸送を行うらしい。奴等の首領も分かるかもしれない。奴等を今日叩くぞ。」
「有難う鉄管」
「礼何て要らないぞ晶子」
「鉄管♡」
「晶子♡」
「鉄管♡」
「晶子♡」
「鉄管♡」
「晶子♡」
「鉄管♡」
そのまま夜になった。与謝野夫妻は装備を整え始めた、晶子は持ってきた装備を持ち、鉄管は武器商人から入手してきたスコーピオンEvo3-SMGを装備した。ここアフガンは内戦地であるため東西、時代を問わずに兵器が数多くある。しかもそれらは金さえあれば誰でも手に入れることが出来る、まさに今の与謝野にとっては良い事である。
装備を整えた与謝野達は早速例の砂漠に向かった。砂漠は夜間は摂氏0度近くなる、場合によっては銃器も不調をきたすような寒さだ。そんな中、与謝野達は輸送部隊の到着を待っていた。
そんな時エンジン音が聞こえてきた、そして数台の軍用車両が見えた。
「あれが輸送部隊であるか?」
「晶子。奴等は斥候だ。奴等の後に輸送本隊が来る。」
与謝野達は虎視眈々とチャンスを待っていた、そしてそのチャンスは遂にやってきた、大量のトラックが向かってきているのが分かった。
「晶子よ。時は来た行くぞ!」
「鉄管。君死に給うことなかれ」
「私が死ぬ時は晶子が死んだときだけだ。だが晶子は死なんのだろう?私は死なないさ」
与謝野達はまず斥候部隊に奇襲を掛けた、夜闇から突然現れた与謝野達に為すすべもなく彼等は倒れた。幸運な事に本隊にはまだ気付かれていなかった。まず与謝野が前方のトラックの燃料部に射撃し、炎に巻かれ混乱状態になった乗組員が降車する所を鉄管が掃射した。これで大半の敵は倒したがまだまだ後続の兵は残っていた、流石に正面で重武装の歩兵を相手できる訳は無かったが与謝野達は斥候部隊が使用していた車両に乗り、鉄管が運転し、与謝野がDshk重機関銃を撃った。重武装と言っても12.7mm弾の弾幕と車両の速度に耐えられるわけも無く全員蹂躙された。
与謝野達は情報類や敵の幹部を探したが、芳しい成果は無かった。
「晶子。この戦いは無意味に終わってしまったな。」
「いや。敵の兵力を削り、兵力の内容を知れたのだから良い戦果ではないか。」
その時であった。消音器の銃声が聞こえ、鉄管が突如倒れたのだ。幸い脚と腕の被弾であったが出血は酷く、彼は気絶してしまった。
「…!鉄管!」
駆け寄った与謝野だが、彼女も鉄管と同じ目に合い、気絶してしまった。
…………
「この二人か?我々の隊を壊滅に追いやったのは!」
「同士樋口殿!そうであります。この二人が我が隊を壊滅させました」
「しかしこのまま殺すのは惜しいな……HQ!我々の動向を探っていたであろう敵を見つけた!このまま本部まで輸送する!」
「…了解。他の敵襲に気を付けて輸送しろ。」