目が覚めた与謝野は絶望した。鉄幹と自分の出血は止まっていたが、装備を取られ、身柄を拘束されていた。
「鉄幹!無事なかれか!?鉄幹!?鉄幹!?」
「……」
「静かにしろ!!」
看守の声が響く。与謝野は取り敢えず周りを見てみた、看守は二人、PMCと思われる米国人が一人、その他中国系の男と20歳前後の日本人と思われる男がいた。
「おいスレイ。このメリケンはどうしてここにいるんだ?」
「ああ。こいつはコンビニの男女兼用トイレを使ったからここにいる。全く女性への心掛けが足りないよな」
「本当かリューク!?こいつは即刻処刑だな!」「HAHAHAHA!!」
与謝野はこの会話からこの組織の正体が分かった。この悪虐なる組織の名。それは青鞜社。青鞜社は過激派フェミニストである平塚らいてう率いる極左テロリスト集団である。彼女等は、パクス・フェミニスカという女性の為の世界を創るために活動し、幾つもの敵対組織を徹底的に破壊させてきた。
そんな奴等が今回の敵だと言うのか……与謝野は少し武者震いをしたらしかった、だがそれがをとうとを殺した奴等だと言うなら徹底的に破滅させると与謝野は覚悟を決めた
「はぁ!?男女兼用トイレは兼用だから使っても良いだろ!」
「黙れ」
看守はPMCを拳銃のグリップで殴った。
「お前はレディーファーストを守らなかった。これは重度の女性の権利侵害として貴様を処刑する」
「おい!待て!誰か助け」
ッパン!
…薬莢の軽く落ちる音と共にPMCだった物は倒れた、胸から黒い血を流しながら。
「さてと次はお前だ与謝野。お前は反革命罪として処刑される。お前は強いと聞いたからな最後に1言言っても良いぞ」
「………君死にたまへ!」
与謝野は緩めていた手の紐を解き、看守が握っていた拳銃を奪い、もう一人の看守を撃った。その直後に丸腰になった看守の腰にあるナイフを取り、首を裂いた。
先程の銃声があったからだろうか、鉄幹が目を覚ました。
「……晶子!!無事か!?」
「鉄幹!目を覚ましたのあるか!!」
「ああ晶子済まぬな。我が倒れたからこのような事に晶子を合わせてしまって。」
「鉄幹。私は大丈夫なかる。それよりも君が目を覚ましてくれて助かったなかるよ」
「言っただろう。晶子が死ぬまで我は死なないと」
「鉄幹♡」
「晶子♡」
「鉄幹♡」
「晶子♡」
「鉄幹♡」
「晶子♡」
「鉄か」
「あー申し訳ないが。我々も解いてくれないか?」
「…晶子彼らを解いてやるのだ」
与謝野は拘束されていた二人の縄を解いた。中国系の男が口を開いた。
「済まない助かった。貴女の強さのお陰だ。私はルーシュン。あっちは考野次郎だ。自己紹介はこれまでにしてもう直に奴等が騒ぎを聞きつけてやってくるだろう。それ迄に装備を整えよう。こっちが武器庫だ着いてきてくれ」
与謝野達はルーシュンと考野次郎に着いていった。
「着いた!待っていてくれ。今鍵を開ける」
ルーシュンは看守から拾った鍵を使い武器庫を開けた。武器庫といってもロッカーのような物で4人に十分に行き届くかは分からなかった。中身はサプレッサー付きのM1911拳銃、UMP45短機関銃、ベネリM4散弾銃、ヴェープルカービンの4丁とスローイングナイフが数本。幸い全員には装備が行き届く、与謝野は看守のナイフとM1911を、鉄幹はヴェープルカービン、ルーシュンはベネリM4、考野次郎はUMP45を持った。
「ルーシュン。装備は整ったがこれからどうやって逃げるなかれ?」
「いくらこの装備でもこれからやってくる増援共を捌くことは不可能だ。ここは隠密行動をして脱走を行うぞ。
出口は1階にある。ここは3階の筈だから外に出ることは難しくは無い。但し外の警備を除けばな。」
ここは敵の重要拠点である、更に重要な囚人もいるということでこの基地の警備はかなり高い。しかし与謝野には武器、仲間、そしてこれまでの経験がある。ここから脱走することは必ず出来るだろう。
「ルーシュンよ分かった。我等でこの基地から痕跡なく逃ようぞ」
与謝野はそう言うと、看守とPMCの死体をダストシュートに隠し、ダクトのハッチを開けて全員でダクトの中を通った。
「銃声がしたが何があったんだ?おーいスレイ!リューク!居ないのか!?」
もう直に敵に脱走はバレるだろう。与謝野達は急いでダクトを進んだ。
ダクトから出ると、与謝野を先頭とした隊列を組んで音を立てぬように与謝野達は1階への道を探した。
「全職員に連絡する。囚人の脱走が発生した。非戦闘職員は施設から避難を。戦闘職員は第二警戒体制を取れ。繰り返す…」
どうやら脱走がバレたらしい、与謝野は周囲を警戒すると確かに警備兵と思われる足音が響いていた。
「皆の衆。足音を立てる事無かれ」
与謝野は皆に注意を出した。
「…HQ、HQ、こちら第十四ブロック。現状は以上は見られない。」
「……了解した警戒状態を維持しろ。」
敵の無線が聞こえた…与謝野は角から敵の様子を伺った。敵は3人見えるが会話の様子から5人いるらしい、与謝野はまず見える中で最も遠い敵にスローイングナイフを投げ、命中と同時に残る二人をM1911で始末した。幸いサプレッサーのお陰で気づかれてはいないようだ。
「ついてくる事あれ」
与謝野はそのまま進んでいき角で止まり、わざとマガジンを落とした。
「何だ今の音は?」
「ちょっと見てきてくれないか?」
「わかった」
こうして出てきた敵兵をナイフで刺し、角から出て此方を見ていない最後の一人を強引にナイフで処理した。
「………こちらHQ、こちらHQ、異常は見つかったか?……聞こえているのか?異常は見つかったか?…応答しろ!」
無線からだった。ルーシュンが無線を取り
「こちら第十四ブロック済まなかった。異常は確認できなかった。繰り返す。異常は確認できなかった」
「…了解警戒状態を引き続き維持しろ」
これで暫くの間存在は警戒されにくくなるだろう。与謝野達は下へと向かっていった。
1階に着いた与謝野達は外へ出た。外は内部よりも警戒が強くそう簡単には出られそうに無かった、だが外は非常に広いのでサプレッサーを使わなくてもある程度は銃声をかき消せるだろう。
「晶子。これからどうやって脱出するのだ?見る限り外へ繋がる場所は壁で守られていて。全てゲートはかなりの警戒がされているぞ?」
「……鉄幹さん。ここに捕まっていたときに耳にしたのですが今日兵員と物資を別拠点に輸送するらしく。大量のトラックが用意されていて。今だにトラックらしい音は聞こえていないので。まだ残っているであろうトラックに乗り込めば逃げられると思います…」
考野次郎がいい案を出してくれた、与謝野はその案で行こうと考えた。
「考野次郎。トラックはどこにあるなかれか?」
「確か聞いた中では。この建物を裏に回った所にあるらしいです。」
「考野次郎よ君最高なれ。皆の衆裏へと向かいここから脱出する事あれ!」
全員、全速力で走った。幸い建物付近には誰も敵兵はいなかったので動きが気づかれることは無かった。走ることしばらくすると、トラックの列が見え始めた。与謝野達は近くの物資が入っているトラックに入り息を殺した…
「えーとこの10台はヘールミタ中継基地に送ってくれ」
「分かった…しかし……」
「どうした?何か心配でも?」
「脱走囚がいるだろ。奴等が既に逃げ出していて。トラックを奪ってくるかもしれないと怖いんだ…」
「まぁまぁ落ち着け。脱走囚はゲートから出ないと出られないがまだ脱走囚の報告は来ていないし。この10台は重装備の兵員も輸送するんだ。もし奴等にかち合っても流石に勝てるだろう。」
「確かに…そうだな…」
「そんなに心配なら仕事を変わってやろうか?」
「え?勝手に変わって大丈夫なのか?」
「大丈夫よ大丈夫。別にこの仕事強制でもない臨時のやつだし。それに今日お前の子供3歳の誕生日だろ?早く帰ってSwitch買ってやりな」
「お前…ウッ…有難う…」
「じゃあな。気をつけて帰れよ」
………
徐々に基地が見えなくなってきた。与謝野達は武器の用意をした。車列が止まったとき与謝野達は荷台から降り、運転手を始末した。異変に気づいた前方の車列から重装備兵が出てきた、まず鉄幹とルーシュンがカービンとM4で制圧射撃をした、ライフル弾と散弾の嵐をもろに受けた前列の敵兵は倒れた。その後まだ動ける敵兵の脚に向けて考野次郎は45口径の弾幕を張り、機動力を失わせた。与謝野は三人とは一度分かれ、ナイフとM1911によるCQCで後方からくる敵兵を蹴散らした。
「…終わったなかれか?」
「…そうらしいな。与謝野。トラックで君達の拠点に我々を案内してくれないか。そして私達二人を君達の仲間に入れさせて欲しい。」
「何を言っている?我等は既に仲間なかれか?」
「晶子の言う通りだルーシュンよ。我々は既に志同じくなった仲間ではないか。」
「……ありがとう。そうそう。我々の自己紹介をしっかりしていなかったな。私はルーシュン。魯迅が本当の名だが言いにくいからなルーシュンやルーとでも呼んでくれ。ガンスミスとして活躍しよう。」
「僕は考野次郎。次郎とでも呼んで欲しいな。僕はメカニックや医療として活躍するよ」
「分かったルーシュンと次郎よ。さぁ早くトラックに乗るんだ日が暮れるとコヨーテに喰われてしまうなかれ」
こうして与謝野達は基地から脱走し、頼もしい仲間を手に入れた。