「それで鉄幹。何か分かったのか?」
茶を飲みながらルーシュンが尋ねる。
「ああ。敵の通信を傍受していたらこの付近に敵の拠点があるらしいんだ。そこには敵の物資、装備類が豊富にあるから誰かそこに行けないかと考えていたんだ。」
「それなら私が行こう。丁度私の武器も完成するからな。」
ルーシュンが名乗り上げた。
「本当か?助かる。我は晶子の調子を見なければならないからな。」
「僕も医療物資と設備の調整をしたいので助かります。」
「いやいや。武器も作れて何もする事が無かったからな。そうだ。二人とも武器を見てみてくれ」
ルーシュンは二人をワークベンチに連れて行った。
「最低限の材料と設備で作った傑作だ。圧縮した高圧空気を使って10mmベアリングボールを撃ちだす銃だ。火薬を使わないから音も出ない。鉄板はライフル弾の様に貫通し、肉体には急激に止まるからホローポイント弾の様なダメージを与える。何よりもベアリングボールを使うから弾の補給が容易にできる。自分で言うのは何だが本当に最高の銃だろう。」
確かに一見は銃には見えない外観で、その独創的な構造を物語っている。
「中々の銃だな。他に持っていきたい銃はあるか?」
「大丈夫だ鉄幹。これ1丁で事足りる。」
そう言ったルーシュンはすぐに敵拠点へと向かった。
敵拠点に着いたルーシュンはまず偵察を始めた。外観はあまり大きくは無いが、鉄幹が言うには地下にスペースがあるらしく油断ならない。
ルーシュンは歩哨に気付かれない距離まで近付き、二人の歩哨を撃った。ルーシュンが言っていた通り、音は恐ろしく静かであるがヘルメットを貫通し、頭に致命的な外傷を与え敵を倒した。
その後も基地の敷地内の歩哨を倒しながらルーシュンは進んだ。建物の中に入ったルーシュンは建物の地図を見た。鉄幹が言っていた通り、広い地下があり、その中に多くの倉庫があった。
突然、放送が流れた。
「この施設内に侵入者がいる!侵入者は問答無用で射殺せよ!侵入者は消音器付きのサイガショットガンを持っている!繰り返す…」
ルーシュンはこれまで敵に姿を見られてはいなかったし、そもそもサイガショットガンは持っていない。つまりルーシュンの他にも侵入者がいるという事だ。ルーシュンは新たに第三勢力への警戒を警戒しながら奥へと進んだ。
敵を静かに殺しながら進んでいると銃撃戦の音が聞こえた。ルーシュンはその方向に向かったが、既に銃撃戦は終わっていて敵だった物が転がっているだけだった。第三勢力の正体を知るチャンスであったが仕方が無い、ルーシュンは奥の倉庫群へと向かった。
倉庫に着いたルーシュンは、様々な物資をバッグに入れていた。
「…このまま帰るのは気が引ける。基地を無力化させるか…」
ルーシュンは目標を変更し、敵本部へと向かった。その道中に敵の亡骸が転がっていたので多分、第三勢力は敵本部にいるのであろう。ルーシュンが本部に着いた時、中は悲惨な状況になっていた。敵兵は全員殺され、情報関連は根こそぎ荒らされていた。
「動くな!武器を床に置いて手を頭に上げろ!」
何者かが隠れていたらしい、殺されるのは堪らないのでルーシュンは仕方が無く相手の言うことに従ったが、ルーシュンはこの声に聞き覚えがあった。
「ルントウだろう…武器を下ろしてくれ…戦う気は無い…」
男は動揺したらしかった。
「!?旦那様!?」
「そうだ私だ。ルーシュンだよ。」
この男はルーシュンにとって英雄であり、唯一の親友であった男。ルントウであった。
「旦那様…私めは何というご無礼を…」
「いいんだ。俺は気にしていない」
「滅相な…こんな私を許して下さるのですか?」
「勿論だ。お前は俺にとっての唯一の親友だからな」
「親友なんて…そんな…何のわきまえの無かった子供の時のように旦那様にそんな関係で話すなんてとんでもありません…」
「分かったわかった。お前の好きにしてくれ。何でお前はここにいるんだ?」
「旦那様…それについては申し訳ありませんが…お答え出来ません。ただ一つ言えるとすれば…旦那様と同じ様な理由になるのかも知れません…」
「分かったルントウ。そういえば俺は青鞜社を倒す為の組織に入っているのだが。お前も入ってくれないか?」
「旦那様…それも出来ません…以前よりも出来ない事が多くなり申し訳ありません…」
「そうか分かった……俺はそろそろ戻らなければならないから。いつかまた会おう。気をつけてな。」
「分かりました。旦那様と暫くぶりに話すことが出来てルントウは嬉しかったです。旦那様こそ気をつけて…」
ルーシュンは哀しい目をしながら物資を入れたバッグを背負いながら、皆の元へ戻った…