転生して無能貴族に!? 赤子で捨てられ美少女悪魔に拾われるも超絶過保護だった件〜気づけば悪の道に、そして魔族の王って正気ですか? 俺が望むスローライフはまだ遠いようです〜   作:冬ノゆきね

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13話 悪魔の力

 気づけば武術大会が一週間前まで迫っていた。

 

「ヤバい、非常にヤバい状況だ。何の特訓もしてない」

「大丈夫だよ。安心して」

「安心できるか! 姉ちゃんはまだしも、真っ先に俺が狙われたら即落ち確定なんだよ」

「そうかな? 普通、契約獣を先に狙ってくるよ。だからお姉ちゃんを標的にするはず」

「いやいやそれでもヤバいだろ。だってさ姉ちゃん人の姿で戦えんのかよ」

「多少わね。でも本領発揮はできないかも。そこまで追い込まれること自体ないと思うけどね」

「だったらいいけど……」

 

 今からでも遅くはない。

 たった一人の友達であり、ボッチ同盟の仲間でもあるサラに相談してみよう。

 確かサラは今日、講義がなかったはず。

 女子寮に行けば会えるかも。

 

 俺はさっそく女子寮へと向かった。

 今、住んでる屋敷から女子寮まではすぐ側。

 

 屋敷って聞いて驚くかもしれないが、ほんとつい最近屋敷を購入した。姉ちゃんがだけど。

 

 学園長からの呼び出しが日に日に多くなっているからだ。それに宿だと学園の行き来が大変で毎日宿泊料を取られるため、ここは思い切って姉ちゃんが女子寮の側にあった不気味な屋敷を購入したのだ。

 

 一見すると普通の屋敷と変わらないが、夜になると地下倉庫からよくわからないオーラが漂っている、そんな気がする。

 墓地に行くと悪寒がするみたいな感覚だ。

 

 昔はとある貴族の邸宅だったらしいが、その貴族が借金に負われ、破産したことからこの屋敷を手放したらしい。

 そしてその直後自害したらしいのだ。

 

 それからというものこの屋敷から女性のうめき声が聞こえてくるとか、誰かが歩いているとか変な噂が後を絶たない。

 姉ちゃんが言うには、森に住み着いたりする精霊の類でイタズラしているだけだと言ってる。

 まあ、姉ちゃんがそう言うなら間違いないんだろうけど。

 

「何で姉ちゃんまで付いてくるんだ?」

「お姉ちゃんはネオ君の契約獣扱いでしょ。付いてって当たり前じゃない。おかしなこと言うのね、ネオ君ったら。うふふ」

「まさか姉ちゃんって俺のストーカー?」

「だったらどうするの? 止める術はないわよ」

「地雷系女子とはこのことか。俺、背後から刺されなければいいけど」

「うん? 何の話? お姉ちゃんはネオ君に変な虫が付かないか心配なだけ」

 

 冗談だとしても怖い。

 ああ、そうか。もしかして演技をしているのか。

 編入初日にしていたぶりっ子キャラみたいな感じで。

 

「姉ちゃんその演技やめてくれ。さっきから背中がゾクゾクするんだよ」

「演技って何のこと? 風邪引いたの? お姉ちゃんと寝る?」

 

 はい、話が通じません。よって演技ではないことが判明した。

 もういっそここは気にせずサラを呼ぼう。

 女子寮の前に着くと、見張りをしていた男に声をかけられた。

 

「ここは男子禁制となっております。ご要件を」

「サラ・アルデンティをお呼びして欲しいんですが、ネオと伝えたらわかるはずです」

「承知しました。確認いたしますので少々お待ちを」

 

 男は懐から小さなペンダントを出すと、誰かと話しているみたいだ。口は動いているのに、俺には話し声が一切聞こえてこない。

 不思議な魔道具だな、と首を傾げていると、男は俺の前まできて口を開いた。

 

「申しわけありませんがサラ様はこの女子寮に滞在されていないとのことです」

「だったら一体どこに?」

「そのですね、ここより先に大きな屋敷が見えるかと思います。そちらにおられるかと」

「は、はぁ……」

 

 半信半疑だった。

 男がいうほどの大きい屋敷に住んでいるってことは、貴族でも上流階級の者だけのはず。

 だとしたら、サラはその上流階級の一人ということなのか?

 

 俺は男に教えてもらったルートを進む。

 何台もの馬車が走る花に囲まれた庭園を抜けると、そこには俺が住んでいる屋敷とは段違いにデカい屋敷が目の前に現れた。

 広い庭園に噴水、それにテラスまで。

 敷地が広いのもあってか平民には一生働いても手にできないほどの素晴らしい光景が広がっていた。

 やっぱ貴族ってセンスあるよな。

 俺なんか庭園に花を植えたら、はい綺麗で満足してるし。

 

「ネオ本当にきてくれたのね!」

 

 声がする屋敷のテラスを見ると、手を振るサラの姿があった。

 あんなとこで手を振られても困る……。

 なんせ今はまだ敷地内にすら入っていない状況だからだ。

 

「ええい貴様、何のマネだ!?」

 

 突如として現れた男たちに俺は動揺する。

 無理矢理腕を掴みかかってきたので、抵抗するも呆気なく制圧されてしまった。

  

「ちょ、何のマネはこっちのセリフだ」

 

 姉ちゃんは何か言いたげな顔で俺を見て笑っている。

 

「おい、そこの女跪け」

「………………」

 

 無言のまま何の行動も起こさない姉ちゃん。

 それを見て男たちは、お怒りになったようで……。

 

「そいつを連行しろ」

 

 親米だろうか?

 少し弱々しい感じの男が姉ちゃんの腕を掴んだ。

 すると目をギロっとさせて姉ちゃんは言った。

 

「誰が触れていいと言った?」

「ひ、ひいいい!」

「この手足も胸も肌さえも雑種さんが触れていい身体ではないのよ。お姉ちゃんが大人しくしているからと図に乗り、あまつさえネオ君にまで触れるなんて……そんなに死にたいの?」

 

 どう見てもいつもの姉ちゃんとは明らかに違う。

 これが姉ちゃんの本性なのか? 何かエロい。

 だとしたら、俺ってとんでもない人を邪険に扱ってた!?

 

「跪け、弱輩なる人間」

 

 その一言、たったその一言で姉ちゃんは男たちを(ひざまず)かせた。

 魔法でも何でもない不思議な力。

 講義で習った通りなら魔法なら詠唱が必要なはず。

 無詠唱だとしても事前に魔術の術式を完成させて置かなければならない。

 だとしたら、あの力は姉ちゃん本来の力。

 

「君たちすまない。入ってくれたまえ」

「ネオずっとお待ちしてました」

 

 門の奥から出てきたのは、サラとその父親っぽい人だった。

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