転生して無能貴族に!? 赤子で捨てられ美少女悪魔に拾われるも超絶過保護だった件〜気づけば悪の道に、そして魔族の王って正気ですか? 俺が望むスローライフはまだ遠いようです〜 作:冬ノゆきね
向かった先はは闘技場。特徴としては、石畳で作られた舞台にそれを囲むように設けられた観客席は何千人もの観客が観戦できるようになっている。
大いに盛り上がっている闘技場だが、警備は思った以上にしっかりしているみたいだ。赤や青、銀の鎧を着た騎士たちが闘技場周辺を巡回している。
参加者専用の入口の前に着くと、奥から一人の赤騎士が姿を現した。
「あなたがネオ殿でお間違いはないだろうか? 学園長殿の方から話は聞いている。さあ通りたまえ」
言葉と一緒に渡されたのは、今日のみ使える闘技場をいつでも出入りできるカード。
試合前にどこか食いに行ったり、物資を調達したりする予定もないからこんなカード貰ってもゴミにしかならないんだよな。
そして俺の名前プレートが貼られた部屋に入ると、種類豊富な武器にビンに入った緑色の液体――おそらくポーションだ。傷や痛みを治癒する薬の一種が置かれている。
これも俺には必要のない物だが……なぜなら傷は一晩すれば治るし、最悪姉ちゃんに頼めば治癒魔法で治してくれる。
そんな人任せな俺だが、これでもわけのわからん異世界にきて自分なりに頑張ってるつもりだ。
始まりの合図だろうか?
大きな鐘の音がゴーンゴーンと響き渡る。
控室の外ではバタバタしている様子。
準備に追われているようだ。
「やばいやばいよ! めっちゃ緊張してきた」
「そうね……お姉ちゃんも少し緊張してきたかも」
「姉ちゃん今のうちに作戦を」
「そうね、ネオ君はずっと走って走って走りまくって。ルールが順守されるなら契約獣が戦闘不能に陥ったとしても、その主が倒れなければ試合は終わらない」
「それってある意味地獄なんじゃ……」
「本当の地獄って知ってる? 死んでも死んでも蘇って苦痛を味わうの。それに比べたらネオ君は走るだけなんだから楽でしょ?」
「うん、まあ……」
妙に説得力がある姉ちゃんの言葉に俺はまた流された。
悪魔ってやっぱり話を誘導するのが得意な生き物かもしれない。
ついつい話をいつも流されてしまう。
「でも姉ちゃんが倒れたら……俺、戦う術がなくなるじゃ」
「いいえ、敗北は決してないから。最低、勝負が長引いて引き分けになるかもね」
「一体、どんな手を」
「ふふっそれは内緒!」
もう色々と考えるのも面倒になってきた。
俺は走るだけ、それに専念してあとは姉ちゃんに任せよう。
変な企みもあるようだし。
ゆっくりと出番になるまでくつろいでいると、床に設置された丸い球体から宙に映像が映し出された。
「はーい! 皆様、世界の強者たちが血肉を争い叫びを上げる、そんな武術大会にお越し下さり誠にありがとうございま~す! この度、司会を務める元S級冒険者――シエルちゃんとはウチのことだあああ! みんなシエちゃんって呼んでくれて構わないぞ」
突如として始まった武術大会のライブ中継。
司会の女の子もなかなか個性の強いことで。
でも元S級冒険者ってことは、戦いに関してはプロ中のプロなのでは?
「ああ、あの子妙に気になるって思ったら悪魔じゃない。人の姿に化けて何をしてるんだか」
「え? あの子悪魔なのか?」
「そうよ、それも【
【
膨大な魔力を使うために人では身に余る能力だ。
よっていつしか【
この力を使えるのは悪魔のみ。
そう伝えられているが姉ちゃんが言うには、悪魔の中でも膨大な魔力に特殊な力に恵まれた一部の悪魔だけ、とのことらしい。
「姉ちゃんは使えるの?」
「それも秘密! お婿さんになってくれたら教えてあ・げ・る」
「ああそういうの結構です」
「ほんとネオ君は素直じゃないんだから」
そうこう話をしていると始まったシエルのアナウンス。
闘技場は騒がしく熱気に溢れていた。
「さあ、このたびの参加数……なんと二百十四組! それに舞台を盛り上げるべくルーゼリフ陛下が自ら召喚された異世界からの来訪者――勇者ヤクモ・タケバヤシ様を招き、さらには幼少期から魔法の才に恵まれ、今や王国を支える
こうして武術大会はとうとう幕を開けた。