転生して無能貴族に!? 赤子で捨てられ美少女悪魔に拾われるも超絶過保護だった件〜気づけば悪の道に、そして魔族の王って正気ですか? 俺が望むスローライフはまだ遠いようです〜   作:冬ノゆきね

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44話 争いの首謀者

 しかし、父さんと母さんを放置するのは危険すぎる。

 だったら俺と姉ちゃんで探すしか方法はないか。

 

「姉貴とユリアナ、父さんと母さんを頼む」

 

 二人は首を縦に振ったあと、すぐに場所を移動した。

 戦場とはいっても少なからず兵が少ないところはあるはず。特にケガ人を看病する近くなんていうのは、敵兵は近寄れない、そういった戦場でのルールが決められている。それを思っての移動なのだろう。

 

「さて姉ちゃん、サラはどこにいると思う?」

「知らな~い! でも心当たりはあるよ」

「それは」

「あの天幕かな。さっきから二人の気配がするんだよね。一人はサラの魔力、もう一人は行ってからのお楽しみ。ユリアナちゃんがいなくてよかったね」

 

 どこに誰がいるのかまで姉ちゃんにはわかってしまうのか。ほんと何でもありの世界、というより能力だな。

 けど、ユリアナがいなくてよかった、とはどういった意味で言ったんだ?

 でも天幕にいるとなると、王国のお偉方が軍略を練ったり、指揮したりしているに違いない。

 乗り込むにしても、今の俺は密告者扱い。

 その場で処刑になるのは間違いないだろう。

 一度、天幕の裏にでも回って様子を見るべきか。

 

「姉ちゃん移動しよう」

「楽しみだね。そろそろ復活だよ」

「何が復活するんだ?」

「ここには何千人もの魂が漂ってる。これだけあればもう満足――ううん、それ以上の成果を出せるかも」

「だから一体、何の話を」

「お姉ちゃんの独り言だから気にしないで」

 

 はぁ……またいつものように何かを企んでるに違いない。でも、いつにも増して今日はわくわくしているようだ。復活が何とか言ってるけど、その言葉が何を指すのかは俺には到底理解できなかった。

 

 そして無事に天幕の裏に回り込めた。

 幸い天幕があるのはちょっとした茂みの側。

 音さえ立てなければ、見つかる確率はゼロに近い。

 

「サラ様、お願いしてもよろしいですか?」

「ええもちろんです。公爵家として裏切り者だけは許せません。国に損害を与える者は始末するべきですので」

「さすがはサラ様です。わたしでは到底その覚悟は」

「何を仰るのですか。シンシア様こそ名門家の生まれとして立派なことに間違いございませんよ」

「お世辞が上手ですね。では、計画通りに」

 

 天幕から漏れるサラとシンシアの会話。

 計画がどうとか言ってるが、どいつもこいつも企みで満ち溢れてるじゃないか。

 サラが天幕から出てくるのを待ち続けること数分。

 先に天幕を出たシンシアは振り返り際に言った。

 

「バカな子。だからこの世界の人間は……」

 

『この世界の人間』だと?

 まさかとは思うが俺の予想が当たったのでは?

 あいつは俺よりも先にこの世界にきた転生者で、何らかのスキル――異能を得ているに違いない。

 もし仮にシンシアの能力が人を操る能力だとしたらすべての説明がつく。なぜなら、ユリアナの父親はなぜ妹のシンシアではなく、姉のそれも跡取りが決まっていたユリアナを追い出した? 危険なやつだとわかっていたら、まずはそいつを追い出すかなんかするだろう。

 それにサラの件もそうだ。

 あんな一方的に話してすぐに俺を疑うような子じゃない。今まで仲良くしていて、それぐらいは俺にもわかる。

 実際、姉ちゃんが人を操る能力を持っているのだ。

 そういうスキルか異能があってもおかしくはないだろう。

 

「サラいるか」

「この声、ネオね。今さら何の用ですか?」

「賢くて俺と友達のお前ならわかるだろ。俺が密告者じゃないってことぐらい」

「…………」

 

 サラは黙り込んだ。

 痺れを切らした俺は辺りの様子を確認しながら天幕の中に入る。するとそこには椅子に座って、ゆったりとくつろいでいるサラの姿。

 他の者の姿は見当たらない。

 

「気づいていましたよ。さっきからずっと盗み聞きをしていたことも」

「その余裕っぷり。来るのがわかってたみたいだな」

「きっとネオはここに来るそう思っていたので。それにこの争いを起こした張本人はシンシア様。情報を集めてるうちにいくつか矛盾点が出てきて、それとネオが教えてくれたユリアナ様の件と照らし合わせると……」

「シンシアは転移者、いや転生者か……」

「みたいですね。わたしには到底信じられませんが」

「この戦争云々は俺にとってはどうでもいい。ただサラ、お前と仲違いはしたくないし、助けに来たんだ」

 

 サラは立ち上がると一枚の紙を俺に渡してきた。

 確認すると中に書かれていたのは、サラの父親――ルイハムさんから俺宛への手紙だったのだ。疑いをかけたことに対しての謝罪ともし自分に何かあれば娘を頼むといった内容だった。

 何とも重い内容だ。娘を頼むって何をするつもりでこの手紙を残した? まさかとは思うが……。

 

「お父様は無謀にもシンシア含む転移者を拘束しようと」

「バカな……敵うはずないだろ!!」

「わたしもそう伝えました。だけど……お父様は」

「わかった。サラは邸宅へ帰るなり、安全な場所に移動していてくれ。あとは俺と姉ちゃんで終わらせる。この忌々しい争いを」

「ありがとうネオ。お父様をお願い」

「ああ任せておけ」

 

 なんてサラの前で格好をつけてみたものの、いやこれ無理にもほどがあるだろ!!

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