あれ、ここは何処なんだ?
日比谷 蒼真(ひびや そうま)は自分の状況が理解できないでいた。
蒼真は友達もそれなりにいて、いたって普通の高校生活を送っていた、いたって普通の高校2年生。
クラスの人気者でもなければ、ぼっちの寂しい人間でもない。
これといった特技もないと思う。強いて言うなら、突然起こる物事に対して他の人よりも早く対応、慣れる事くらいだ。
そして今日も、いつも通り家に帰り、いつも通り自分の部屋でゴロゴロしていた。それなのに…
辺り一面真っ白な空間。
そして頭の中に声が聞こえてきた。
「こんにちは。」
俺は、辺りを見回した。
しかし、周りには誰もいない。
俺は、空耳かと思い込んだ。
「こんにちは。」
また聞こえてきた。
こんなイタズラ初めてだ。
何回も聞こえてくる「こんにちは」に、だんだんイライラしてきた。
声の主は、痺れを切らし、とうとう姿を表した。
これには俺も驚いた。
だが顔には出さない。出したら負けの様な気がした。
声の主は、いかにもファンタジーの世界に出てくるような老人だった。
真白で長い髪と髭。
だがそこには、艶があり、つい見入ってしまった。
「こんにちは。」
いかにもファンタジーの世界に出てくる様な老人は、また挨拶をしてきた。
「どうも。」
俺も、返事をした。
「急に出てきた儂を見てもあまり驚いておらぬな。もおう少し驚いてもよかろう。」
意味が分からないのでここは無視してみよう。
俺は、こんな老人の相手をする元気はないのだ。
すこしの沈黙が続いた。
この、空気に耐えられなかったのか老人が口を開いた。
「儂は神じゃ。ちょっとした手違いがあってお主をここえ呼び出してしまったのじゃ。」
俺はイタズラなのかこの自称(神)がボケているのだと思い少しイライラしてきた。
「なんでもいいから俺を、元の場所に帰して下さい。でなければ警察を呼びますよ?」
「それは、できぬと思うぞ。自分の体をよく、見るんじゃ。」
自称(神)に言われた通り自分の体を見てみた。
「…体がない‼︎」
俺は必死に自分を落ち着けた。
「お主は今、体を持っておらぬのじゃ。お主の精神だけを儂が呼び出してしまったのじゃ。」
「俺は死んだのか?これからどうなる?手違いってなんだ?」
俺の質問に自称(神)はゆっくりと答えた。
「落ち着んじゃ。これからゆっくり説明するんじゃ。」
俺は、理解した。さすがにすんなりとはいかなかったが。
自称(神)によると、俺は、死んだ訳ではないが精神だけ迷いこんでしまった様だ。しかも、元の場所には戻れないらしい。よって異世界に行くことになりそうなのだが…
「わかった。俺がこれから行く世界ってのは、どんな世界なんだ?」
「それは、お主の希望に一番近い【剣と魔法の世界】じゃよ。」
「そうか。それは嬉しいんだが、俺は、そんな希望を言った覚えがないんだが?」
「儂はこれでも一応、神様やっとるからの。その辺は聞かずともわかるんじゃ。」
ふーん。まぁ、神様ってのは、まだ、ピンとこないが、神様ということにしておこうか。
「それで神様、俺は、知り合いや頼れる人が誰もいない。そんな世界に、これから急に投げ出される訳だが、何か救済措置が少しはあるんだよな?」
「そうじゃな。儂も申し訳ないと思っとる。それなりの措置は考えてるつもりじゃ。名前も新しくしてもらわねばいけないからな。」
「名前を変える?」
確かに異世界だと俺の名前は変なのかもしれない、だが慣れ親しんだこの名前を捨ててしまう事になるとは…。
「変えると言っても、お主の名字をなくし、【ソーマ】となって貰うだけじゃ。抵抗もあるだろうが、そこは慣れでなんとかしてくれ。」
…慣れって。あーっ、なんか急に憂鬱になってきたな。
俺の思いに気付いたのか、神様は措置について早々と説明を始め出した。
「ゴホンッ‼︎そっそれよりも措置についてじゃ。お主には儂もからの最上級の加護をプレゼントしよう。これからの冒険にきっと役立つじゃろう。それから、細やかながら資金も用意しよう。後は、儂とお主で一つゲームをしてお主のアドバンテージを決めたいんじゃ。」
「神様も暇なんだな。」
「良いではないか。ゲームは簡単じゃ。じゃんけん。賭けるものは、お主が勝てば望みを一つ、儂もが勝てば、お主のアドバンテージを一つ。どうじゃ?」
「もちろん受けて立つ!」
「それではゆくぞ。ジャンケンポン!」
勝った。普通に勝った。この目の前で悔しそうにしている爺さんの意図が全くわからない。が、まあいいか、貰える物は貰っておこう。
「俺の勝ちだな。俺の望みは、武器だな。初期装備に強い武器が欲しい。」
「わかった。ならもう一勝負じゃ。」
「いや、これ以上はいい。もう十分アドバンテージは貰った。」
「なぬっ‼︎しっ、しかしだな。」
神様は明らかに悔しそうか顔をしている。これは、案外ちょろいかもしれないな。
「わかった。もう一勝負しよう。だが賭ける物は、俺が勝ったら望み二つ、俺が、負けたらアドバンテージから一つだ。」
「ぬぬぬっ!ししし仕方ないかのぅ。」
明らかに動揺してるな。これなら、なんとかなるかもしれん。
「それじゃあいくぜ。ジャンケンポン!」
またもや勝った。神様ちょろ過ぎ。
「俺の勝ちだな。俺の望みは、経験値の補正と最初の軍資金を100倍にしてくれ。」
「よかろう。それではもうひと」
「もういい!早く送ってくれ。」
「ぬぬっ、しかたない、それでは第二の人生楽しんで来るのじゃ!」
ソーマの目の前が真白になった。
アマチュアの処女作になりますので暖かく見守ってください。