俺は、ソーマ。
今日は、マルスが初心者の塔に行く日。正直心配だ。
今日は、俺が一緒にいてやれない。
ゴブリン討伐でかなりモンスターとの戦闘に慣れたはずだ。
それに一人じゃない。マルスの他に七人、初心者がいるみたい。
みんなと、仲良くやってくれるといいんだが。
って俺は親か!
あいつも冒険者になる男だ。
一人で対処しないといけない時もある。やってくれるはずさ。
あー。落ち着かない。
マルスが、来た。準備はしっかりしてるみたいだな。よかった。
「マルス。お前はゴブリンの群れとの戦いの実戦経験だってある。大丈夫だ。自信を持って行ってこい。だが、無茶だけはしないでくれ。無理なら引き返してくれても構わない。これは、念のためだ。薬草を持っていけるだけ持っていってくれ。」
「すいません。おはようございます。頑張って魔法を使えるようになって帰ってきます。」
よし。行ってこい。
出来るだけ早く帰ってくるんだぞ?
あ!
これが、親の気持ちってやつなのか。
何を考えてるんだ俺は。
俺はまだ17歳だぞ。
いかんいかん。
とりあえず宿へ戻ろう。
カノンを迎えに行かないと。
宿に戻った。
カノンまだ寝ていた。
昨日は無理させちゃったからな。
カノンの寝顔を見ながら頭を撫でる。
猫耳かわいいけど、今日はマルスが気になりすぎて…
はぁ…
そろそろ出発したかな。
「おはようございます。ご主人様。」
「おはよう。体は、大丈夫か?」
「はふぅ///」
カノンの顔が赤い。
昨日の事、思い出しているのかな。
「もしかして、昨日の事、思い出したの?」
「そそそそんなここことは。」
カノンは従順だなぁ。
なんか、申し訳なくなってきた。
しかーし。
俺はやめない。だって、カノンをイジるの面白いから。
「また、昨日みたいな事したい?」
「ひゃっ。そそそそんな事は。」
「じゃあ、したくない?」
「…ですぅ。」
「なに?
よく聞こえないよ?」
「してもらいたいです!」
「よく言えました。」
真っ赤になってるカノンに優しいキスを落とす。
その頃、マルスは。
初心者の塔。二階層。
敵は、ギャーモリ。
三人で協力して倒していく。
ギャーモリは、超音波による状態異常攻撃が厄介だ。
超音波攻撃をくらう前に倒せば問題ない。
ご主人様は、どうやって戦ったんだろう。
これからは、ソーマさんの戦いをもっと見て学ばないと。
それにしても、群れで出てくるはずのギャーモリの数が少ない。
最近誰かが、このダンジョンに入ったんだろうか。
ラッキーだと思うしかないか。
おかげで楽に進めているから。
前方に、貴族の一行を発見。
僕達以外の五人で敵を倒している。
でも、慣れていないのか、みんなボロボロだ。
「大丈夫ですか。薬草がありますからHPを回復してください。」
僕は、五人に薬草を渡した。
「こんな物を貴族である僕に飲めと言うのかでし。」
「ですがスクウィーク様。ここは飲んでおいた方がいいかと。」
「うるさい。この高貴な身分の僕に薬草なんて必要な訳がないでし。」
「しかし、スクウィーク様。」
「黙るでし。」
貴族のスクウィーク以外は薬草でHPを回復した。
「ありがとう。」
「助かったよ。」
「奴隷に礼など言わなくていいでし。」
「なんだよ。あいつら。」
サーフはとても、不機嫌そうだ。
サーフは、実力もないのに偉そうにする奴が大嫌いだ。
だから、冒険者になりたいのだ。
そして、冒険者になるために初心者の塔に来たのに。
なぜ、ここに来てまで貴族が偉そうな顔をするのか。
「すいません。大丈夫ですから。」
「まただよ。お前は、すぐに謝る。そんな必要ないのにだ。」
「僕は、弱くて、誰も買ってくれなかった。そんな僕を冒険に連れて行ってくれると言ってくれた。実際に連れて行ってくれた、ソーマさんの役に立ちたいだけですから。」
クリスタはマルスを黙って見ていた。
「お前が、いいって言うならいいけどよ。それじゃあお前の、ご主人の話を聞かせてくれよ。冒険者なんだろ?」
マルスは、ソーマのことをサーフに話した。出会いの事、自分が誰にも買って貰えなかった事。いろいろ話した。
貴族の一行は、先に行ってしまった。
「そうか。お前の、ご主人はすげえ人なんだな。この、初心者の塔を突破したら俺も会ってみたくなったよ。」
「ありがとうございます。帰ったら話してみます。」
「クリスタも一緒にどうだ?」
「すみません。私は、奴隷ですので。ご主人様のお許しがないと行けません。」
「じゃあ頼んでみればいいじゃないか。」
「おそらく、無理だと思います。帰った当分は、ご主人様に魔法をお見せすることになると思います。
そして、ご主人様が魔法に飽きられましたら、家のお仕事に戻ります。」
クリスタは、悲しい顔で話していた。
「クリスタは、冒険が楽しくない?」
僕は、直感的に思った。
クリスタは、今すごく楽しそうだ。
冒険に憧れているのではないか。
「そんな事言っても無駄ですから。」
悲しそうな顔だ。
僕は、なにも出来ないのだろうか。
ソーマさんならどうするんだろう。
ソーマさんなら…。
「まっ、とりあえず、今はこのダンジョン突破を目指そうぜ。」
サーフが言った。
「はい。頑張りましょう。」
僕達、三人は、初心者の塔。二階層を進む。