朝、目が覚めた。
外を見るとまだ日が上ったばかりの様でとても早い時間だと思った。
「俺が、こんなに早く起きるなんて日本にいる時は想像も出来なかったな。」
この世界に来る前は、学校に行くために朝起こして貰う。自分で起きた事なんて一度もなかった。休みの日になれば昼まで寝てる様な生活の俺が自分で朝早く起きれるとか、驚きである。
おそらく、理由は二つある。
一つ目は、ダンジョン突破してからこの街を少し探検したから、疲れていたこと。
二つ目は、やることがないのだ。
この部屋にあるのは、寝るためのベット、装備品をおいて置けるロッカー、一人用の小さな机と椅子だけだ。
テレビも無ければ、漫画も、ゲームもない。この世界の人は、夜どうやって過ごしているのだろうか。俺はとても不思議に思っている。
「今日は、午後からギルドでランク測定だ。」
たしか、昼になると協会のチャイムが鳴るらしいから、それが鳴るころにギルドに行けばいい。
協会のチャイムは朝、昼、夕方の三回なるそうだ。
7時、12時、17時のチャイムと考えていい。
日の高さから、予想するに今日はまだ朝のチャイムも鳴ってないはずだ。
だから、二回目のチャイムが鳴ったらギルドに行けばいい。
「まずは、自分の魔法の確認をしなくては。」
俺は、頭で[スキル]と言った。
するとスキル画面が、目の前に出てきた。
その画面を確認すると…
ソーマ
魔法
九尾の狐(ユニーク魔法)
【マジックメイク】 消費MP100
魔法を自分で作成できる。(作成できる魔法は9つまで。)⚠︎9つ魔法ができると、この魔法は自動的に無くなる。
【マジックハンド】 消費MP150
作成した魔法を使用する事ができる。
これが、俺の魔法か。
九尾だから9つの魔法ってことかな。
これは、思った以上に練習していかないと使いこなせる気がしない。
まずは、魔法を作るのか。
【マジックメイク】。
「作りたい魔法を想像してください。」
頭のなかで、声がした。
「どうやって作るのかと思ったが、なるほどね。想像するんだ。」
やはり、最強の魔法といえば、瞬間移動でしょ。便利だし、欠かせない魔法だな。
すると、スキル画面に魔法が追加された。
魔法
九尾の狐(ユニーク魔法)
【マジックメイク】
【マジックハンド】
①[転移]
想像した場所に、移動できる。(一度訪れた場所以外へは、行くことができない。)
完成だ。これで、瞬間移動ができる。まずは、練習だ。この宿の入り口を想像して、[転移]。
目の前には、[安眠の森]の看板がある。ここは、宿の入り口。成功だ。これは、すごいぞ。よし、さっきの部屋に[転移]。
ベットの上に戻ってきた。
これは、すごい魔法だ。
まさにファンタジー。この世界に来てよかった。次はどんな魔法にしようかな。
【マジックメイク】
あれ。
何もおきない。
そうか、MP切れか。
MP消費に何も感じないから、MPの事も考えてながらこの魔法を使わないといけないのか。
でも、消費MP多すぎだろ。
三回でMP切れって…
レベルアップ頑張ります。
午前中にやろうと思っていた魔法の練習の時間が、俺のMP切れのためかなり余ってしまった。
この街も覚えたいし、散歩でもするか。
俺は、道に迷うといけないので、ギルドから近い場所の探検を開始した。
[武器屋]に[防具屋]、[道具屋]この辺りはお決まりだよな。
[奴隷商店]なんてのもある。
店の前にいた男。[トークス]と出てる。目線がすごい気になるんですけど…
「そこの、男前なあなた。冒険者とお見受けしますが、いかがですか。クエストのお供に、いい商品が揃っておりますよ。」
「あっ、はい。冒険者ですが。」
実際は、まだ冒険者ではないが、これからなるんだし問題ないか。
「ここでは、なんですから中へどうぞ。」
「えっ、あっあのぉ」
トークスは、奴隷商店のなかへ行ってしまった。
ここで、帰るのもマズイしなあ。
行くしかないか。
店に入ったら高そうな、大きな机が真ん中にあり、大人でも四、五人は座れそうな長椅子に腰掛けた。
とてもフカフカだった。横には不自然なほど、大きなカーテンがあった。
「申し遅れました。私、この奴隷商店のオーナーのトークスと申します。奴隷の売買については、初めてでございますか。」
客引きかと思ったら、オーナーだったのか。
「はい。奴隷とか、よくわからないのですが。」
「ならば、まずは説明します。」
トークスは、奴隷について説明してくれた。
この世界の奴隷になるパターンは、三つあるらしい。
一つ目は、犯罪を犯し、捕まった人。
二つ目は、税金を払えない家の人が身を売って奴隷になった人。
三つ目は、借金が多くなりすぎて支払えなくなった人。
この、三つ目にはクエスト失敗が続き、違約金が一定額以上になった冒険者も含まれるそうだ。
小さな町や、村などがモンスターによって壊滅したりして、自分の家がなくなり、生活できない人が奴隷になることもあるらしい。
家も仕事もない人は飢え死ぬしかないが奴隷になれば、飢え死ぬことはないらしい。主人は不要に奴隷を殺せないらしい。奴隷契約ってので守られているらしい。
主人には、奴隷の税金を払う義務と、生活を守る義務があるらしい。
その代わり奴隷は主人を裏切って殺したり出来ないらしい。
悪い主人につくと、ひどい扱いを受けたりするらしい。
奴隷にはなりたくないと思った。
冒険者もクエスト失敗が続くと奴隷になってしまうらしいから、クエストの選択には慎重に選ばなければ。
「冒険者と伺いましたが、どのような奴隷にいたしましょうか。冒険者の方ですと、共にクエストに連れて行ける奴隷、家事を任せられる奴隷などが人気です。」
「家事を任せる奴隷はわかりますが、クエストに連れて奴隷を買うより、ギルドで他の冒険者とパーティーを組む方がいいと思うんですが。」
「親しい間柄の冒険者が、いらっしゃるならそれもいいかもしれません。しかし、クエストの報酬の分配で揉める冒険者も多いのです。最悪の場合、依頼達成後、殺されるなんて事もあるみたいです。ダンジョン内での殺人がバレる可能性は0と言っていいほどです。ですが、奴隷の場合は違います。奴隷の資産はすべて主人のもの。クエストの報酬もすべて主人のものになります。」
そうか、俺みたいなよそ者は、パーティーを組むにもリスクがあるのか。そのリスクを無くすために奴隷を買ったりするのか。なるほど。
「奴隷は、どのくらいの価格なんですか。」
「奴隷は、個々で値段がかなり変わってきます。強い魔法が使えたりしたら値段は上がります。他には、種族によっても、変わってきます。例えば、エルフの奴隷は少ないので値段が上がってきます。」
なるほど。普通に、考えればそうなるな。
「奴隷は、他の街にも連れて行けますか?」
「大丈夫です。奴隷についての決まり事はすべての種族、国の合意の元の取り決めが行われていますので。」
それなら、他の街でも目立ったりしないか。
「そうですか。わかりました。」
ちょっと奴隷欲しくなってきちゃった。これが商人の力なのか。
「では、どのような奴隷を拝見しますか。」
「やはり、冒険者ですので共にクエストに行ける人がいいです。でも、犯罪を犯したやつは省いてください。」
「かしこまりました。まずは男から並ばせますね。」
そう言うと、トークスは部屋を出て行ってしまった。
すこしすると、カーテンが空いた。
そこには、大きなガラスが1杯あり向こうの部屋が見えるようになっていた。向こうの部屋には、奴隷と思われる男達がぞろぞろ歩いて入ってくる。
トーマスも、戻ってきた。
いろんな種族の人がいた。人間に獣人、魚人もいるな。背の低いやつはドワーフか?
「どうですか、どの奴隷も屈強な兵士です。元冒険者もちらほら。」
思った。みんな顔が怖い。俺の顔が引きつっている気がする。いや、完全に引きつっている。
「子供は、いないんですね。あんまり小さい子が出てきたらどうしようかと思いました。」
「奴隷として売りに出されるのは、成人した者、15歳以上の者です。」
よかった。ただでさえ奴隷には抵抗あるのに子供なんて出てきたら俺…
「気になる奴隷は見つかりませんか?」
あっ、何考えてんだ。
パーティーメンバー見つけないと。顔の怖くない人で。
「あの端にいる若い人とか。」
一番端で、小さくなっている人間が、気になった。
「彼はまだ、初心者の塔も突破してないので戦力になるかどうか。冒険者になりたいらしいので戦闘に参加する意思はあるみたいなのですが。」
「問題ないです。すこし話してみたいのですが大丈夫ですか。」
「大丈夫ですよ。先に女の奴隷を見てからでよろしいですか?」
「はい。お願いします。」
男達は、ぞろぞろと部屋から出ていった。
俺が指名した人間の少年だけは違う部屋に連れていかれたようだ。