ペルソナとメガテンで思い付いたネタ   作:ニンカタ

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唯一貴方が救われるルート。


愚かな預言者 √A

 

 貴方の予言は実らない。貴方の言葉は信じられない。カサンドラ。その名前を冠するが故に、全てを貴方は知れるけれども、その代価として誰からも信用されなくなるのだから。

 

 貴方は歩く。第一印象は最悪であった。自分は確かに真実を話しているのに、何故信じてもらえないのか。予言が本当だということは貴方しか確信出来ない事だ。傍から見ればおかしな予言。いや予言以下の言葉か。貴方は予言を語れば語る程に人から信頼を損ねていくでしょう。一匹だけ、貴方の言葉に耳を傾ける者は居たけれど、意思疎通が出来ないのならば、居ないも同然。だから貴方は、死ぬまで自分の言葉を誰にも信じられなかったと思いながら、死に至るのです。

 

 「おっと…済まないな。大丈夫か?」

 

 ギリシャ神話に曰く。王女カサンドラは太陽神アポロンよりその予言能力を賜わった。しかしカサンドラは対価として要求されたアポロンの愛を拒んだのだ。アポロン神はそれに怒り、カサンドラへと不信の呪いをかけた。予言を信じられなくなる呪い。その呪いは王女カサンドラの人生をめちゃくちゃにした。そして王女カサンドラは、死ぬまで人々から信頼されず、命を落とすのだった。

 

 「?どうかしたか…?」

 

 倒れたから、彼を見上げるような体勢になった。だからだろうか、太陽を背に貴方に手を差し伸べる彼が、眩しくて眩しくて仕方なかった。何故か目の前の彼を見ると貴方は涙を流した。当たりどころが悪かったのかと、()()()である彼は、心配そうに貴方を見つめるのだった。

 

 

 

 

 「……荒唐無稽だな、意味が分からん」

 

 当たり前だ。今の彼はただの警察官。ペルソナ使いではない。だから貴方が語った事は信用出来ないだろう。しかし、

 

 「意味が分からないが…まあ真剣さは伝わった。……知り合いに聞くくらいはしてみよう」

 

 知り合いというのは彼の兄だ。年が離れており、少々複雑な家庭で育った為に、未だに彼は兄へと苦手意識がある。しかしこのような案件は、確か兄がかつて関わった事件に似ているのではないだろうか。彼はそう判断して、面倒事を全て兄に投げる事にした。

 

 「何故…か」

 

 自分自身で言うのもなんだが、貴方は予言を真面目に聞いてくれた彼に驚いた。前にこっぴどく拒絶されたから、余計に驚く。彼は何故という質問に手を顎に宛て、少し考えた後にこう話した。

 

 「…1人に…見えたからだ」

 

 孤独。貴方がこれからもこれまでも感じていた感覚。彼はそれを見抜いたのだ。彼は何故だか、孤独であろうとする人間を放っておけないのだ。彼自身にもよく分かっていない。けれども、この感覚は大事にしておきたい。そんな想いが心の内にあった。

 

 「それじゃあな…俺は仕事がある。後は…まあ知り合いは話を聞くだろう」

 

 彼と会ったのはこれが最後であった。しかし貴方の心にはこの時の光景が今でも深く深く残っている。それほどまでに、貴方は彼との出会いを大切に思っているから。

 

 

 

 

 「ふぅ……厄介事というのは消えないものだな…」

 「ガキのペルソナ集団なんか面倒この上ないな」

 「えー!!またー!??」

 「特ダネスクープだけど……少し規模が大きいかな?」

 「………なんてことだ…まさか桐条からとは…」

 

 貴方の周りに居るのは最低でも三十代を超えた大人達であった。一人は警察。1人はハッカー。1人は自称一般人。1人は記者。そして最後の1人は…

 

 「…改めて名乗ろう。南条圭。南条在場の総帥をしている。…済まないが、少し考えさせてくれ…。話は天野氏に任せる…」

 「了解!じゃあ改めて聞くけど、影時間?っていうのがあるのよね?」

 

 南条圭は頭を抱えた。まさか身内…かつての身内ではあるが、其処から問題事が起きているとは思わなかったからだ。聞いただけでも目眩がする人体実験やら何やらに、頭が痛くなってきた。一応情報整理はするが、一度落ち着く時間が欲しかったのが実情だ。天野舞耶は、受け取ったバトンにウインクをして返すと、意気揚々と貴方へと質問を始めた。好奇心が旺盛でなければ記者等やっていない。相変わらずのペースに、周りに居た3人の仲間は肩を竦めるのだった。

 

 「へー…じゃあ人より長く寝れるんだー…良いなぁ…」

 「今の話を聞いて直ぐにそれとは、呑気だねぇ…」

 「仕方ないでしょ!睡眠時間は大事なんだから!」

 

 芹沢うららは人より長く寝れる影時間という仕組みに少し羨ましそうな瞳を向けた。確かに貴方は人より長く寝れる。少なくとも1時間くらいは。しかしまだ若い貴方にはそんなに羨ましがるものだろうかと頭を傾げていた。そんなうららの言葉に、パオフゥは皮肉半分、呆れ半分で言葉を放つ。何時もの事だが、うららはその言葉へと噛みつくのだった。

 

 「まあ芹沢君の気持ちも分からないではない。だが今はそこではなく、影時間がどうして発生したのか、それと現在の被害についてだな。…知りうる限りでいい、頼めるかな?」

 

 話が横に逸れそうになったのを、周防克也が元に戻した。その言葉により、貴方の説明を待つ雰囲気が辺りに漂う。貴方は少し緊張しながらも、予言として見えた映像をそのまま彼等に話していくのだった。

 

 「…成程。最近の無気力症は影時間が原因なのか」

 「うぇぇ…私の友達の友達がなったって聞いたけど、影時間のせいだったんだ…」

 「それは殆ど他人じゃねーか?芹沢」

 「ふむふむ…影時間に居るシャドウが悪さをしていると…よし、じゃあ次は──」

 

 こうして逸れる話題をその場その場で誰かが元に戻し、貴方が知る全てを話し終えるのだった。話せば話す程に南条圭は顔を曇らせて行くのだった。民間人に被害を出しているばかりか、更には子供を戦力として扱う今の桐条グループのやり方は到底認められる物ではない。挙げ句の果てには…

 

 「……はぁ…何でガキっつうのは一人で何でもかんでも抱え込むのかねぇ…」

 「…そうだな」

 

 巻き込まれただけの少年。彼がこれから辿る道を話すと、誰もが苦い顔をした。彼等には覚えがある。1人で何もかもを抱えて、辛いのを我慢して必死に戦った青年の事を。だからだろうか。その少年には思うところがあるようだった。

 

 「…先ずは内情を調べる。その幾月なる人物が最注意人物なのは当たり前だが、1人で此処までの事をやれるとは思えない。何らかの協力者が多数居るはずだ」

 

 今まで口を噤んでいた南条圭が提案する。確かに理事長という立場に居たとはいえ、自分が有利になる立ち回りを全て1人で行ったというのは無理があるだろう。

 

 「こういう思想持ちには、変なシンパが居るもんだぜ」

 

 幾月修司の思想についても共有してある。一般人には理解し難い思想だが、何故かこういう思想には熱心な信徒でも言うべき存在が居るものだ。確かに未来の映像でも、ストレガの思想に同調した人間が多く見られた。そもそも幾月自体も桐条鴻悦の思想に感化された質だ。その意思を継いだ幾月の思想に同調するものが居てもおかしくはない。

 

 「じゃあ一旦解散って感じ?」

 「そうね。動くにしても、情報整理とか証拠とか欲しいわね…」

 「僕は警察から情報を集める」

 「ヘマやらかすなよ?刑事さん」

 「その言葉、そのままお返ししようパオフゥ」

 

 軽口を叩きながら、それぞれが自分のやるべき事を決めていく。余りに早いフットワークに貴方は驚いた。そして直ぐに我に返ると、今まで疑問だった事を彼等に尋ねたのだ。

 

 「出鱈目にしちゃあ筋が通ってる。それだけだ」

 「こういう話には縁があるからね!私達!」

 「あんまり欲しくはないけどね…マーヤ…」

 

 何故信じてくれたのか。パオフゥは言葉の通り、天野舞耶は慣れているから、芹沢うららは単に巻き込まれ。そして周防克也は…

 

 「…まあアイツがこんな事を相談するなんて珍しいからな」

 

 グラサンを少し上げると、そう呟いた。彼が関わっているならばもしかしたらという疑いもある。なので周防克也はこうして動いたのだ。後悔する前に今度は動きたかったから。

 

 「質問は以上かな?では僕はお先に」

 

 周防克也はそう告げると足早にパオフゥの隠れ家を後にした。その後にパオフゥと芹沢。そして天野舞耶が慌てて出て行った。

 

 「…済まないが、君にも協力を仰ぎたい」

 

 今のところ事情に長けているのは貴方だ。故に隠れ家を後にした後に南条圭は改めて貴方に協力を申し出るのだった。貴方に付けられた見張りは懐柔した。偽の報告を上げれば貴方が自由に動いても不審には思われまい。悪い意味で、貴方は関わりになりたくない人物として、特別課外活動部の面々に認識されているのも功を奏した。

 

 「黄昏の羽根。これが元凶か…」

 

 時間は少ない。故に南条圭は桐条家から情報を奪う事にした。とは言っても、なるべく穏便にバレずにだ。忌まわしくはあるが、実験結果により後づけで影時間適正を得られるという情報を手に入れられたの僥倖であった。同じ舞台に立てなければ戦う以前の問題だ。後天的、一時的な効果ではあるが、こうして南条圭達は影時間適正を得ることに成功したのだ。

 

 「うへー…気持ち悪っ!」

 「悪魔とはまた違った気味悪さだな」

 

 次に行ったのは影時間の偵察。特別課外活動部の動きやらは内偵と、懐柔した人間から情報を流してもらい鉢合わせないように気を付ける。ペルソナが出せる事からも異界として間違いない。久しぶりに出したペルソナも問題なく動く。出来れば使う時がまた来て欲しくはなかったが。

 

 「偵察情報はこんな感じだ」

 「僕からは不自然な子供達の失踪についてだ」

 「桐条家に居る使用人を何人か懐柔した。今は送られた情報を整理している」

 「ストレガっていう子達の噂は結構集まったわ。パソコンでサイトも開いてるから、見つけるのは時間の問題だと思うわね…」

 「はぁ〜…久しぶりの運動は堪えるわ…」

 

 影時間そのものの情報とタルタロスについて、昔、人体実験に使っていただろう子供達の情報。かつての縁を使い此方側に引き入れた桐条家の家臣からの情報。そして貴方が語ったストレガ達の行方。疲労感にぐだーっとしている芹沢を尻目に彼等は議論を重ねていった。

 

 「情報も証拠もある程度は揃った。そろそろ動くべきだと僕は思うが…」

 「そうだな、時間制限もあるんだからチンタラはしてらんねーな」

 「かつての旧友から、何人か協力者は募った。…少し思うところはあるが、戦力が多いに越した事はない。信頼出来る仲間ならば尚更だ」

 「オッケー!じゃあ行きますかー、皆ー!!えいえい、おー!」

 『…………』

 「あれ?滑った?」

 

 こうして貴方の運命は変わった。(アポロ)に会った事で。彼等は時に正攻法で表から桐条グループと話をし、時には実力でシャドウやストレガ達を押さえつけた。短い時間ではあったが、集めた情報と経験からくるアドバンテージが役に立った。大きな組織と戦うのは初めてではない。その経験が奇しくも活きた。

 

 「さてさて、本番はこれからだな…」

 

 煙草をふかしながら、パオフゥは呟いた。大本であるニュクスなる存在をどうにかしないといけない。案はあるが成功するかどうか。まあしなけりゃ死ぬだけだ。不敵に笑うと、パオフゥは煙草を…

 

 「ポイ捨てするな!!」

 「…悪かったよ」

 

 少し締まりは悪いが。こうして本来ならば居なかった役者が舞台へと続々と現れた。今回ばかりは貴方が居なければ起き得なかった奇跡ともいう現象だろう。運命は変わる。恐らくは良い方向へと。貴方は虎狼丸と戯れながら、今日も研究に付き合うのであった。愚かではあったが、運が良かった貴方のお話はこれでお終い。




一応ペルソナ2のメンバーは十年後くらいのイメージ。細かく設定すると違うんだろうけど短編だからね、フレーバー。

今回のコンセプトはアポロンに許されたカサンドラ。ぶっちゃけカサンドラ関連で一番に思い付いたのはこのルート。ペルソナ2組とペルソナ3組の架け橋になる存在が貴方。アポロンを宿した事がある彼の協力があった事により、貴方の呪いが無くなった。ペルソナの親和性みたいな感じかな?まあ逆説的に言うと、彼に会わないと上手く行かないのが貴方なんだけどね。彼はただの警察官です。なのでこれ以降の出番はありません。でも一度でも出る事が重要なのでキーパーソン。

ニュクスをどうにかする方法は思い付いてはいますが、駄目ソナで書くつもりなのでぼかしました。なので詳しくは書きません。

この話は書くかどうか迷ったけど、取り敢えず書く事に。思い付いたなら書いといた方が良いってね。という訳で此処までどうもでした。
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