ペルソナとメガテンで思い付いたネタ   作:ニンカタ

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駄目なサマナー 4

 

 最近はスランプ気味。今まではスイスイ〜って成長してる感じはしてたんだけど、その感覚が久しく訪れない。簡単に言えばレベルアップしないのだ。まあそれも当たり前なのだが。自分がレベルアップの場所に使っているのはピクシーとマンドレイクが居た低レベルな異界。そして偶に出て来るシャドウを倒す影時間だ。何方もゲームだったらレベル一桁台がの敵ばかり。最高でも10行くか行かないか。そんな敵から貰えるMAG等分かりきっている。

 

 故に成長が止まったのは道理でもある。よくゲームとかで、お前先輩の癖にこれくらいしかレベルないのかよ!?とか思う事もあったが。あれは単純に、自分に見合った敵が居なかったからなのだなぁ…。ごめんね、先輩達よ…。

 

 一応タルタロスはあるが、自分の住んでいる街から遠いので却下だ。そんな金も時間も無い。例え行ける距離にあったとしても、今の自分からしたら敵の居城である巖戸台に行くのはかなり早計。2つの理由によりタルタロスはNGなのだ。

 

 というわけでやる事がない自分は、ペルソナを出したりひっ込めたり、前のように一部だけ顕現して弓使ったり、ピクシー使ったり、現実でも弓出せねぇかな~って試したり、マンドレイク使って楽しんだりして日々を過ごしていましたとさ。今までは強くなるという明確な目的に結果が着いてきたが、こうも何も無いとやる気が削げる。ので、自分は今だらけ気味。

 

 影時間内をぶらぶらとする。最低限ペルソナの練習はしたけ、それ以上はやる気が出ない。暇つぶしに影時間内という特別な景観の我が街を観光している。見慣れたスーパーとか、本屋とかも影時間内だと印象変わるなぁとか思っていると、

 

 「え」

 

 夜空に浮かんだ緑の月。そんな月をボーっと眺めている少女を見つけた。微動だにせず、公園のベンチに座って空を仰ぐ。影時間内に子供が?という疑問もあったが、それ以上に驚いた事がある。

 

 (似てる…)

 

 幼いがその横顔に既視感を覚えた。一度自覚すると髪色、目の色、その他諸々が記憶の中の彼女と一致してきた。歩く。ベンチに座る彼女の下へと。チラリと少女は此方を見たが、直ぐに月へと視線を戻した。彼女の中では知らない男よりも、空に浮かぶ月の方が重要らしい。

 

 「君、名前は?」

 「……汐見琴音」

 

 それだけ言うとまた月を見た。奇妙な偶然とはこういうものか、愛希は実感を持ってその言葉を自覚した。

 

 「月が好きなの?」

 「……何か気になる」

 

 琴音ちゃんを膝の上に乗せながら問いかけた。聞いた自分もあれだが、普通に乗っかって来るんだな。まあ役得だから良いんだけどね。それはそれとして、彼女が此処まで月を気にするのはやはり中に宿るデスのせいだろう。何れ彼の地に呼び出すニュクス。それを無意識的に感じ取っている。

 

 「君1人なの?」

 「うん」

 

 何度か質問をした。確かこの時の琴音ちゃんは親族を盥回しにされてた筈その親族の1つが、偶々家の近くであったようだ。能面のように表情を変えない彼女。比較的彼女の方が感情を表に出していた気がするが、幼少期だとそうでもないらしい。そんな琴音ちゃんを気味悪く思ったのか、親族の方々も最低限のお世話しかしていない様子。まあこれは、琴音ちゃんに聞いた事から推測した事なので確信はない。

 

 「明日も来るの?」

 「多分」

 

 月から視線を外さずに琴音ちゃんは答えた。今までは影時間内に出歩く理由はペルソナとシャドウ関連だけだったが、この日。新しい理由が増えた。とても大事な理由が。

 

 

 「で、見た感じどう思った?」

 「…アイツ本当に人間?」

 「何かね…」

 

 琴音ちゃんを家まで送る。彼女は断りはしなかったが、肯定もしなかった。なので自分が着いていく形になった。傍から見たら完全にヤバい光景である。しかし此処は影時間なのだ。罰する人は居ない。帰り際にこっそりと出した2人の仲魔に彼女を見てもらった。そして自宅に帰ったあと、2人の意見を聞く。

 

 マンドレイクはともかく、ピクシーまでが苦い顔をしている辺り。同姓同名の別人ではない事が伺える。汐見琴音の中に居るのは死を招く宣告者。そんな存在を見て気分が悪くなるのは当たり前だろう。それは悪魔も例外ではない。

 

 「よくもまあ、あんなガキ1人で封印出来るわね…」

 

 デスの事を説明すると、マンドレイクは呆れたような顔をした。まあ実際、よくもまあ後数年持ち堪えたものだ。しかも巖戸台での出来事がなければ、下手すれば死ぬまで封印出来たかもしれないのだ。マンドレイクがそう云うのも分かるというもの。

 

 「…あの子に関わるの?」

 「うん、可愛いからね」

 「はあ~……」

 

 デスという存在を身に宿した厄物。そんな琴音に本当に関わる気なのか、ピクシーは不安気に愛希へと尋ねた。今までは知識でしか知らなかった。だが実際に会うと感想が変わる。無理だろうな…とは思いつつもピクシーが言葉を発すると、愛希は笑顔で返答した。先程とは別の呆れを溜息とともにマンドレイクは態度に表した。自分達のサマナーは、可愛ければどんな存在でも良いらしい。本当に駄目なサマナーである。だがそんなサマナーと過ごすのも悪くないと本心では思っている辺り、2人も中々絆されている。

 

 「と、いう訳で!ピクシー!マンドレイク!」

 『あー…いつもの…』

 「行こう!」

 

 琴音ちゃんを膝の上に乗せていた時は我慢していたが、その我慢した欲望が暴れ出しそうである。なのでいつも通り、愛希はピクシーとマンドレイクをベッドの上へと招き入れた。慣れているのか、2人はベッドの上に乗ると、愛希が被る布団の中へと忍び込むのだった。その後、布団の形が何度も何度も激しく形を変える。変わる度にピクシーとマンドレイクの声が聞こえる。時折聞こえるのは水のような音だ。暫くして顔を布団の中から出した愛希。その顔はとても晴れやかであった。体に感じる2つの重みを心地よく思いながら、愛希は眠りにつくのだった。

 

 

 「好きだねー、月」

 「うん」

 

 今日も琴音ちゃんを膝の上に乗せる。そして2人で月を眺めた。琴音ちゃんの柔らかさを感じながらも、自分は思考を進めた。

 

 汐見琴音は感情が希薄である。それは中に居るデスのせいだ。では何故体の中にデスが居ると感情が無くなるのか、それは仮定ではあるが、MAGを喰らってデスが生き延びているからだと自分は考えた。

 

 別の作品の話ではあるが、どれだけ強力な存在でも、現実に居るにはMAGを使わなければいけない。そうしなければ自分自身が消滅してしまうからだ。デスが顕現したのはあくまで影時間の中。MAGが溢れるその世界ならば、依代等なくても大丈夫なのだろうが、現実世界でとなるとそうはいかない。完全体の姿であればまだしも、今のデスはか細い分裂体。ともすれば自分でも倒せるかもしれないほどに弱体化している。

 

 そんなデスが人間の体を間借りしていとはいえ、現実世界で存在を保てるのか。それは恐らくはNOだ。故にデスは、自分の宿主である汐見琴音から、MAGを簒奪しているのではないか。そう自分は考えた。MAGは人間の感情より生まれる。悲しい、苦しい、嬉しい、ムカつく。そんな日常生活で発露する感情。その中から生まれてくるのがMAGだ。

 

 琴音ちゃんは喜怒哀楽を確かに発露させている。しかしそれが表に出力される前に、中に居るデスにその感情ごと食われているのではないか。痛いと感じれば人は泣く。ムカついたら顔を顰める。それは何方も感情が来てから発生する行動。しかし琴音ちゃんの場合、それが脳に行く前に消えてしまうのだ。なので傍から見ればどんな事にも無感情に見える、人形のような少女になるのだろう。

 

 それがどうして未来だと感情を得ていくのか。それは単純に、ペルソナ使いとして成長し、デスに食われる感情より、発露する感情の方が上回ったからではないだろうか。消費量より生産量が増えれば、感情は外に出る。故に彼女が感情を手に入れるには一時的にではあるが、デスのMAG消費量を上回るしかない。

 

 (とは言ってもなぁ…)

 

 簡単に言えば激しい感情を発露させればいいのだが、そう簡単にはいかない。自分が思いつく方法はどれも犯罪ものである。さてはてどうしたものか…。琴音ちゃんの重みを感じつつ、愛希は悩むのだった。




危ない。手癖で書いてしまいそうになった…。
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