琴音ちゃんのペルソナが目覚めて幾日か。まさかトントン拍子で此処まで行くとは思わなかった。ぶっちゃけ自分の欲望に準ずるままにやっただけだからね。少しは感情出すようになるかなーくらいにしか考えてなかった。まあ出ちまったものは仕方ない。今は琴音ちゃんのペルソナについて考えるとしよう。
ペルソナの名前はサキュバスらしい。琴音ちゃんに聞いたので間違いない。サキュバス…サキュバスかぁ…、あのサバトみたいな状況から出て来るには相応しいペルソナだけどさ、琴音ちゃんの初期ペルソナってオルフェウスじゃなかったっけ?タナトスの方が印象深いが最初に召喚器使って出したのオルフェウスだったよな?この疑問にウンウンと頭を悩みました訳ですが。
「あ、ワイルドだからか?」
基本的にペルソナは1人一つである。自分自身の影、シャドウを何らかの形で御した姿がペルソナなのだ。人間の影なんてのはそんなにあるものではない。故に大体は1人一つしかペルソナは所有出来ない。とは行ってもこのルールは先代のペルソナ使いの方々には当てはまらないが。何個か使ってるもんね先代の人達。で、だ。琴音ちゃんは特別なペルソナ使いの素養、ワイルドを所有している。元々はそうじゃなかったけど、中にデスが居るせいで変容したんだったかな?
このワイルドの力は簡単に言えば多くのペルソナを使える力だ。他にも色々と特典はあったけど其処は今関係ないので置いておく。今回論点にしたいのはペルソナを複数使えるという所だ。これはつまり、大体のペルソナに適正があるという事ではないだろうか。死の直前、感情が高ぶった瞬間、ペルソナが発露する過程は様々だが、普通のペルソナ使いは行き着く先。つまりはペルソナの原型がある程度決まっているのだろう。なのでどんな感情でペルソナを発現させたとしても、適正のあるペルソナしか顕現しない。しかし琴音ちゃんの、いやワイルドの場合は違うのではないか、ゼロ故に無限の可能性を持つだったか、確かイゴールさんが言っていた言葉だが、この言葉の通りに琴音ちゃんは型に嵌まらないのだろう。あり得た未来では、死を強く意識した為にそのイメージに一番適した形を取ったオルフェウスが選ばれた。しかし前の琴音ちゃんが強く意識したのは性、もしくはエロスだった。
ペルソナ召喚の素養はある。場所もMAGが溢れる影時間。そして◯◯◯◯の最中。サキュバスでなくとも、性に関連したペルソナが顕現するのは道理というものだったのかもしれない。
「…それはそれでやっちまったか?」
自分もエロスというペルソナを持っているが、サキュバスは幾らなんでもアレだったか?と、推論を締めつつも気不味い表情を浮かべる。男ならばまだしも女の子だしなぁ…。私エッチな子でーす。みたいに言ってるみたいだわ。いや…それはそれでエロイか……?
(イカンイカン…!また思考がエロスに…!)
元々スケベな頭はしていたが、ペルソナに目覚めてから更に余計な思考が増えた気がする。別にそれ自体は構わないのだが、時と場合を選ばなければいけない。自分だけで済む案件ならばエロス思考でもいいのだが、これに関しては琴音ちゃんが関わる重要な事だ。故に真剣に考えなければ…
「………でもベルベットルーム行かないと無理くりね…?」
ペルソナを生み出したり捨てたりする場所はベルベットルームという所でしか出来ない。これは先代ペルソナ使いの面々も同じだった。あれ?ペルソナを増やすにはベルベットルーム………もしかしたらペルソナの在り方ってあんまり変わってないのか?考えれば先代達も、ベルベットルーム行かないとペルソナ一つしか所有出来ないしな…
(とと…其処は本題じゃない…本題じゃない…)
話がズレたが、ペルソナを増やすにはベルベットルームに行かなければいけない。ペルソナに目覚めてこの方、青い扉等一度足りとも見たことはない。故に琴音ちゃんを連れて行こうにも何処に行けば良いのやら。まあベルベットルームは選ばれた人しか行けないように切り替わったから、自分は選ばれてないのだろうな。するとどうするか、力自体があるのは悪くはない筈だ。別にサキュバスがアレじゃね?というのも自分の個人的な考えだ。力に良いも悪いもない。所詮己の一人相撲なのだが…
「あ!シャッフルタイム!」
ワイルド特有の力に確かそんなのがあった筈だ。あれならば他のペルソナも手に入れられるかもしれない。戦う必要があるのが傷ではあるが、琴音ちゃんの未来を考えると最低限の力は欲しい。残念ながら今の自分にはデスやらタルタロスやらその他諸々やらをどうにかする力も知力も足りていない。打てる手は打って置かなければ。
「──が──で」
「おお…!」
「こうすると…」
「そ、そんなに!?」
さて。琴音ちゃんはペルソナサキュバスに目覚めて以来、少々…いやかなり感情的になった。今まではまるで生きた人形のようにしか最低限反応しなかった琴音ちゃんだが、挨拶をすれば挨拶を。微笑みかければぎこちないながらも笑顔を向ける等、前の琴音ちゃんを知っていればビックリするくらいには感情豊かになったのだ。で。まだ感情表現がぎこちない琴音ちゃんだが、ある一点に関しては人並み、いやそれ以上の反応を見せる。それは勿論…
「こ、これが───!!」
「そう。───。これを出し入れするとね」
「興味津々ね〜」
女3人集まれば姦しい。それは種族が違えども変わらないようだ。囲むようにある本を見ていなければ微笑ましい光景なのだが。琴音ちゃんが指差すものを2人の仲魔が教えていく。その情報を知る度に琴音ちゃんは頬を赤く染めながらも、興奮した様子だ。そう。琴音ちゃんはエロ本によって、人間の喜びを学んでいるのだ。
「あ…」
エロ本を取られると悲しそうな表情と声を出す琴音ちゃん。エロ本により彼女は楽しみを取られる悲しみを知った。
エロ本を禁止された時の燃えたぎる感情。エロ本により、彼女は喜びを取られる怒りを知った。目茶苦茶教育に悪いのは分かっているのだが、己のようなエロ坊主に出来る感情の発露方法なとこれくらいしか思い付かない。実際、これでかなり感情が豊かになったのだから効果は覿面だろう。
(…でも、もう少し他の方法あったかな…)
楽しそうにエロ本を見る男子生徒みたいな状態の琴音ちゃんを見ながら、少し早まったかなと愛希は後悔した。でも笑ってれば良くね?というもう一人の自分が囁いた言葉に、それもそうか!と己自身を納得させ、琴音ちゃんの前に歩み出るのだった。
「琴音ちゃん」
「?どうしたの」
エロ本から目を離すと、自分の声がした方向に顔を向ける琴音ちゃん。キョトンとした表情から、彼女がかなり感情を得たのが分かる。流石に楽しんでいる最中の彼女に自分の推論を試すような行動を、今直ぐにやれと言うのは心が引ける。なので、
「明日は異界に行きたいんだけど一緒にどうかな?」
「異界…?」
「ピクシーとマンドレイクが居た場所だね」
「そうなの?」
『うん』
琴音ちゃん人間とってはピクシーとマンドレイクは友達だ。2人も最初は琴音ちゃんを気味悪がっていたが、共に過ごす内に情が湧いたのか、今では仲良く話す事が多い。感情が希薄な頃から一緒に過ごしたせいか、少々親目線のような瞳を偶に向けるピクシーとマンドレイク。そんな2人に甘えるように琴音ちゃんからも話し掛ける機会が増えた。そんな2人の故郷が気になったのか、琴音ちゃんは2人の顔を見た後、行きたいと即答で返すのだった。
「それじゃ明日、もしくは明後日かな。予定が空いてる時に一緒に行こうか」
「うん」
影時間だと、シャドウが中々出てこないのだ。なので確実に敵が出る異界へと向かう事にした。色々と試したい事はあるが、段階を踏んでいこう。先ずは異界へと慣れる事からだ。シャッフルタイムについての疑問は、琴音ちゃんが異界に慣れてから始める事にした。時間は余裕を持てる程多くはないが、ゆとりを持てない程少ない訳でもない。マイペースにやっていく事にしようじゃないか。ていうか琴音ちゃんに傷付けたくないからね!!
いっその事駄目サマだけ分離した方が良いのかな?コメントあったら適当な活動報告にでも。そもそも適当な活動報告作った方が良いのか…?
まあ取り敢えず読んでくれてありがとうございます〜