「あ、新しい技使えそうかも」
「え?」
それは何時も通り仲魔達となかよくしてた時の話。ピクシーからの言葉であった。マンドレイクは先に沢山なかよくしたので横でピクピクしてる。なので必然的にピクシーを使っていたわけなのだが。レベルアップ。ゲームではないのでステータスとかは見れないが、大体レベルアップした後に新しい技を覚えるものだ。自分も何か成長したかな~?って感覚を覚えた後に新しい技を閃いたりする。しかしレベルアップとは敵。悪魔やシャドウを倒さないと発生しない現象である。なのでいきなりのピクシーの閃きにはかなり驚いた。
「何か練習してたりしたのか?」
「ううん、そういうのメンドーだもん。しないよ~」
「…だよな」
少なくともうちの仲魔は自ら己を鍛える等という奇特な性格はしていない。何らかの武術だとか魔術とか嗜んでる悪魔だったら、日々の鍛錬とかで新しい技とか編み出したりするのかな?いやいや、論点はそこじゃない。え?じゃあなんで新しい技覚えたんだ?ピクシー。
「そりゃ──してるからでしょ?」
「…あー……そうか…MAGかぁ…」
結局のところMAG保有量が増えていくとレベル、つまりは身体能力やら何やらが増していくのだ。手っ取り早く大量のMAGを手に入れる術が敵を倒してMAGを奪う方法というだけで、別にMAGを手に入れる方法は他にもあるのだ。その中でもポピュラーなのがそういう行為だ。やってると色々な感情が溢れ出るし、何より自分の体からでるものがMAGを沢山含んでいる。それを直に毎日貰っていれば確かにMAG量も増えるというものだろう。
「まさかこんなところで新たな発見があるとは…」
「きゃっ!?」
「サンキューピクシー!」
結局のところMAGを沢山肉体の中に取り込めば良いのだ。なまじ先入観が邪魔をして新たなアプローチに気付かなかった。感謝の念を込めながらピクシーに発射!ありがとう!ピクシー!
「ううむ。しかしどうしたものか…」
敵を倒さなくてもMAGを手に入れればいい。しかし肝心の方法が分からない。取り敢えず異界迷い林に来たはいいものの。何をすれば良いのかが悩みどころだ。ちなみに今日は琴音ちゃんは居ない。毎日戦わせる訳にもいかないからね。学校もあるし、週に1、2回異界に来れれば上等な方だろう。タイムリミットはあるがまだ焦る時間でもなし。無理は禁物だ。
「先ずは仕組みを知るか」
考えても良い案が出なかったので、悪魔に会うまで異界を散策。今まではどう効率的に倒すかしか考えてなかったので、思考を切り替えて倒した後のMAGの感覚を意識する。倒した悪魔から出るMAGを無意識的に吸収する事で、多分ペルソナや肉体にMAGが溜まっていくのだ。分かりやすくいえば経験値か。そして規定の量に達すると、肉体やペルソナに変化を与える。これが恐らくレベルアップという現象だ。
「うーん…?」
出てきた悪魔を捻り潰すのは簡単であった。しかし消滅していく悪魔を見ていても、特に何かを感じたりはしない。恐らくは悪魔が消えた時に出る残留MAGが、己や仲魔達に吸収されていると考えたのだが。
「もう少し近づくか」
何回かチャレンジしたが結果は芳しくない。なので今度は悪魔が消えるまでペルソナに悪魔を掴ませておく事にした。イタチの最後っ屁。そんな言葉がある通り余り最期を迎える悪魔の近くには居たくないが、結果が出ないならば致し方ない。
「おっ、いた。よし行くぞ!エロス!」
『オオッ!』
見つけた悪魔に弓矢をズドン。レベル差もあるからかなりのダメージが入っている筈だ。シンプルにレベル差が違うというのは恐ろしいまでの有効打だ。
(だから怖くもあるんだけど…)
自分は今は強者である。しかしそれはお山の上での話。知識として色々な敵を知っている身からしたら、何時目の前に居る悪魔のように、一方的に嬲られる弱者へと落ちるか分からない。だからこそこのレベルアップ方法は必ず成功させなければいけないのだ。自分の身を守る為に。エロイ事をする為に。
「少しは掴めるといいんだが…」
『……』
「ううっ…」
死にかけの悪魔をエロスが片手で持ち上げる。念の為に何時でも魔法をぶち込めるように心の準備はしている。悪魔は自分に罵倒の言葉を吐くと、静かに消えていった。
「ん?」
直に悪魔に触っていたからか、その場所からMAGを吸収したのかもしれない。触っていたエロスの右手から何かが入っていくような感覚を覚えた。しかし…
「一瞬過ぎて分かんね!!」
『……』
確かに何かが流れるのを感じた気がするのだが、本当に一瞬だから全然分からなかった。舌の上にちゃんと食べものを置かれて、これな〜んだ?みたいなくらいには一瞬だった。多分仮説はあってはいるが、実用させるには体感が足りない。
「ええい!数だ数!!頼むぜ!エロス!」
『……!』
足りない質は数で補う。とにかく戦う事になるので相棒に一言気合掛け。エロスはノリ良く自分の言葉に親指を立てて答えてくれた。流石俺兼相棒だぜ!ノリが良い!
「うおおお!行くぞー!!」
『オオッ!!』
まあ沢山倒すといっても一対一じゃないと検証出来ないから、選んで戦うんだけどね。だって複数相手だと検証とかする余裕ないから。てなわけで何体か倒してきた結果、
「まあまあ…?」
なんとなく感じ取れるかな…くらい?最後に倒した悪魔はかなり弱っていたので、ペルソナではなく直に自分が触ったのが良かったらしい。ペルソナを通さずに直接体感したお陰か、今までの感覚とは段違いだった。
「感じ取れはしたが、どうする…?」
ここから目に見えないこのMAGを体の中へと吸収する技術が必要である。無意識に行っていることを意識的に行わなければいけない。これはかなり難しい。声をどうやって出してるのかを聞かれるようなものだ。声は科学でどうやって出してるか分かっているが、このMAG吸収術(仮)は自分が初めて見つけた技術だ。もしかしたら昔の退魔師とかは知っているかもだけど、この世界に居るか知らないし、そもそもその技術が残っているかどうか。話は逸れたが、つまりは目茶苦茶難しいという話だ。
「まあ頑張るしかないか…」
新たな異界を見つけるギャンブルよりかは遥かに安全だ。仮に新たな異界が見つかっても、ゲームのように適正なレベル帯の悪魔が出るとは限らない。それにそもそも異界なんてホイホイあっても困る。幸いこの異界迷い林に出るのは雑魚悪魔ばかりなので、入り込まなければ被害はないだろう。入り方も意図的じゃないと難しいからね。
「という訳でおつかれ〜」
『!』
「暫くは自己鍛錬かね〜」
レベルはMAG吸収術(仮)を完全にモノにするまでお預け。ならばそのMAG吸収術(仮)を習得するのに最も近そうなペルソナエロスの習熟度?でいいのかな。を上げていくしかないだろう。無意識にやっている行為が分からないなら、ペルソナが起こす行動を、なるべく全て自分自身の意志でやれるように鍛錬する。
「…瞑想とかかな?」
まあそのペルソナ習熟方法もよくは分かってはいないのだが。なのでメジャーどころから試して行こう。
そろそろ新しい仲間が欲しいが、悪魔にするか、人間キャラにするか悩みどころ。設定は何時も通りこじつけ。
あんまり異界増やしすぎるのもあれなのでレベルアップ方法は違うアプローチに。影時間ならいっぱいMAGあるでしょ。あー、いっその事海外編とか面白いかも。地球全体だからね影時間。まあ海外あんまり詳しくないんだけどね。
ではでは。