「ねえ、正大」
「ん?」
「友崎に連絡とってみみみにしばらく泊めてもらってることにしてッて言っといて」
「はあ?それくらい自分で・・・わかったよ」
友崎に連絡はすでに済んでいる
そこから先にはどう言ってるかは聞いてないからみみみに直接聞くのがいいだろうと思った
スマホの画面をいじり
登録してあるみみみの番号に電話する
ワンコールで電話に出たみみみ
「マサ!葵は!そこにいるの!」
「ちょ、みみみ落ち着けって」
「あ、ごめんごめん、で葵は?」
すぐそこにいるがまだ会うのは気まずい事を伝えて気持ちの整理がついたらちゃんと連絡させるから家に帰らなくてもいい理由付けで泊めてもらってることにしてほしい事を伝えた
「そうなんだ・・・マサ・・・葵をたのむね」
「わかった」
と言って電話を切る
「そんで葵はこの後どうするの?」
「正大の家にお邪魔するわ」
俺は口をあけて「はい?」と何言ってんだこいつって顔になる
「というのは冗談で友姉さんの所に今日は泊まらせてもらうの」
「そうかそうか・・・今日は?」
「明日は正大の家に行くから」
「結局来るんかい」
はあ、とため息ついてから
「親には言っておく」
と言ってると友姉が日南を車で迎えに来る
「正大、日南ちゃん一日預かるねー」
「どうぞー」
と手を振って見送る
友姉さんの家では私の過去について話した
いじめにあっていた妹
その妹が交通事故で亡くなったこと
そしてその交通事故は妹が自ら飛び込んだではないのかという憶測
これはあいつにも友達にも話してない
「日南ちゃんもつらかったね・・・」
「友姉さんこそ脚の話・・・」
「高校大学と連続での手術だしやっぱりその約二年分のロスはでかかったわー」
チューハイを飲みながら食事をとる
「その割に人生楽しんでるじゃんかよ」
この人は友姉の旦那さんの和樹さん
現役の選手でリーグ2で戦ってる人だ
台所で料理を作って持ってきてくれたのだ
「だってさ、今めっちゃ楽しいよ。こうやってさ正大の成長見れてるんだしさ。弟が巣立ちしてく気分だよ」
「そうだな。高校入ってからは俺らが育てたもんだもんな」
オフシーズンにみっちり鍛え上げてきたんだ
この二人に
「今じゃ和樹追い抜かれてるもんね」
「まあ事実だな・・・土曜日の試合見逃し配信で見たらあいつすごかったもんな」
和樹さんは麦茶を飲みつつ食事をとる
その後も最近の正大の動きや考え方などを聞いた
それを吸収する
でなきゃ追いつけない
あいつに勝ちたい
「日南ちゃんあいつに負けたくないんでしょ」
「え?」
「顔に出てるよーそれに身にまとうオーラも」
なんでわかるのかと聞くと
和樹さんはこう答えた
「プロでやってるとさ、時々あるんだよ、こいつ強いってオーラが日南ちゃんそういうことなかった?」
それを経験したことあったのはみみみが陸上で一回私を負かしたときに感じた
それまでバスケの全国大会でもこいつには勝てないとかそういうオーラは感じなかった
「明日正大に聞くといいよ、たぶん教えてくれるから」
「どういう事です?」
「日南ちゃんたぶん感性タイプというか理論に基づいて動くタイプだからだと思うよ」
相手の行動を読んで先読みしてそれに関して相手の手札を潰して叩く
だが感性タイプは先読みよりも自分の今までの経験値や直感で動く
「その回答はたぶん正大が一番わかってると思うよ。あのゲーマーなら」
と言って酒を飲みほしてから旦那をからかいつつ晩酌を続ける友姉
自分のプレイスタイルは確かに後者だ
それで今までnanashiに勝てていない
勝つための最後のピースは彼が握ってる
「ほんと、つくづく嫌になる」
不機嫌そうな表情を友姉にいじられながらその日を終えた