日南葵と心の隙間を埋める   作:gun78

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木曜日

 

午前10時頃からチーム練習

 

午後15時頃に解散

 

なので大宮駅に九時半ごろ来てくれと俺が頼む

 

みみみと文也それに文也に頼んで菊池さんも連れてきてもらえることになった

 

みみみは葵の事は聞かなかったが葵が夜にアタファミやってるときに

 

「明日、ちゃんと二人に話すから」

 

とコントローラーを操作しながら言ってくれた

 

俺は葵を信じる

 

同じ闇を抱えて生きて来た一人として

 

 

 

 

 

木曜日

 

駅に友姉が車でみみみたちを迎えに行ってる間に俺と葵、そして木田はチーム練習始まる前のセッティングに追われていた

 

「マサこれでいいかー」

 

「おっけー、高さもいいし問題なけど最終確認は友姉きてからだな」

 

他の選手も来ているが全員で準備をする

 

インフルでスタッフ4人が離脱している

 

自分でやれるところは全部やる

 

スタッフ任せだったところも皆で分担していた

 

むしろこれがいい方向に向かってるんじゃないかって俺と木田は思ってた

 

「正大これって器具庫でよかった?」

 

「おう、あともうすぐ友姉来るからできれば出迎えに・・・やっぱ俺が」

 

「大丈夫行ってくるから」

 

と器具庫の方に向かう葵

 

それを見ていた木田

 

「あれは手ごわいぞー」

 

「何がだよ」

 

「手間のかかる女見つけやがって」

 

「うっせえよばか」

 

自分の気持ちには気づいてる

 

けど今じゃない

 

土曜日にクソゲーか神ゲーかを決める戦いが終わるまでは・・・

 

 

 

 

 

 

 

クラブハウス入り口にてみみみと対峙する葵

 

「おはよう」

 

「おっはよう葵」

 

と二人とも笑顔で向き合う

 

「おはよう葵」

 

「おはようございます日南さん」

 

と友崎と菊池さんが言う

 

「おはよう二人とも、状況が状況だからお願いね」

 

と言ってクラブハウスを案内する

 

コートに来た所を俺は見つけてテキパキと指示する

 

「文也は得点版とあとモップもって選手が転んだら起き上がった後に拭いて、菊池さんもね」

 

コクンと頷く二人

 

「みみみはタイマー、使い方は」

 

「大丈夫、多分覚えてる」

 

「一応友姉に確認だけしといて」

 

とせわしく動く

 

予定より15分遅れでチーム練習が始まる

 

土曜日の試合がシーズンラストで降格するかどうかの試合とあって練習もいつも以上に熱を帯びている

 

合間合間で俺は外国籍選手と英語でコミュニケーション取りつつ微調整をする

 

負けられない

 

いや、負けたくないんだ

 

 

 

 

 

練習後

 

文也と菊池さんはさすがに疲れたのか友姉に送ってもらっていた

 

まあなんだかんだ結構ハードだったし

 

友姉が戻ってくるまでの間に話がしたいと葵が言ってきた

 

ロビーの机に囲うように座る三人

 

「な、なんか改まってこうやって座ると緊張するなー」

 

「おいおい、みみみ緊張するなよ」

 

「でもさー・・・」

 

と言ってると葵がきりっと表情を変えてこっちを見る

 

俺はしっかりと向き合うために目線をそらさない

 

相変わらずみみみはソワソワしているが

 

ゆっくりと語り始める葵

 

双子の妹がいた事

 

そしてその一人がいじめにあってたこと

 

その妹は大丈夫だからと気丈に振る舞っていた

 

でもやっぱりどこかで型が外れたのかわからないけど

 

交通事故で亡くなるときに車にひかれる瞬間あえて飛び込んだように見えたと

 

もっと早く妹を助けていればそんなことはなかった

 

そんな事故もなかった

 

私が悪いんだ

 

と心にふたをした

 

そしてそのふたが開かないようにさらに仮面を被った

 

もう一人の妹からも大丈夫だからと言われても渚が居なくなったという事実は消えない

 

けど現実と向き合わず仮面を被って完璧なヒロインを演じて誰にも負けない強いヒロインになるんだって

 

「それでこの前のパーティーの時に流れた家族の映像で渚が居ないことにふたが開いちゃったの・・・」

 

数分の沈黙が流れる

 

「葵はさ・・・渚ちゃんのお墓参りっていってる?」

 

と俺は聞く

 

首を横に振り言ってないと答える

 

「じゃあ俺と一緒だな・・・」

 

寂しそうな目で俺見てくる葵

 

「俺さ復帰する前に一度だけ墓参りに行ったんだ・・・でももう5年も行ってない」

 

「どうしてさ、何でいかないの二人とも・・・」

 

「多分葵は向き合う事が出来なかった、俺は逆に次に来るときは妹との約束を果たした時だって決めてるから」

 

「日本一のバスケットボールプレイヤー」

 

葵がそう答えると俺は軽く頷く

 

「もしかしたら引退までお墓参りいけないかもしれないけど約束だから」

 

渚は私にどうしてほしかったんだろう

 

私はどうしたらいいの・・・

 

「葵さ、今日は家に帰って妹さんとしっかり話してきなよ」

 

ぶんぶんと首を振る葵

 

「なに弱気になってんだよ!」

 

「嫌なの!」

 

「お前ってやつは」

 

と立ち上がろうとした瞬間即座に動いていたみみみ

 

「葵!」

 

と言って叫んだ

 

葵がみみみを見た瞬間にみみみの平手打ちが飛んできた

 

「みみみ・・・」

 

「葵は!私の知ってる葵は!笑顔が優しくて!それでいて私みたいに負けず嫌いで!みんなのヒロインで・・・仮面被ったっていいじゃん今の葵でもいいじゃん。ちゃんと向き合ってよ。私は・・・友崎に振られたときにちゃんと向き合ったよ・・・」

 

涙を流しながら答えるみみみ

 

ふっと背中から包み込むように友姉が葵にのしかかる

 

「葵ちゃんは、真剣に向き合う事に慣れてないんだね」

 

「そんなことはない・・・」

 

「じゃあ私や正大みたいにケガしたり妹失ったりしていま前向いてる私と正大に本当に向き合ってるって言いえる?」

 

「・・・いえないです」

 

「じゃあ向き合いなさい。ダメでもコンテニューできるでしょまだ若いんだから」

 

ゲームにたとえられる

 

「そうだな、負けてもコンテニューすればいい、確かに大事なものは帰ってこないけど」

 

「葵はあんまり負けてないからあれだけど私はずっとコンテニューばっかりだったんだから」

 

そう言われて心の隙間が埋まった気がした

 

「うん、ありがとう」

 

と笑顔を見せる葵

 

ああ、この笑顔だ・・・

 

葵のこの笑顔が見たかった

 

やっと進めたんだ

 

 

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