【完結】ブラック★ロックシューターな魔物の子   作:烏何故なくの

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五ページ目 キャンチョメの芸

 

 ◯月◇日

 (追記)

 

 デモルト、死ぬほど強かった。

 攻撃力が高い。防御力が高い。スピードが高い。

 パートナーの指示がいいのか、本を狙った攻撃は全部弾かれてしまった。

 

 ガッシュが序盤でダウンしてしまった時は死んだかと思った。原作コースからズレて全滅かと。

 途中から敵だったパティとビョンコが仲間になってくれたが、それでもデモルトとはかなりの力の差があった。

 

 最終的にはロックの新呪文とデモルトの呪文が拮抗してるときにウォンレイとガッシュが攻撃を撃ち込み、デモルトを外に吹っ飛ばして無防備になったパートナーから本を奪って燃やすという決着になった。

 

 こんな怪物、原作ではどう倒したんだろうか……。

 ロックの術がなかったら押し切れなかったんじゃないか? デモルトの高火力呪文を防ぐ術がないもんな、ガッシュパーティ。

 

 原作といえば、オレの知識と違いデモルトは暴走状態にならなかった。

 ロックの存在があったから第二形態に移行する前に削りきれたってことなのだろうか。

 

 デモルトを魔界に返し月の石を壊した後は、ゾフィスと戦っているブラゴ、シェリーペアの様子を見に行った。

 

 生で見るブラゴ、めちゃくちゃ厳つい。爆音でエンジンをふかしてるブルドーザーみたいな印象だ。

 ヘリコプターで隣の席に座らされているゾフィスがちょっと哀れだった。

 

 シェリーからは、なんていうかとても洗練された心の波動を感じた。

 どんなこともやり遂げる鉄の意志と、パートナーへの信頼、友人を助けられた力への自負。

 ……オレの心を読み取る力を使えば、ちょっとズルができるかもしれない。

 うまくいけばこれからの戦いで有利になれるな。

 

 シェリーが帰った後、レイラが本を燃やしてくれと頼んできた。

 千年前の魔物である自分は、今の王を決める戦いとは関係がないから、ということらしい。

 パートナーであるアルベールも納得していたので、代表してガッシュが本を燃やした。

 

 レイラが魔界に帰る前、パティがレイラに謝っていた。

 

 「その、あの………改めて、ごめんなさい。許されるとは思ってないけど、ケジメとして言っておきたくて」

 「……確かにあなたは酷いことに加担したわ。罪悪感があるのなら、これまでにした酷いことを帳消しにするくらいの良い王様を目指してちょうだい」

 

 頭を下げるパティに、レイラが優しい表情で言葉を返していた。

 みんなが見守る中、レイラは笑顔で魔界に帰っていった。

 

 「君たちの戦いはこれからだ。この中の誰かが、必ず魔界の良き王になるのじゃぞ!」

 

 ナゾナゾ博士の言葉を胸に誓い、オレ達は国に帰ることになった。

 

 帰りのバスで、ガッシュ達はロックに沢山話しかけてくれた。

 特にキャンチョメが親身に話してくれた。いろんな芸も見せてくれた。

 ガッシュ達の暮らしてるモチノキ町はオレの家から割と近い位置にあったし、これからオレが学校に行っている間はガッシュ達の所に遊びに言ってもらおうかな。

 

 ……なんか、芸をしているキャンチョメとロックの隣に独特なシルエットの魔物が座ってんだけど。

 オレこいつになんか見覚えがあるんだけど。

 クリアと組んでた、ワープ能力が使える魔物だよな?

 

 

 

 

 

◾️◾️

 

 

 

 

 

 ベルギム・E・Oの戦いでは、僕は何も出来なかった。

 ガッシュのように電撃を出すことも、ティオのように盾で守ることも、ウマゴンのように素早い動きでサポートすることも。

 

 だから、ナゾナゾ博士がベルギム・E・Oの攻撃を喰らいそうになった時。

 青い炎を纏って天井から現れたロックを見た時。

 彼女のことを、本当にカッコいいと思ったんだ。

 

 「ねぇ、何をしているんだい?」

 

 千年前の魔物との戦いが終わった後、空港に行くまでのバスの中。

 僕は一人でじっとしているロックに僕は思わず話しかけた。

 ロックは感情の読み取れない目で、ゆっくり僕の方を見た。

 

 「……何も」

 「え? ……じゃあ普段は何をしているんだい?」

 「何も」

 

 ど、どうしよう。

 会話が全く続かないや……。

 

 僕が動揺していると、ロックのパートナーである禄郎がロックに話しかけてきた。

 

 「え? ロック、オレが学校に行ってる間に何をしてるんだ?」

 「何も。椅子に座って、じっとしてる」

 

 僕はビックリした。

 椅子に座ってただじっとしてるなんて、僕なら一時間も耐えられない。

 禄郎も雷に打たれたみたいにビックリした顔をしていた。

 

 「……実はな、ロックは記憶喪失なんだ。だから一人での遊び方を知らないんだよ。なぁ、キャンチョメ。いやキャンチョメ先輩。どうかロックに遊び方を教えてくれないか?」

 

 禄郎はそう言って、真剣な目で僕の手を握った。

 

 先輩、先輩か……。

 へへ、いい響きだな。

 

 「任せておいてよ! フォルゴレはスターだから、僕も一人の時間が多いんだ」

 

 僕はロックに僕の色んな遊びの話をしてやった。

 粘土で動物を作ったり、公園で鳥にご飯をあげたり、ボールで遊んだり、フォルゴレの映画を見たり。

 禄郎の家にはテレビが無いらしく、映画は見れないんだって。遅れてるなぁ。

 

 途中でフォルゴレも混ざってきて、僕はロックを楽しませようといろんな芸をした。

 

 「行くぞキャンチョメ! コンビネーションダンスだ!!」

 「分かったよフォルゴレ!」

 

 「チッチ、チッチ、オッパ———イ!! ボインボイ————ン!!」

 

 「……ぼいん、ぼいん……」

 

 あ、あれれ?

 フォルゴレのダンスは皆を笑顔にするはずなのに、ロックは自分の胸に手を当てて見つめて悲しそうな顔をしちゃった。

 これにはフォルゴレもビックリしていた。

 

 「む、私の歌で笑わないシニョリーナがいるなんて……。そうだキャンチョメ、玉乗りはどうだ? ほら、サーカスで習ったやつだよ」

 

 やっぱりフォルゴレは頭脳も無敵だね。

 僕はバスが空港につくと急いでバスを降りて、乗れるくらい大きなボールを探しに外に行ったんだ。

 空港の周りにはいろんなものがあるけど、大きいボールはなかなか見つからない。

 

 もっといろんなお店を探そうと、路地裏に入った時だった。

 僕は長くて黒い足にぶつかってしまったんだ。

 

 「いてて、ごめんよ。怪我はないかい?」

 

 そう言って顔を上げると、ひし形の模様が目に入ってきた。

 僕がぶつかった相手は人型ではあったけど、目も口も指もなかった。

 黒っぽい、無機物のような見た目。トゲのある足は昆虫みたいだった。

 

 「ま、魔物!?」

 「ゴ————………」

 

 「チェ〜〜。見つかっちゃったピョン」

 

 魔物の後ろから、そのパートナーであろう女の人が現れた。

 女の人の持つ本は、すぐに大きな光を放ち始める。

 

 「ちゃちゃっと消しちゃおうか、ゴーム?」

 

 ど、どうしよう。

 フォルゴレは一緒にいないし、大きな声を出してみんなを呼ぶしか……!!

 

 「ディオボロ——

 「キャンチョメ、どうしたの?」

 

 女の人が呪文を唱えそうになった瞬間、ロックが路地裏に入ってきた。

 ロックと女の人は、真剣な目でお互いの顔を見ていた。

 少しした後、女の人が目を逸らす。

 

 「ん〜〜、やめやめ。今あんたの前で暴れるのはダメって言われてるからね。また会いましょ」

 

 女の人はそう言って、後ろを振り向いて僕達に背を向けた。

 黒い魔物もそれに倣って後ろを向く。

 よく分かんないけど、戦う意志はないって事でいいのかな?

 

 二人が路地裏の奥に消えていくのを見て、僕は思わず二人を呼び止めていた。

 なんていうか、とても寂しそうな二人だったから。

 

 「なぁ、玉乗り見ていかないか?」

 

 「ゴ———……?」

 

 

 

 

 僕は路地裏で見つけた大きなボールに乗り、その上で歌って見せた。

 

 「鉄のキャンチョメ〜、無敵キャンチョメ〜♪」

 

 歌い終わると僕の背中から大量nハトが飛び出した。ナゾナゾ博士のマジックだ。

 

 「おお、すごいのだ!」

 「キャンチョメにこんな特技があったなんて……」

 

 ボールの上でバランスを取る僕を見て、ガッシュはとても盛り上がってくれた。

 ティオも関心したような声を上げている。へへ、少しは見直したかい。

 

 ロックも、いつもの無表情だけどどこか楽しそうように見える。

 少しでも今日のことがロックの記憶に残ったらいいな。

 

 「ゴ————! ゴ———!」

 「チ、こんな子供騙しで喜んでんじゃねぇよ」

 

 今日出会ったばかりのパートナーは、ゴームとミールという名前らしかった。

 ミールの方は楽しんでくれてないようだけど、ゴームは楽しそうだ。ハトに手を伸ばして声を上げている。

 

 新しい魔物のパートナーを連れてきた時は皆ビックリしてたけど、戦う意志がないことが分かると警戒を解いてくれた。

 皆の中でも禄郎は一番ビックリしていた。今もノートを開いて何かを書きこんでいる。

 

 「こんだけ敵がいっぱいいるのに戦い出すほどマヌケじゃないぴょん〜〜。……はぁ。見終わったらとっとと行くよ」

 

 ミールはそう言ってゴームの近くに座っている。ミールの態度はトゲトゲしいけど、ゴームのことは邪険にしないらしい。

 二人の間の信頼が垣間見えた気がして、僕は少し嬉しくなった。

 

 ガッシュ、ティオ、ウマゴン、ウォンレイ、ロック、ゴーム。

 この戦いは周りは全員敵なのに、こんなにも友達ができるなんて思ってもいなかった。

 ナゾナゾ博士が言ったように、この中の誰かが王になってくれたらいい魔界ができるかな。

 そう思いながら、僕は空港の時間が来るまでフォルゴレと芸をしていた。

 

 

 

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