【完結】ブラック★ロックシューターな魔物の子 作:烏何故なくの
△月◯日
千年前の魔物との戦いが終わって一週間くらい経った。
次はファウード編だ。今のうちに休まず学校に行っておかねば。
ナゾナゾ博士にもファウードのことを軽く話しておいた。巨大な建造物が出現したら魔物関連だからすぐに知らせてくれ、くらいの軽い内容だけど。
世界を滅ぼせるくらいデカい魔物がいる、ってかなり衝撃的な内容だよな。伝えない訳にもいかないけどあんまり早めに伝えてしまうと戦意を挫いちゃうかもな。まぁなるべく早い段階で共有しておこう。
あとはクリアのこともだな。確かパートナーが赤ん坊だったから、早い段階で潰しておけばどうにかなるかもしれない。
ロックは最近、モチノキ町に遊びに行っているらしい。
ガッシュ、ウマゴンとは基本的に遊べるらしい。たまにティオ、パティが遊びに来るのだとか。
ロックは特にパティに興味を示しているらしい。
ガッシュに一途なパティの恋を密かに応援しているのだとか。「私にも、あんな顔になるような相手がいたのかな……」と呟いていた
ロックは最近、記憶を失う前の自分にも興味が出てきたらしい。
……パティってガッシュのこととなると顔芸するよな。ロックがあんな感じになったら、ちょっと嫌だな……。
△月》日
今日はロックに絵本を買ってみた。
「ことりとり いろいろのいろ」という本だ。
ロックは日本語が読めないので語って聞かせてやることにした。
内容は……うーん、割と救いのない感じの話だった。
色んな世界を飛ぶ真っ白な鳥、ことりとり。
ことりとりの羽は色んな世界を飛ぶ度に色んな色に変わっていくが、最終回に色が混じりすぎて真っ黒になって死んでしまうというオチだった。
あんまりに救いのないオチでびっくりしたけど、ロックには好評だったみたいだ。
色に対して興味を持ち始めてるようだし、色鉛筆とか買ってもいいかも。
△月〜日
ロックが絵を描いていたのでこっそり絵を見ていた。
真っ赤な人間が描かれていたから誰かと思ったら、どうやらガッシュを描いているようだった。ガッシュの本の色が赤だから、ということらしい。
ガッシュの横にはウマゴンとティオ、そしてキッドらしき絵も描かれていた。
……キッドが魔界に帰ったことは、ロックの中でも大きな出来事だったのかな。
△月《日
ナゾナゾ博士に巨大な建造物が出現したとの報告を受け、サンビームさんの家に集まることになった。
フォルゴレもリィエンもフットワーク軽いなぁ……。
いい機会なので、オレの原作知識のことも皆に話しておいた。
ファウード、そしてクリアの脅威を皆に共有できた。
ロックっていう異分子がいる以上、これらの知識も正確とは言えないからな。
頼むぜ清麿。頑張って対策を考えてくれ。
◾️◾️
「Dr.ナゾナゾは、なぜ真っ黒コゲに?」
「清麿くんがワシの話を聞かないからじゃよ。ワシが魔界の建造物を見ても何も解明できなかったから、みんなで一緒に考えようって……」
そう言ってウソ泣きを始めるナゾナゾ博士を見て、またオレのボルテージが上がる。
全く、ビッグ・ボインの妙なダンスを見せるためだけに無駄な時間を取らせやがって……。
サンビームさんの家を黒焦げにするわけにはいかないから、ザケルは勘弁してやるが。
「何があったんだ? ガッシュ」
「ウヌウ、アースとかいう魔物と戦っての、その者が魔界のきょういとか言っておったのだ」
「ああ、魔界と関係あることには違いない」
キャンチョメの質問にガッシュが答え、オレがそれを捕捉する。
オレ達に直々に戦いを挑みにきた魔物、アース。
奴は「貴公らの目にはあれが建造物としか映らぬのか!?」と言っていた。
つまりレスカ山脈に現れた巨大な物体は、建造物ではない何かということになる。
ビデオを入れながら皆と意見を交わしていると、キャンチョメが突然「あ!!!」と大声を上げた。
「キャンチョメ、様子が変だぞ、何か気づいたなら言ってみろよ」
キャンチョメに発言を促すが、キャンチョメは黙ったまま話そうとしない。
うーん、困ったな……。
無理に聞き出すわけにもいかないし……。
オレが困っていると、玄関のチャイムが鳴った。
「おーす、お邪魔しまーす」
「お邪魔、します」
ドアを開けて入ってきたのは、禄郎さんとロックだ。
「……そうだ! 禄郎さんならキャンチョメの考えていることを読み取れるんじゃないか?」
「ん? そりゃ分かるが……」
禄郎さんはキャンチョメに視線を向けると、感心したように声を上げた。
「お、凄いなキャンチョメ。自力でファウードの正体に気づいたのか」
「ファウードの、正体……!?」
な、禄郎さんはあの物体の名前すら知っているのか?!
ナゾナゾ博士ですらさっぱり理解できなかったものを、一介の大学生である禄郎さんが……。
禄郎さんは少し悩んだ後、意を決したような顔をして話始めた。
「付き合いも長くなってきたし、みんなにはオレの秘密を話そうか。……オレの読心能力は、頑張れば別の世界の人間の心すら読み取れるのよ」
「な、別の世界……? それって、魔界とかのことか?」
「ちょっと違うな、並行世界ってやつだよ。オレはそこで、この魔物の王を決める大会で起こる未来の知識を少しだけ得てる」
禄郎さんはファウードを指差して話を続ける。
「ファウードは超巨大な魔物だ。あれはいずれ動き出す」
「え………?!!」
そう言われてみると、ファウードの真ん中くらいの岩の具合が、腕をクロスさせている人間のようにも見える……!!
「う、うわ———ぁぁっ!! もうダメだ! 世界の終わりだよ!!」
「で、デモルトの、何百倍の大きさなのよ……!」
キャンチョメが泣き、パティは戦慄している。
こ、こんな大きさの魔物が暴れたら、世界は終わりだぞ……!
「ねぇ禄郎! 何か、何か対抗策はないの!?」
「あるぞ。確かファウードは魔界に返せる装置が体内にあったんじゃ……なかったっけ?」
ティオの問いに、禄郎さんが不安になるような返事を返す。
な、なんとかって!! もっとしっかりしてくれ!! アンタが唯一の情報源なんだ!!
「オレの知識は完全じゃない。並行世界の人間の心の中に入ったのは五年も昔のことだし、ロックの存在は知識の中に無かったからな……。……ついでだから言っておくと、ファウードの次にはクリアっていう敵が出てくるぞ。ファウードよりヤバい奴が」
ふぁ、ファウードよりヤバい!?
もう勘弁してくれ、頭がどうにかなっちまいそうだ……。
この後開いたファウードの対策会議は、一向に良い案が出ないまま終わってしまった。
ファウードの情報が少なすぎるし、そもそもファウードが今どこにいるのかもわからない。
クリアに関しても情報が少なすぎる。ナゾナゾ博士に情報収集を任せるしかないな。
……しかし、ファウードの中にファウードを魔界に返せる装置があるというのは信ぴょう性のある話だ。
そもそもファウードは魔界からこっちにきたわけだから、ワープするための装置があってもおかしくない。
どうにか、希望の光を大きくしなければ………。
◾️◾️
△月∂日
清麿からファウードを探せそうな魔物が見つかったという情報がきた。
名前をモモンといい、サルとウサギを合体させたような見た目をしているそうだ。
……ん〜〜、なんかうっすら記憶にあるな。
確かエロ猿じゃなかったっけ。ロックと合わせて大丈夫かな。
ガッシュは平成の作品なので、そういうお色気差し込まれうるよな。
うーん、もしエッチイベントが発生してロックに劣情を催してしまったらどうしようか。
女の子と二人で暮らしてるから、性欲あんまり出さないように頑張ってるんだけどな。
とりあえずロックにはズボンを履かせておこう。
△月⁂日
清麿から再び連絡が入った。
謎の存在からファウードのこと、そしてリオウという魔物がファウードの呪いを使い人間に呪いをかけ、ウォンレイたちを無理矢理従わせていることを教えられたらしい。
人間が死ぬまで、あと四日しかないそうだ。
時間がない。ロックに出現した新呪文も大して練習できないままだ。
△月♫日
モモンの力で、ファウードがニュージーランドにあることがわかった。
オレ達は全員で飛行機に乗り込み、ニュージーランドまで向かった。
ニュージーランドに移動するために一日が過ぎてしまった。リィエンが呪いで命を落とすまであと二日しかない。
今は小型の飛行機で移動しながら、モモンに場所を探知してもらっている。
ファウードの場所が見つかりしだい、パラシュートで降下することになっている。
(追記)
ファウードに降下中、攻撃を受けてみんなと逸れてしまった。
ロック、フォルゴレ、キャンチョメとは一緒の場所に落ちれた。
すぐにみんなと合流しないといけないが、視線を感じる。ヤバそう。
◾️◾️
「禄郎、ロック〜〜〜!」
「フォルゴレ、キャンチョメ! いたのか!」
僕とフォルゴレは急いで禄郎とロックに駆け寄る。
ここはファウードの頭の上の町、すでに敵のアジトなんだ。
こんな所で一人でいたらすぐに袋叩きにされちゃうよ!
「誰か! 誰かいないか〜!? ……ダメだ。無線は通じない……!」
フォルゴレが無線に呼びかけるけど反応がない。
禄郎はこんな時にも何かノートに書き込んでいる。
「ううう……アポロ達大丈夫かな?」
「アポロのことだし寸前で脱出してるんじゃないかな。それよりも……見られてるぞ!」
僕のぼやきに返事をしながら、禄郎は指先で森の中を指さす。
そこには、スキンヘッドな頭部に沢山の目玉をつけた魔物が立っていた。
「ホゥ、カンが良いな……」
「オルシド・シャロン!!」
魔物のパートナーであるスキンヘッドの男が呪文を唱えると、魔物の頭部の目が光り出す。
すると僕らの影は大きく伸びて……僕らの影が地面から剥がれ、僕らを縛り上げた。
「やれ、ロデュウ」
「ディオガ・ラギュウル!!!」
身動きが取れなくなった僕らに向かって、凄まじい太さの光線が飛んできた。
光線の根本にいるのは悪魔ような羽を持った、長身の男の魔物。
呪文から感じる力が尋常じゃない。最大の呪文で、躊躇いなく殺しにきたんだ……!
「ロック! 全員を掴むんだぞ! 第七の術、ジャイロ・ロック・リグノオン!!」
禄郎が呪文を唱えると、ロックの体から大量の鎖が飛び出した。
鎖の一部は僕とフォルゴレ、禄郎に巻きつき、他の鎖は近くにあった太い木に結びついた。
太い木に結びついた鎖は僕達を引っ張り、なんとか全員が光線の直線上から逃れることができた。
木の影まで移動すると、僕らを拘束していた影の鞭は無くなった。
どうやら、目だらけの魔物が放つ光が目だらけの魔物の呪文の力の源みたいだ。
「キャンチョメはここに隠れていて」
「だ、ダメだよ……!」
「あの魔物、大きい呪文を人に向けるのに躊躇いがない。危ない」
ロックはそう言って一人で戦いに行こうとする。
思わず僕は止めようとするけど、うまく言葉が出てこない。
僕に防御呪文や攻撃呪文がないのは確かだ。
「キャンチョメは機会を見てディカポルクでサポートしてくれ。ディカポルクを使っていれば、仲間にも見つけてもらいやすい」
「だ、だが一人で戦う気か?! 無謀だぞ!」
「大丈夫だ、秘策がある。……フッ」
フォルゴレに言葉を返して、禄郎が気合を入れる。
すると禄郎の目が明確に変わった。感じる雰囲気が普段のちゃらんぽらんな感じじゃなくて、なんというか凛々しい。
この雰囲気、どこかで……?
「……し、シェリー?」
「わかるかキャンチョメ。読心能力の応用で、シェリーの感情を再現してみた。この状態なら、カノンランズを六回は撃てるはずだ」
禄郎はそういうと、ロックと一緒に敵の元に向かってしまった。
「オレ達はここだ! いくぞロック、カノンセン!!」
「ハ、随分威勢がいいじゃねぇか!」
「ガンズ・ラギュウル!!」
ロックと禄郎は果敢に戦い始めるけど、やっぱり人数の差は大きい。
あの影の鞭の拘束呪文で一網打尽にされないようにロックは動き回ってる。体力を使う戦い方だ。
ロックの砲撃は的確に相手の本を狙い撃つけど、中距離を保っている翼の魔物に防がれてしまう。
「シドナ・ソルド!!」
「イクソルド!!」
目だらけの魔物が振るった影の刀の一撃を受けて、ロックの体制が崩れた。
その隙を逃さず、翼を持った男の魔物が狙いを定めている。
させないぞ……! 頼むよフォルゴレ!
「ディカポルク!!」
「うぉーっ! 踏み潰してやるぞ!」
巨大な僕の幻が空中に投影される。
僕の幻影に気を取られ、相手の魔物の動きが止まる。
「あんな呪文を……。ギガノ・ラギュウル!!」
大きな呪文が炸裂して僕の幻は揺らいじゃうけど、敵の注意を惹くことはできた。
「逃げるぞキャンチョメ! 大きな幻を出しながら逃げれば敵の注意を惹けるし、仲間とも合流しやすいはずだ!」
フォルゴレはそう言って僕を抱えて走る。
そうさ、ガッシュやティオさえいればあんな奴ら……!
「そこかぁ! ガンズ・ラギュウル!!」
「うわぁぁぁっ!!」
羽の生えた魔物の攻撃で、僕とフォルゴレは背中から攻撃を喰らってしまった。
フォルゴレは手や足を撃ち抜かれ、地面に転がってしまう。
羽の生えた魔物は、僕らを見て心底楽しそうに声を上げた。
「ハハハハ! 仲間を見捨てて逃げるアホを後ろから撃ち抜くのは楽しいぜ!!」
魔物の言葉に、メラメラとドス黒い怒りが湧いてくる。
フォルゴレを馬鹿にされた怒り。そして、そんな相手の言葉に何も言い返せない怒り。
見捨てたんじゃない。そう言い返したいけど、言葉が纏まらない。攻撃を喰らったせいかもしれない。
「! キャンチョメ!」
「ヒヒ、よそ見をしていいのか?」
「シドナ・ディ・シザルク!!」
倒れた僕を見たロックが、目だらけの魔物の爪攻撃を喰らって倒れてしまう。
ロックは白目を剥き、左目に纏っていた炎が消えてしまった。
それを見て、僕の頭は真っ白になった。
地面を蹴って、羽の男に殴りかかる。
「ロ、ロック! ロックをよくも———っ!!」
「ダメだキャンチョメ! 呪文もなしに突っ込んじゃ……!」
フォルゴレの言葉が聞こえる。
でも、僕はロックの先輩なんだ。
どれだけ強くても、どれだけカッコよくても、ロックは僕の後輩なんだ。
禄郎は考えて「先輩」って言葉を使った訳じゃないだろうけど。でも大事なことなんだ。
僕は妹であるルシカに笑っていてほしいように、ロックにも笑っていてほしいんだ!!
「オーオー頑張るじゃねぇか。もっと楽しませてくれよ!」
僕の拳は簡単に受け止められ、代わりに首を掴まれて持ち上げられてしまった。
悔しい……! 悔しい……!!
こんなやつを簡単に倒せる力が、欲しい……!!
「チータ、そろそろ術を……」
「頼むぞ新しい呪文! こんな時に役に立たない術だったらぶっ殺すからなぁ!! ミリアラル・ポルク!!!!!」
羽の男の言葉を遮るように、フォルゴレが荒々しく叫ぶ。
その声を聞いた瞬間、僕は手を前に出していた。
そして口が勝手に動く。
「ディオガ・ラギュウル!!!」
「な、ぐぅぉおおおおおおおぉおおおおぉっっっっ!!!?」
羽の男は僕の手から出たエネルギー波に飲み込まれ、吹き飛ばされていった。
ロックも、目だらけの魔物も、フォルゴレも。
みんなあっけに取られて、僕の方を見ていた。
「え、い、今の、僕がやったのかい……?」
「そ、そうだぞキャンチョメ! 新しく出た呪文の効果だ!!」
僕の新しい力……呪文のコピー?
つまり、ガッシュのバオウだって僕はコピーできてしまうのか?
な、なんて強力なんだ……。これなら、これならあの二人も勝てる! それどころか、どんな奴にだって負けないさ!!
「もう一回いくよフォルゴレ!」
「ああ、ミリアラル・ポルク!!」
僕の腕から再び、太い光線が放たれる。
羽の男も目だらけの魔物も、面白いくらい動揺していた。
「ディオガ級を連射だと……?! クソ、もう心の力がねぇ!! ザルチム、頼む!!」
「クソ、ジボルオウ・シードン!!」
目だらけの魔物から黒い死神のような怪物が放たれ、僕が放った術にぶつかる。
僕が放った太い光線は、抵抗もなく簡単に霧散してしまった。
まるで煙か何かみたいな消え方だった。僕の術は、コピーした術をそっくりそのままコピーするわけじゃないのか……?
「あ、あのガキ……! ぶっ殺してやる!!」
「ダメ。すでにジボルオウ・シードンもコピーされてる可能性が高い以上、ここは引きましょう」
羽の男はまだ戦う気だったみたいだけど、パートナーに諌められている。
彼らは僕を警戒しながら、全力で森の中に逃げていった。
「……ふぅ。正直、ダメかと思った………。ありがとうキャンチョメ………」
禄郎の言葉にハッとする。
もしかして今、僕の力で二組の魔物を撃退できたのかい?
僕の力で、ロックと禄郎を守れたのかい?
じわじわと歓喜が込み上げてきて、僕はフォルゴレに飛びついてしまった。
ジャイロ・ロック・リグノオンは鎖を出す術です。インセインブラック★ロックシューターも鎖を使うし、曲のMVにも鎖が出たりするので採用しました。