現四大魔王を輩出した悪魔貴族の一つ、グレモリー家にて大変喜ばしいニュースがあった。出生率が低い悪魔の中でも子宝に恵まれる一族だ
本来妹しかいなかったルシファー魔王陛下に妹より六つ年下の弟が産まれたのだ
一族に眷族に使用人に領民達に至るまで多くの人々に祝福されすくすくと育った
だがそれは母の血を色濃く受け継いでも滅びの力が欠片も無いと判るまでのわずかな一時だけだった
彼の名はイクス、サーイクス・グレモリー
母譲りの亜麻色の髪にアメシストの瞳を持つ少年
そして掃いて棄てる程にポンポコ出てくる転生者、ただし。チートな特典はおろかそもそも望まない悪魔生を強制され其処らに転がっている神にも会っていないと言うある意味で天然者
世界の意思(作者のネタ)以上の事を知らない唯の一般人が、どんなに軽く見積もっても欧州の技術大国で生まれた超重戦車すら一撃で鉄屑に変える地雷が道端に転がっている世界に生を受ける
端的に言って。啼いて良い、逃げても良い
間違っても。逃げるな諦めるな等とは言わない
ただし。愛のグレモリーと世界の意思が逃がしてくれるとは言っていない
念のために改めて。逃げてイクス君!次元の狭間のその果てをぶち抜く勢いで!
だが駒王学園逝きである
☆
時は瞬く間に流れて、駒王町のとある集合住宅の一室から艶が欠片もない亜麻髪を乱雑に割り箸で纏めた子供が出て来た
施錠して足音も学制服の擦れる音もたてずに幽霊か暗殺者か、はたまた死神のように静かに目立たずに出掛けた
今日は平日で制服も着ているので十中八九、学園へ向かったのだろう
そんな少年の出て来た一室のお隣さんが窓から眺めてため息を吐いて魔方陣を出した
「今日も行ったが、鞄の類いは持ってねぇな」
[ああ、またなのかい]
「まただな」
どうやら登校すると見せかけただけのようだ
どこか呆れ交じりに、陰りがある赤毛の悪魔系イケメンと話す堕天使系のおじさま
会話のやり取りから何時もの事の様だ、少年の兄。今代のルシファー事サーゼクス・グレモリーと堕天使総督アザゼルの二翼
何故和平が結ばれてない今、正確にはリアス・グレモリーが三年生に。兵藤一誠が二年生に成ったばかりの、つまり原作開始時点で既に何度も繰り返した様なやり取りを交わしているのか?
「むこうで暮らすよかましだが。何の進展も変化もねぇまま三年たったな」
[あぁ~っ、イーくんが~ぁ]
「もう切っていいか?」
シスコンに加えてブラコンが付与された陛下がポンコツ化している。それに対する閣下もなんかアレだ、無理もない
先程の少年、サーイクス・グレモリーが兄と姉が持つ滅びの力を受け継げなかったせいだ。なまじ母の血を色濃く受け継いでいた事が二人に優るとも劣らない期待が大きかった分、落差が昨今の気温並みに酷い。止めに現四大魔王に不平不満を持つ悪魔達にとって格好の攻撃目標に成るのは火を見るより明らかだ、それが例え身内を大切にする魔王陛下の一柱だったとしても
だからとて黙っている陛下達ではない。妹が通う学園を急遽幼等部から大学部までの一貫性の学舎へと同士魔王少女陛下と共に拡大したのだ
なお。公務から抜けてまで行った両陛下の穴埋めに奔走する事と成った魔王陛下がお二柱居られたそうな
「うちの身内といいお前の身内といい心ってのは難敵だな」
[こう言うのは理屈じゃないからね。リーアたん達には気苦労をかけるよ]
「俺には?」
[見守ってくれて助かるよ、例の物は?]
「駄目だな、まだまだ未完成なのもあるが。アレは心が殆ど死んでる」
[ひゅっ!?]
「だぁー!落ち着け!お前達が居れば自分を殺す事はねぇから!なっ?!」
姫島一家とグレモリー家、堕天使と悪魔。表向き敵対陣営のトップ同士ではあるが、身内関係で悩み苦労するのは人間となんら変わらない様だ
そんな大人達が心配する子供達は今
ハイスクールD×D二次創作作品
死亡フラグ満載な世界に転生とか嗤えない
始まる・・・だろうか?