命のこたえなんていらない   作:ペルソナのおじさんコミュはいいぞ

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 この二次小説にはオリ主要素、転生要素、キタロー(ペルソナ3主人公)への憑依要素が含まれます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。
 この話の時点でペルソナ3、ペルソナ3ポータブル、ペルソナ3フェス、ペルソナ3リロードの重大なネタバレが含まれおり、以降の話もネタバレが含まれると思われます。プレイ予定のある方、未クリアの方はこんな二次作品でネタバレを食らわないように今すぐブラウザバックをしてください。
 また、別作品のペルソナシリーズの小ネタやネタバレなどが含まれる可能性もあります。そういったものも受け付けない方もブラウザバックをお願いします。
 それ以外の方々は拙作を楽しんでいただければ幸いです。


Prologue

 キタローに転生した。

 この言葉で僕が目の当たりにしている絶望感がわからない人のために噛み砕いて教えよう。

 

 ──僕が人柱にならなきゃ世界が滅ぶ。

 

 

 

 

 ♪♪♪ 

 

 

 

 甘ったるいまどろみを払いのけ、意識を取り戻した時には全てが終わっていた。

 血と炎と恐怖。世界にはそれしか存在しないと思わせる地獄のような光景を見て、僕はまずこれを夢だと思っていた。だが、目の前に転がる二つの肉塊とそこから流れ出る赤い液体の滑り、胃から込み上げる酸っぱさがそれを現実だと伝えてくる。

 

「────」

 

 誰かが呟く。その声に応えたのか、金髪の女性がこっちに近づいて来る。助けて欲しいと露わになった掌や膝が傷つくのを気にも止めず、殆ど四つん這いの形で女性へと寄っていく。

 

「……ごめんなさい」

 

 そこで僕の意識は途切れた。

 

 

 

 自分に何が起きたのかを理解したのは、目が覚めた病院の鏡で自分の顔を見た時だ。最後に遊んだのはだいぶ前とはいえ、さすがに主人公の顔くらいは覚えている。これは紛れもないペルソナ3の主人公の顔だ。

 誤解を恐れずに言うならば、僕はこの作品のストーリーが好きではない。死を乗り越え、絆を育み、得た答えの行先は人を犠牲にし続けて成り立つ仮初の世界。大人たちが積み上げたとも言える負債の尻拭いをし続けた結果がこれなのかと思ってしまうのだ。彼が望んでやったことでも、やはりこう考えてしまう──そんなのあんまりじゃないか、って。

 じゃあどうすればよかったかなんて僕にはわからないけど、もし仮に僕が彼だったら【命のこたえ】なんて欲しくないと思うだろう。

 

「……やっぱり、嫌だな」

 

 こうして鏡を眺めているうちに、そこに映る顔への認識がペルソナ3の主人公から自分へと変わっていくのを自覚する。肉体に引っ張られているのか、記憶に引っ張られているかは定かではないが、自分の体ではないが自分の体であるという矛盾した感覚になってくる。

 

「……何もしなければ、みんな死なずに済むのか?」

 

 影時間もペルソナも何もかも投げ出して、知らんぷりをすれば……岳羽詠一朗の言うように十二のシャドウに触れなければ、滅びは訪れないのだろうか? 多分、答えはノーである可能性が高い。

 原作での行いはデス復活を最短にしただけで、いずれデスは蘇っていただろう。事実、主人公が初めてペルソナを顕現した時にデスは姿を現した。それに滅びは人々の集合意識だかなんだかによるものであり、人々の意識がそちらに向かえば結局終わりは来るかもしれない。あとは単純に十二のシャドウがいつかデスに引き寄せられ、この体の前に来るなんてことがあれば、ペルソナ能力が無くては間違いなく無事では済まないだろう。

 パッと考えただけで原作に関わらない不安要素がこれだけ浮かんでくる時点で楽観視は出来ない。

 

「…………」

 

 いずれにせよ、戦う力を得るためにも原作への参加は不可避だろう。だが、そのまま進めて待つのはあの結末。

 

「あっ、結城君!?」

 

 目を覚ましてからは看護師に連れられ、様々な検査をしてから数日後に退院となった。気を失った理由としては心因性ショックだろうと言われたが、見た目は齢6-7歳に言ってもわからないだろ。

 やることのない入院生活もなかなか退屈だったが、退院してからの方が苦痛だった。

 端的に言えば、親戚間での僕の押し付け合いである。「自分には育てる余裕はない」だの、「誰々が面倒見るのが相応しい」だの、「関わりが薄かった子供を引き取るなんて考えられない」と色々言われたが、建前を取っ払えば疫病神を家族に迎え入れるなんてとんでもないという意味が残る。

 最終的には両親とどんな続柄であったかすらわからない遠縁の夫婦に引き取られた。そこでの暮らしはただ居るだけ、と形容するのが相応しく、数年経とうと家族らしいことはした記憶がない。まぁ父さん母さんと呼ぶこともなく、おまけに無口で無愛想な子供に親愛の情なんぞ抱けるわけもないだろう。

 だが、僕個人としてはあの夫婦を恨むどころかむしろ感謝をしている。引き取る合理性なんてなかった子供を世間体という理由だけで義務教育まで育ててくれ、虐待などもしなかった。出来た人達だと思う。

 高校からは行きたかったら自分で稼げという話をされたが、これは家を出て行って欲しいというサインだったのだろう。僕としても十年近く前からそのつもりだったので、特に気にも留めていない。

 高校なんてどうせ来年には変わるのだから、できるだけ学費が安いところに決め、住処も最低限のものさえあればいい。

 

「……あと一年……」

 

 2009年1月31日

 滅びの訪れから丸一年前の日とはいえ、何か特別なことがあるわけではない。いつも通り片手剣サイズの棒を振り、狭い室内でイメトレをしたり筋トレをすることで来るべき日に備える。側から見たら痛々しい人だが、こちらからしたら至極真面目だ。

 影時間の認知はすでに出来ているが、ペルソナ能力を試すことはしなかった。あまりに不安定な力な上、召喚器もなしに喚び出してろくに制御も出来ずに開始前に死にましたではお話にならない。それでなくても、心の力であるペルソナが結城理でない僕に扱えるかわからないと言うのに。

 

「はぁ……」

 

 とりあえず決めた指針は『原作通り進めて宇宙のアルカナを手に入れる』というものだ。原作の流れに屈するにせよ抗うにせよ、滅びに立ち向かうにはあの力がなければ不可能だ。

 だから、一年後までレールを外れないように目立ったことは何もしなかった。何も、である。特別課外活動部のメンバーやストレガの過去や幾月の狂気をなんとかしようとすることもなく、ただ日々をアルバイトとトレーニングに費やした。

 

「……どうでもいい」

 

 本来の彼の口癖。それを自分に言い聞かせると、少し気が楽になる気がする。

 どうでもいいじゃないか。当時、養父母に頼らなければ生きることすらままならない子供が、画面越しにしか彼らを知らない僕が、どうして助けになれたなんて言えようか。そんなの傲慢ってものだろう? 

 

「…………」

 

 小の犠牲で大を生かす。そんな風に成り立っている世界に納得がいかないからなんとかしようとしているのに、まずやることが小の犠牲に対して何か行動を起こすのではなく、それらを無視することなんてとんだ皮肉だ。

 矛盾だらけだ、僕は。小の犠牲が耐え難いのに、小の犠牲から目を逸らす。どうでもいいと口ずさみながら、いつまでも思考は囚われている。この世界を守りたいと思うのに、こう考えてしまう。

 

「──ほんと、世の中クソだな」

 

 

 

 ♪♪♪ 

 

 

 

 もし、貴方が誰かの人生を歩むことになったとして、元の人物が満足な人生を送っていた場合。

 自分の人生と他人の人生の旅路を同時に歩く貴方は、同じ道を進むだろうか。

 同じ道を進むとしたら、今その道を歩く貴方は必要だろうか。生きている意味はあるだろうか。

 そのアルカナは何も示してくれない。死の先に道なんてないから。

 

 だから、命のこたえなんていらない。

 




オリ主
原作知識は3P,4G,5Rを一周プレイしたのみなので、大きな出来事を大まかに覚えているが、詳しい時系列や流れなどはあやふや。
ユニバースの力を手に入れるため、出来るだけ流れに沿うようにしており、その一環として振る舞いもキタローエミュをしている。しかしその後の対処については未だ良案が思いつかないままでいる。
好きなものは運動、嫌いなものは自分を大切にしない人。苦手なものは人との会話。
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