このミームも混ざったカスみたいな多重クロス世界でTS転生して銀髪ロリ美少女になったオレは冒険する羽目になる 作:味音ショユ
昆虫学者を乗せた救急車を見送ってから数分後、オレ達はヤマブキシティに到着した。
まず通るのは街と道路を繋ぐゲート。オレ達がそこを歩いていると、ゲートの警備員が話しかけてきた。
「おっ、冒険者の子たちかな? 最近の7ばんどうろのゲートパワーは二十五なのに大したもんだね」
「ゲートパワーって何!? 初めて聞いたわよ私!?」
「急にメガテンみたいな単語出てくるじゃん」
メガテン原作ゲームはやったことないけど、メガテン原作やる夫スレで見たことあるぜ。なんか適正レベルみたいな意味だった気がする。
一応警備員に確認とったらだいたいあってた。
まあそれはそれとして、オレ達は何事もなくゲートを通過し、特に寄り道する用事もないので真っすぐ駅へと向かっていた。
「駅弁買おうぜ駅弁」
「ここから川越までそんなに距離あるのかしら」
長距離移動っぽいし、駅弁食べたい。あんまり食べる機会ないよね、駅弁。勿論人に寄るんだろうけど。
などと考えながら歩いていると、オレ達の行く手を阻むかのように一人の男が、テレレレレレレレレ レレレレ ラリラリラリラリ レ――――みたいな感じの、MOTHERのおにいさんのテーマをスマホで流しながら目の前に現れた。
男の外見は学ランを着た高校生といった塩梅で、ルックスはなかなかイケメンだ。
その男は前触れもなくいきなり叫ぶ。
「俺は……百合が好きだああああ!!」
「「……それが?」」
オレとほむらの反応が戸惑いで完璧にシンクロするが、男は構わず叫び続ける。
「でも、受験勉強で忙しくて最近全然新作を漁れてないぜぇぇええええ!! だから、俺におすすめの百合漫画を教えて欲しいぜぇぇ! ほあっ、ほわあああああああああああ!!」
「うるせえよ(キリト)」
面倒でしかないのでオレ達は男を避けるべく引き返して別の道を進もうとする。しかし――
「俺は~やるぜ~♪ 絶対教えてもらう~♪ ほあああああああああああああああ!!」
とても受験生とは思えないほどなめらかな動きで、歌いながら巧みに回り込んだかと思うと、オレ達の道を塞ぐ。うぜえ。
だがいいだろう。貴様に神を見せてやる。
「そんなに教えて欲しければその目見開き、胸に刻め! オレのおすすめはコレDAAAAA!!」
オレは目の前の男に負けないほどのテンションで叫ぶと、スマホをで開き配信ページを見せつける! ほらほらどうだ? うまそうだろ?(カレーメシ)
「週刊コロコロで連載中の、DOUBLE HELIX BLOSSOMだ!!」
「ほわっ!?」
まさかコロコロから出してくるとは思わなかったのか、素っ頓狂な声を上げる男。いやオレも思ってなかったよ。元々コロッケ読むために見始めたサイトだったのに、まさか百合漫画が始まるとは思ってなかったよいやマジで。
「原作はリコリコ原案のアサウラ! これだけでもう百合の香りがするだろ!!」
「プンプンだぜぇぇぇえええええ!!」
「物語の舞台は2080年の日本! そこで重傷を負ってコールドスリープで現代から六十年間眠っていた新人女警官は、色々あって犯罪者の超能力少女とバディを組むことになる!!」
「端折りすぎじゃない!?」
オレのざっくり過ぎる紹介にツッコミを入れるほむら。いや、正直さ――
「X(旧Twitter)とか週刊コロコロに一話丸々載ってるから、そっち見てもらった方が早いっていうか……」
「あのテンションで説明しておいてそんなこと考えてたの!?」
うるせえ! 紹介って難しいんだよ!!
「見どころは相棒の少女の激重感情! つっけんどんどころか危険すら感じさせる物言いをしつつ、その実明らかに重めの愛を感じる言動をしているぜ!!」
オレはテンションを戻しつつ無理くりで勢いを見せつけようとするが、男はそんなオレをガン無視してスマホを熱心にスクロール。どうやら早速一話を呼んでいるようだ。
そして数分後
「もう買う気しかしねえぜえ! ほわっ、ほわあああああああああああああああ!!」
男はテンション最高潮に本屋へと走り去っていった。走り出す。その理由がたとえどんなにくだらなくても(躍動)
こうして男を見送ったオレ達もまた、再び駅を目指すべく歩を進めようとするが――
「なんか体に違和感あるな。えっと、この感覚は確か……」
オレはスマホ、もとい冒険者カードのレベルの部分を確認する。やっぱりな(レ)
「さっきのでオレに経験値入ってレベル上がってる」
「なんで!?」
こっちが聞きたい。
ガヤガヤガヤガヤ
オレ達が駅に到着すると、何やら多くの人間が集まって何事か騒がしくしていたので、とりあえず近くの学ランを着た、どこかキノコみたいな髪形の人に話しかけて聞いてみた。
「騒がしいけど、なんかあったの?」
「大変だああ!! 女の子が化物に攫われた上に、途中のトンネルの入り口を両方塞いで引きこもったあああ!!」
「本当に大変だ」
「でも冒険者を呼んで乗り越えてやるよぉおお!! あそこの責任者が待ってるよ冒険者ああああああ!!」
「この街の学ランの男は騒がしくないといけない決まりでもあるの?」
騒がしい情報提供者にほむらはうんざりしたような顔をするが、情報内容は大変だったのでオレ達は冒険者を呼んでいる責任者の元へ向かう。
責任者の外見は全体が緑色を基調とした服を着ている、白いヒゲを蓄えたお爺さんだ。
「私が町長です」
「町長なんだ」
確かに責任者なんだけど、責任逃れしそうなセリフだなオイ。
などとオレが考えているとは露知らず、町長は話を始めた。
「あなた方は冒険者ですね」
「そうよ」
「ではお願いです。どうかトンネルを塞いだ怪物を倒してくだされ。報酬はお支払いしますので」
「……討伐依頼はいいけど、トンネル塞がってるんでしょ?」
「その部分に関しては、私どものツテで壁抜けのスペシャリストを雇い、先にトンネルへと向かわせました。なのであなた方は怪物を倒すことだけを考えて下されば構いません」
「分かったわ。じゃあ早速行きましょうか」
「おう」
「待ってください!」
ほむらの言葉に生返事をしながら、壁抜けのスペシャリストってどんな奴だろう? とオレが疑問を覚えていると、突如おそらく少年のものであろう声が響き渡る。
オレ達が声の主を見つけると、そこには顔以外を黄色の全身タイツ、それも胸辺りはKの巨大な文字が描かれているもので体を覆っている一人の少年が立っていた。
いや、こいつ知ってるぞ――
「き、貴様はチャージマン研!」
「え、僕のこと知ってるの? デヘヘ、困っちゃうな~」
オレの驚いた声を聞いてテレ顔を見せる泉研。なんでこんなところでチャー研が始まるんだよ。
「たまたま買い物に来てただけだけど、もしかしたらその怪物がジュラル星人かもしれない以上、僕もやらなきゃいけないんだ!」
「攫った怪物はジュラル星人なのか?」
オレが町長に確認すると、問われた側も戸惑いを隠せないまましどろもどろになりながら返答した。
「わ、私はそのジュラル星人を見たことがないのでなんとも……ただ、目撃者の話によるとその怪物の外見は、身長が一メートル半ほどで、甲殻類のような見た目で三対の手足の先に鉤爪があり、背中には羽根が生えているそうです」
「それミ=ゴじゃね?」
「間違いない……! そいつはこの星の征服を企むジュラル星人です!!」
オレの言葉など聞こえないとばかりに、研は件の怪物をジュラル星人だと断定した。どう考えても――いや待てよ
・ミ=ゴは外宇宙の存在。ジュラル星人も太陽系の外にあったジュラル星の存在。
・ミ=ゴは人間に理解できない科学を使う。ジュラル星人は地球の五百年先の科学力を持つ。
・ミ=ゴは写真に写らない。ジュラル星人は鏡やカメラのファインダーなどに映らない。
「ミ=ゴはジュラル星人だった……!?」
「行くわよモノマキア」
オレの胸に去来する衝撃の真実。しかしこの驚きを誰かと共有する間もなく、オレ達はミ=ゴ退治に出発するのだった。