彼方でもう一度あなたと。   作:Taichi2469

5 / 20
動き出す脅威

 ───先生、先生。何処ですか?

 

 ───一人では見つかりそうもありません・・・。

 

 ───あっ、そうです!

 

 ───たくさんの人手があればいいんです。

 

 ───それではお願いしますね。

 

 ───先生・・・・・・、早く会いたいです・・・・・・。

 

 ───もしまた会えたら・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────必ず、この想いを伝え(あなたを殺し)ますね。

 

 そうして少女は大切に抱えた慕情を確かめ(溢れる破壊衝動を昂ぶらせ)ながら、何処かへと去ってゆく。

 

 かくして、失墜せし王国は復権を果たす。王たる裁定者とその民を破滅の色に染め上げて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが今のゲーム開発部かぁ〜。なんだか変わらないね。」

「はい!ゲーム開発部は今も変わらずゲーム開発部です!」

「そうだね。」

 

 私に笑顔を向けるアリスに対して、微笑みかえす。

 

 プラステ衝突事件のあと、目覚めた先生はモモリの謝罪を受け入れ、現在のゲーム開発部の見学をしていた。

 

「ねえ、ねえ、先生!ゲームしない?色々あるよ!」

「・・・・・・私、結構強いよ。」

「よーし、じゃあスチューデントファイター2で勝負だ〜!」

 

 そうして始まったバトル。結論から言えば・・・・・・

 

「くぅぅ〜、悔しい、悔しい〜〜〜〜!!!まさか、一回も勝てないなんて・・・。」

 

 先生の圧勝だった。

 

 先生は相手の動きを読み取るのが得意だった。よってカウンター主体で戦うのだが、これがなかなか強いのだ。・・・・・・まあ、かのUZQueenのような超絶技巧の前にはなすすべもないのだが。

 

「先生!もう一回やろう!もう一回!」

「モモリ、アリスもやりたいです!」

「ふたりとも順番にね。」

 

 それから3人は一時間ほどゲームで盛り上がっていた。モモリは変わらぬ日常の1ページとして、先生は戻らぬものを懐かしむように、アリスはようやく先生を取り戻せた事を噛みしめながら、と三者三様でこの時間を楽しむのであった。

 

 

 

「そろそろ行こうかな。まだまだ見て回りたいところは多いしね。」

「そうですね。それでは、モモリ。アリスたちはそろそろ行きます。」

「あっ、ちょっと待って!」

 

 出ていこうとする私達をモモリは引き止めた。どうしたのだろう?

 

「私もついて行きたい!何か面白いことが起きる気がする!」

「私はいいよ。アリス、大丈夫かな?」

「はい!モモリを仲間にします。パンパカパーン!、モモリがパーティに合流した!」

 

 そして、次はセミナーに向かうことにした。アリスによると相変わらずやることは多いらしく、いつも大変そうらしい。

 

「セミナーって生徒会長とかいるんだよね!どんな人なんだろう・・・・・・、楽しみ!」

「モモリも今の生徒会長に会ったことないんだ?」

「そうなんだよね〜!、会議とかは部長がでてくれてるしさ〜。」

 

 部長がどのような子なのか気になった先生はモモリに聞いてみようとしたのだが、そろそろ目的地についたらしい。

 

「先生、ここが今のセミナーです!」

「立派な建物だなあ。」

 

 感心しながら中へと入っていく。生徒会長はいるとのことなので、挨拶に行くことにした。最上階まで行くと、生徒会室を見つけた。扉をノックしてみる。すると、返事が帰ってきた。

 

「入っていいわよ。」

 

 若干の緊張感を持ちつつ扉を開けた。中には少女が二人いた。もちろん初めて会うわけだが、二人とも見知った生徒の面影を感じる。おそらく彼女たちは・・・・・・。

 

「お邪魔します。はじめまして。私がシャーレの・・・・・・、って今はシャーレはないか・・・・・・、元シャーレの先生です。よろしくね。」

 

 端的に自己紹介する先生は、思わず心を開かずにはいられないような笑みを浮かべる。それは普通の少女なら恋に落ちていたかもしれないほど魅力的だ。しかし、少女たちが遅れを取ることはなかった。

 

「話は伺っているわ。私は調月マオ。貴方と良好な関係が築けることを期待するわ。」

 

 ミレニアムの生徒会長───マオは微塵の動揺をみせることなく返答しながら先生に近づき、握手を求める。

 

 その様子を見ながら、先生の彼女の第一印象はリオと同じく合理的で冷静な人物であると結論づけられていた。

 

 しかし、すぐにその考えはひっくり返されることとなる。

 

 求めに応じて手を握る。すると、彼女の手が取れた(・・・)

 

「・・・・・・・・・・・・。」

「その手は新素材開発部の成果をもとに作ったドッキリアイテムよ。しかし、眉一つ動かさないとは思わなかったわ。これまでこのドッキリは何度かしてきたけど、貴方のように全く驚かない人は初めてよ。どうやら、貴方は注目するに値する人物のようだわ。」

 

 先生が反応を示さなかったのは、感情を隠すのに慣れているために表情に表さないだけで、内心は驚き一色だった。そして、先程下した評価を改める。どうやらかなり茶目っ気のある人物のようだ。後ろでアリスとモモリがヒソヒソと話す声がする。

 

「ねえ、アリスちゃん。もしかしてだけど、生徒会長って・・・・・・。」

「シッーー!だめです、モモリ。それ以上言ってはなりません。」

 

 流石にひどい言い草ではないだろうかと思いつつ、気を取り直して会話を続行する。

 

「よろしくね、マオ。後ろの君も名前聞いてもいいかな。」

 

 先程からマオの後ろで待機している少女に話しかける。これまでの一連のやり取りの中、彼女はずっと先生を見ていた。その視線は明らかにこちらに敵意を向ける視線だった。

 

「・・・・・・申し訳ありませんが、馴れ合うつもりはありません。大人は信用しないと決めているので。」

「・・・・・・そっか。」

 

 予想以上の拒絶だ。いつぞやのRABBIT小隊を思い出す。いや、大人に対するスタンスはホシノに近いかもしれないな。

 

「先生、気を悪くしないでちょうだい。彼女は、飛鳥馬トワ。私の秘書、兼ボディガードをしてもらっているわ。けっして悪い子ではないの。」

「うん、大丈夫だよ、マオ。よろしくね、トワ。いつかお話できるように私も頑張るね。」

「・・・・・・。」

 

 ツンとした態度のまま、返事を返してくれることはなかった。今はここまでが限界だろう。

 

 その後、しばし雑談を交わす。マオは容姿こそリオに似ているがどうも性格はかなり違うらしい。過去にアリスにアイドル部として活動することを提案したり、エンジニア部にアバンギャルド君の新型の開発を依頼したことがあるなど言い方を選ばなければ奇人と呼べるであろう行動を何度も行っているらしい。トワは主人の後ろで立っているままだった。時折、こちらに鋭い視線を向ける。彼女は何を抱えているのだろうか。無闇矢鱈と彼女について知ろうとするのは、彼女の心に土足で踏み入るのと同じだろう。そのようなことはもちろんしてはならない。だが、先生として彼女に寄り添ってあげたいという気持ちに変わりはない。少しずつ歩み寄っていくようにしよう。

 

 それなりに会話をし、そろそろ退席しようかとしていた頃、慌てて生徒会室に飛び込む者がいた。

 

「大変です、会長!」

「落ち着きなさい、何があったの?」

「それがっ!・・・・・・きゃっ!」

 

 よほど慌てていたのか、その生徒は急いでまとめたであろう資料を床に広げながら盛大に転んだ。

 

「大丈夫?」

「え、ええ・・・・・・、ありがとうございます・・・・・・。」

 

 その生徒を心配しつつ、資料を拾い集める先生だったが、その内容に驚愕をあらわにする。

 

「・・・・・・何故だ、彼らはすでに活動を停止したはず・・・・・・!しかも、これは・・・・・・!」

 

 その資料から読み取れたのは数多の機械兵とその支配者たるAI───ケセドの復活であった。さらに、その姿は変貌していた。かつてキヴォトスに崩壊の危機が訪れたとき、虚妄のサンクトゥムタワーの守護者としてとった姿・・・・・・色彩化を果たした姿であったのだ。

 

 

 




 かなり更新が遅れてしまいました。楽しみにしてくれていた方がいらっしゃったら、遅れたことを詫びるとともに待ってくださったことに感謝したいと思います。誤字が見つかった場合は、ぜひご報告ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。